メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


「無報酬で福音を宣べ伝える」       第一コリント書9章13−18節


 「わたしが福音を告げ知らせても、それはわたしの誇りにはなりません。そうせずにはいられないことだからです。福音を告げ知らせないなら、わたしは不幸なのです。」(16節)とパウロは言っています。
 激しい思いが吐露されています。パウロにとって、主キリストの福音とは何なのでしょうか。それは、すべての人間の救いの真理なのです。すべての人間がこの福音を必要としており、この福音によらなければ、本当の「解放」(あらゆる囚われからの開放)に生きることができないからです。この福音に与って、初めて人は本当の解放(自由)に生きることができるからです。それ故にパウロは、福音を告げ知らせないなら、私は「不幸」(わざわい)である、と言い切っているのです。
 「では、わたしの報酬とは何でしょうか。それは、福音を告げ知らせるときにそれを無報酬で伝える」ことである(18節)、と言っています。福音を無報酬で宣べ伝えるとは、何の「報酬」(成果)も期待しないということです。どれだけ多くの人が信じるようになったか、どれだけ教会が豊かになったか、そういうことにも囚われないということでしょう。そういう人間的な思いからも解放されて、ただ福音を真理として(無償で与えられた神の救いの真理として)宣べ伝え、一人でも多くの人がこの真理によって救われることを祈り求める。そういう自由な心を与えられること、それが福音宣教者としての自分が神からいただきたいと願うただ一つの報酬である、と言っているのです。まことに福音宣教者パウロの面目躍如たる言葉ではないでしょうか。