メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」




「キリストの思いを抱く」        第一コリント書2章6−16節

 「信仰に成熟した人たちの間では知恵を語ります」(6節)とパウロは言っています。「信仰に成熟した人」とは、直訳すれば「完成した人」「目的に達した人」ということです。そして「目的」とは、主イエス・キリストのことですから、主イエス・キリストの救いに与って生きる人、ということになります。
 主イエス・キリストの救いに与って生きる人こそ、「信仰に成熟した人」であり、その人は「この世の知恵」(6節)では決して理解することのできない「神秘としての神の知恵」(7節)を語る、とパウロは言うのです。
 神秘としての神の知恵とは何でしょうか。それは、何よりもインマヌエル主共にいます主キリストの霊的臨在の恵みのことではないでしょうか。この恵みこそ、この世の知恵では決して理解することができない「天上の知恵」なのではないでしょうか。主キリストの救いに与って生きる者は、この恵みこそ神が信じる者にお与えくださる神の救いそのものであることを知り、いよいよ深くこの恵みの中に生きようと祈り求めるのです。
この恵みに与る上で最も大切なことは何でしょうか。それは、神の御前に一人の罪人として謙遜に立つことです。その者を神が憐れみ、その者の中に生ける主キリストが聖霊において働き、その者が主共にいます恵みの中に罪から守られて生きることができるように導いてくださるのです。
「わたしたちはキリストの思いを抱いています」(16節)とあります。主が共にいてくださるインマヌエルの恵みに生きる者こそ、キリストの思いを知り、キリストの思いを自分の思いとして生きる者なのです。