メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」






「突然、激しい風が」      使徒言行録 2章1−13節

 聖霊降臨の出来事が与えられるまでの弟子たちの姿に心惹かれます。弟子たちは、主イエスの聖霊の約束を信じて、ひたすら「心を合わせて熱心に」(1章14節)祈っていたのです。しかし、いつ聖霊が与えられるかは弟子たちに知らされておりませんでした。いつ聖霊が与えられるか分からず、しかも聖霊が与えられることを信じて祈るということは、容易なことではなかったでしょう。祈っても祈っても聖霊が与えられない時、主の約束は本当だろうか、本当に聖霊が与えられるのだろうか、という疑いも起こり得たのではないでしょうか。
 しかし、この時の弟子たちの心を最も強く支配したのは、主イエスの十字架が自分たちの罪のためであった、ということではないでしょうか。イスラエルの指導者たちの不従順のためではなく、民衆の無理解のためではなく、他ならない主イエスを信じる弟子たちの心の不従順、罪のために、その罪の赦しと救いのために、主イエスは十字架におかかりになられた、ということです。その時弟子たちは、他の誰でもない自分たちこそ主の霊によって清められなければ、人間として正しく生きることができないということを心の底から覚えて、いよいよ熱心に約束の聖霊を祈り求めたのではないでしょうか。その祈りを神が聞いてくださったのです。そして、深い神の憐れみの恵みの中で「突然」聖霊が降り、弟子たちは心の底から主イエスの霊の恵みに生かされ、主のお約束の真実を実感しつつ、主イエスの救いがすべての人間の救いであることを確信して、力強く福音宣教のために立ちあがったのです。