メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「ローマでの宣教」         使徒言行録28章17-30節

 「三日の後、パウロはおもだったユダヤ人たちを招いた」(17節)と記されています。パウロがローマに着いて最初にしたことは、「ユダヤ人たち」を招くことでした。世界都市ローマですべての異邦人に福音を証したいと願ったパウロでしたが、そのパウロの心深くに最も切実な問題としてあったことは、同胞のユダヤ人のことだったのです。
旧約聖書に基づいてメシア待望の中に生きて来たユダヤ人がこれはメシアではないとして十字架につけた「ナザレ人イエス」こそ、神から遣わされたまことのメシアであるということを(そのことをパウロ自身信じることができず、キリスト教徒を迫害したのですが)、まず同胞のユダヤ人に知らせたいというのが、パウロの切なる願いだったのです。
「そこで、ユダヤ人たちは日を決めて、大勢でパウロの宿舎にやって来た。パウロは、朝から晩まで説明を続けた。神の国について力強く証しし、モーセの律法や預言者の書を引用して、イエスについて説得しようとしたのである」(23節)とあります。主イエスがまことのメシアであることを、パウロは旧約聖書に基づいて熱心に説き明かそうとしたのです。
しかし、多くのユダヤ人はパウロの言葉を受け入れようとせず、パウロは改めて「あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、見るには見るが、決して認めない」(26節)と語る預言者イザヤの預言の正しさを認めざるを得ず、「この神の救いは異邦人に向けられました。彼らこそ、これに聞き従うのです」(28節)と言って、異邦人に向けての福音宣教への決意を新たにしたのです。