メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


「愛がなければ、無に等しい」 コリントの信徒への手紙一12章31節-13章3節

 どんなに優れた賜物を持っていようとも、「山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも」、「全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも」、「愛がなければ、無に等しい」(2−3節)と語り、これこそ信仰者が歩むべき「最高の道」である(12章31節)とパウロは言明しています。厳しい言葉です。
 「愛」(アガペー)とは何でしょうか。一言で言えば、他者のために、他者を他者として生かすために、他者に仕えていく生き方、ということでしょう。「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ」(4−6節)と語られる愛のあり方は、まさにそういう生き方を示しています。
 主イエスを信じ、主イエスの復活の命に聖霊によって生かされる者は、自ずからそのような「愛」の生き方へと導かれる、と言うのです。ただイエスを信じているというだけでなく、絶えず新しく主イエスの命に聖霊によって生かされ、「愛」の生き方へと導かれるのでなければ、その信仰は本当とは言えない、と言うのです。信仰が常に「愛」という形で表わされなければ、それは生きた信仰とは言えない、と言うのです。厳しいことです。
 どうしたらそのような信仰に生きることができるのでしょうか。愛のない、信仰がうわべだけになりやすい貧しい自らの現実を認め、そういう自分を心から主に献げるのです。「信じます。信仰のないわたしをお助けください。」(マルコ福音書9章24節)と、心からの謙遜をもって主キリストの救いに頼るのです。そういう私たちを主が憐れみ、聖霊の御手をもって助け、「愛」に生きる者へと造り変えてくださるのです。