メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






8.15「ペトロの投獄」             使徒言行録12章1−19節

 時の支配者ヘロデ王(主イエスが誕生された時の支配者ヘロデ大王の孫)によるペトロの投獄のことが、使徒言行録12章1節以下に記されています。
 ペトロは当時、エルサレム教会だけでなく、誕生しつつあった異邦人教会を含めた全キリスト教会の最高指導者でした。そのペトロが投獄され殺害の危険の中に置かれることによって、教会は存立の危機に直面したのです。
 そのペトロが、しかし、絶対的な危機の中にあって、不思議な神の助けによって救出されることが語られることによって、教会と信仰者に対する神の特別な守りが力強く証されているのです。
 使徒言行録12章6節以下に記されている天使による不思議な救出劇を、どう理解したらよいのでしょうか。それは、何よりも私たちの「魂」(心の内奥)が、聖霊の全能の御力によって、不信仰から信仰へと絶えず新しく引き上げられ導かれる神の救いを証しているのです。
 7節に「主の天使がそばに立ち、光が牢の中を照らした。天使はペトロのわき腹をつついて起こし、『急いで起き上がりなさい』と言った。すると、鎖が彼の手から外れ落ちた。」とあります。神は、何よりもペトロの魂に働きかけたのではないでしょうか。全く絶望的な状況の中に置かれ、不信仰の「眠り」の中に落ち込んでいたペトロの魂が、神の働きかけによって「信仰」の望みへと新たに奮い立たせられたのです。魂が信仰へと目覚めさせられる時、私たちはどんな困難な状況にあっても、主共にいます恵みのうちに力強く立ち上がり、前進することができるのです。