メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「サウロの回心」             使徒言行録9章1−19節

 キリスト教徒迫害のためにダマスコ途上にあったサウロは、突然、天からの光に照らされ、地に倒れ伏したのです。そして、「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いたのです。それから三日間、サウロは目が見えず、食べることも飲むこともできませんでした(1〜9節)。
 何が起こったのでしょうか。天からの「啓示」がサウロの心に深く示されたのです。サウロにとってそれは何を意味したのでしょうか。それは、サウロが迫害しているイエスが正しく、サウロ自身が誤っていたという、サウロにとって目もくらむような厳然たる事実が、サウロの心に示されたのです。その事実がサウロの心深くに啓示された時、サウロは自分の立っていた基盤が突き崩されるような根源的なアイデンティティー喪失の危機に見舞われ、見ることも、食べることも飲むこともできない者にされたのです。
 神は、サウロがその事実を受け入れることができるように信仰者アナニアを遣わされました(10節〜)。アナニアを通して自分の身に起きたことが神の選びの御業であることを知らされた時、サウロは「目からうろこのようなものが落ち」(18節)、心から自らの選びを受け入れることができたのです。
 今までの自分は誤りであった。主イエスこそ神から遣わされたメシアであり、主イエスの十字架は人間の罪を贖うメシアの苦難の御業であることを、サウロは確信することができたのです。そこから、自分のすべてを主イエスに委ね、主イエスの清き命に聖霊によって生かされる、今までの生き方とは180度転換した、回心したサウロの新しい信仰の歩みが始まったのです。