メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「パウロの宣教旅行」            使徒言行録13章1−12節

 使徒言行録は、13章から最後の28章まで、パウロの宣教活動について語られています。キリスト教徒迫害者であったパウロが、今や異邦人伝道の中心人物として活動しているのです。人の思いを超える不思議な神の選びの御業を思わされます。
 13章1節に「ニゲルと呼ばれるシメオン」という名が記されています。パウロと共にアンティオキア教会で活動した5人の指導者の一人です。この人が、ルカ福音書23章26節で主イエスの十字架を無理に背負わされた「シモンというキレネ人」ではないか、と言われているのです。もしそうであるなら、この人もまた、不思議な神の導きによって主イエスと出会い、主イエスの福音を宣べ伝える器として用いられたのです。
 4節以下に、キプロスにおけるパウロたちの福音宣教が記されています。その地方総督セルギウス・パウルスは、パウロたちの語る福音に心を開き、福音を受け入れようとしたのに対し、総督と親しく交際していたバルイエスという魔術師は、「二人に対抗して、地方総督をこの信仰から遠ざけようとした」(8節)と記されています。
 なぜ、福音を拒むのでしょうか。福音は、私たちが神の御前に罪人であることを言い表し、主キリストによる罪の赦しと復活の救いの恵みに従順に頼ることを求めるからです。自分を誇り、自分を楽しむ生き方を捨てることを求めるからです。そこに喜びを見出す人は、福音を受け入れ、それを嫌がる人は、福音を拒むのです。福音宣教において、神の「選び」が行われるのです