メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「聖霊を欺く」         使徒言行録5章1−11節

 アナニヤとサフィラの問題は、キリスト教会が、何を主の教会の最も大切な生命線と考えて来たかを知る上で、大変重要です。
 それは、「聖霊を欺く」(3節)ことへの恐れです。どんなに小さなことであっても、神の御前には正直であること、嘘をつかないこと、正直に自分の貧しい現実を言い表して、神の赦しと助けに頼ること、このことを誠実に行うこと、そのことが最も大切なことであることを言い表しているのです。
 アナニヤとサフィラという一組の夫婦が、自分の土地を売り、その代金を教会に献金したのですが、そこに小さな嘘がありました。代金の一部を「全部」と言って、献金したのです。アナニヤとサフィラは、自分たちの信仰の熱心さを表したかったのでしょう。そして、そのような小さな嘘は、献金をするのだから赦される、という思いがあったのではないでしょうか。
 確かに、アナニヤとサフィラの嘘は、人間的には些細なものであり、献金という行為に比べたら取るに足りないことのように思われますが、神の御眼には、「神を欺く」(4節)重大な罪を犯すことだったのです。
 もし教会の中でそのような嘘がまかり通るなら、教会はどうなるでしょうか。教会は嘘と虚栄の塊になってしまうのではないでしょうか。それなら、信仰はうわべのことになり、聖霊によって生かされる信仰ではなくなってしまうのです。信仰の「霊的な死」を意味することになるのです。それなら、信仰はそして教会は、この世の形成物と同じものとなり、もはや何の力も持たず、人間の歴史の中に解消してしまったはずなのです。