メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「神の教会の世話をさせるために」    使徒言行録20章17−38節

 「どうか、あなたがた自身と群れ全体とに気を配ってください。聖霊は、神が御子の血によって御自分のものとなさった神の教会の世話をさせるために、あなたがたをこの群れの監督者に任命なさったのです。」とパウロは語っています。「残忍な狼ども」が入り込み、「邪説を唱える」ことによって「神の教会」が「荒らされる」ことをパウロは警戒しているのです(28〜30節)。
 「ほかの福音」(ガラテヤ書1章6節)、「違った福音」(第2コリント書11章4節)が教会の中に入ってくるのです。形は福音であっても、内容は全く異質な「似て非なる福音」です。それが教会の中に入り込み、人々を惑わし、正しい福音理解を損なわせ、主キリストの救いから人々をそらせるのです。
 前者は「ユダヤ主義的な」福音理解であり、後者は「グノーシス主義的な」それです。前者はユダヤ人キリスト者の中にあった傾向で、律法、特に割礼を重んじる福音理解であり、後者は当時のギリシャ・ローマ世界に生きていた異邦人の中にあった傾向で、人間的な「知恵」(悟り)を強調する福音理解です。どちらも主イエスを信じているのですが、その信仰の中に「別の要素」が入り込むことによって、正しい福音理解を歪めるのです。
 主イエスは、「神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」(マルコ福音書1章15節)と語りました。まことの「悔い改め」だけが、主キリストの救いに生きるただ一つの道なのです。その福音が歪められてはならないのです。教会に仕える者(役員)は、正しい福音理解によって「神が御子の血によって御自分のものとなさった神の教会」を守らなければならないのです。