メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「アテネ伝道」              使徒言行録17章16-34節

 使徒言行録16章11節以下に、フィリピでのパウロの福音宣教が記されています。「ティアティラ市出身の紫布を商う人で、神をあがめるリディアという婦人も話を聞いていたが、主が彼女の心を開かれたので、彼女はパウロの話を注意深く聞いた」(14節)とあります。まず主キリストが「彼女の心を開かれた」ので、リディアは「パウロの話を注意深く聞き」、主を信じる者となったのです。神の「選び」が先行しているのです。
パウロが「神を冒瀆する者、迫害する者、暴力を振るう者」であったにもかかわらず、「忠実な者と見なして」パウロを福音宣教者の務めに就かせてくださったように(第Ⅰテモテ1章12節)、主は一人の婦人の選びを通してフィリピ教会創設の端緒を開かれたのです。不思議な神の選びを思わされます。
ギリシャ文明の中心地アテネにおけるパウロの福音宣教が17章16節以下に記されています。人々は「何か新しいことを話したり聞いたりすることだけで、時を過ごして」(21節)毎日を送っていたのです。多くの神々を祭り、論じることに関心はあっても、神の御前における自らの罪や救いについて真剣に考えることはなかったのです。
「死者の復活ということを聞くと、ある者はあざ笑い、ある者は、『それについては、いずれまた聞かせてもらうことにしよう』と言った」(32節)のです。彼らの心に福音が全く入らなかったのです。しかしそれは、神の「選び」が行なわれなかったのです。神が全く沈黙しておられたのです。彼らがそのことに無頓着なことが、恐ろしいことではないでしょうか。