メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「コリント伝道」             使徒言行録18章1−11節

 第一コリント書2章1節以下にこう記されています。「わたしもそちらに行ったとき、神の秘められた計画を宣べ伝えるのに優れた言葉や知恵を用いませんでした。なぜなら、わたしはあなたがたの間で、イエス・キリスト、それも十字架につけられたキリスト以外、何も知るまいと心に決めていたからです。」
 これは、アテネからコリントへ移った時のパウロの決意と言うことができるでしょう。アテネでは相手に合わせ過ぎたという思いが、パウロにはあったのではないでしょうか。議論好きで、新しもの好きのアテネの人々に少しでも分かってもらおうと、主イエスの十字架と復活の出来事を隠して、一般的、哲学的な表現で福音を語ろうとしたのです。そのためにかえって福音が人々の心に十分に届かなかったという反省があったのです。
 人の躓きを恐れて、福音を薄めて語るのではなく、明確にその本質を語るべきである。それによってかえって福音宣教の道が開かれることを、パウロはコリントの異邦人伝道において確信したのではないでしょうか。
 「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと主にいる。・・・この町にはわたしの民が大勢いるからだ」(9−10節)とあります。むしろ人々は福音が明確に語られることを待っているのです。表向き福音に無関心に見える人々も、本当は福音が明確に語られるのを待っているのです。そういう「隠れた」神の民がコリントの異邦の町に大勢いることを、パウロは幻を通して主イエスより教えられ、深い励ましと共に戒めを与えられたのです。