メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


「分け与えられた分に応じて」   第一コリント書7章17−24節


 「おのおの主から分け与えられた分に応じ、それぞれ神に召されたときの身分のままで歩みなさい」(17節)とあります。
 この御言葉で大切なことは、いま私たち一人ひとりに与えられている現実(生活、立場、状況)は、たとえそれがどんなに不本意に思われても、そこで主キリストの救いに生きよとして神が与えていてくださる現実である、ということです。その神の御旨をアーメンと言って、受け入れるべきなのです。
 私たちはそれができなくて苦しむのではないでしょうか。このような現実(生活、立場、状況)は私が受けるべきものではない、私はもっとより良い現実の中に生きるべきであると言って、神の御旨を受け入れる前に、自分の考え(理想)に従って「現状変革」を試みることを優先しがちではないでしょうか。そして、ある程度自分が納得した(満足した)現実になって、初めて神の御旨に従おうとするのではないでしょうか。しかし、それでは出発点のところですでに「不従順」であり、自分の思いを先に立てる信仰の生き方であって、真に神の御旨に従順になることはできないのです。
 いま私たちに与えられている現実は、どんなに不本意であっても(たとえ奴隷の身分であったとしても!21節)、まずそこで主キリストの救いに生きよと、神が与えていてくださる現実なのです。私たちはまずそれをアーメンと言って受け入れるべきなのです。そして、主キリストの救いに与りつつ与えられた現実を生きる中で、現実を「より良いもの」に変えていく努力をすべきなのです。それが私たち一人ひとりに与えられている神の御心なのです。