メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


「耐えられない試練はない」       第一コリント書10章11−13節


 「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。」(13節)と記されています。「人間として耐える」ことのできる試練とは、原文に従えば「人間的な試練」という意味です。私たちが出会う試練は、すべて「人間的な試練」である、ということです。
 私たちは、大きな困難に出会った時、何か得体のしれない怪物に襲われたような気持ちになり、とてもそれに立ち向かうことができないという思いにさせられがちです。しかし、決してそんなことはなく、私たちが人生の歩みの中で出会う困難は、すべて「人間的な試練」であるから、困難から逃れようとせず、しっかりと困難を見据えながら、一歩一歩人間として誠実に取り組んでいけば、必ず乗り越えることができる、と言われているのです。
 「主は愛する者を鍛え、子として受け入れる者を皆、鞭打たれる」(ヘブライ書12章6節)とありますように、神は信じる者を鍛えるために、試練をお与えになりますが、「耐えられないような試練に遭わせることはなさらず」(13節)とは、その意味なのです。試練はすべて「人間的な試練」なのです。
「逃れる道」(13節)とありますが、これは「出口」という意味です。試練には必ずそこから抜け出すことのできる「出口」がある、ということです。だから、試練から逃れようとしないで、しっかりと試練に立ち向かうのです。主イエスが共にいてくださいます。その主と共に、人間として誠実に生きるのです。そうすれば、自ずから試練を克服することができるのです。神は、そのようにして私たちの信仰を鍛えるために「試練」をお与えになるのです。