メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」


「神の恵みの言葉にあなたがたをゆだねる」
                使徒言行録20章25-38節


 使徒パウロは、コリントの信徒への手紙一2章3節で「そちらに行ったと
き、わたしは~恐れに取りつかれ、ひどく不安でした」と言っています。コ
リント教会はパウロ自身が建てた教会でしたが、パウロの後に来た福音宣教
者たちによって、パウロが語る福音が通じない教会に変わってしまったので
はないかとパウロは恐れたのです。
 パウロが語る福音とは何でしょうか。それは「悔い改め」を宣べ伝える福
音です。主イエスご自身、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を
信じなさい」(マルコ1章15節)とお語りになりました。また、「狭い門から
入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者
が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを
見いだす者は少ない」(マタイ7章13~14節)と言われました。
 「悔い改め」(メタノイア)とは、心の180度の方向転換を意味する言葉で
す。すぐに自分中心になる私たちの心を主キリストの方に向け、キリストの
霊の助けによって心正され、清められつつ生きるのです。この方向転換を日々
新しく、いや、常に新しく行って、キリストの命に与りつつ生きるのです。
これが、悔い改めの信仰に生きる生活です。
 悔い改めの信仰とは、言い換えれば、神の恵みの言葉(主キリストご自身)
に頼る信仰です。「神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます。この言
葉は、あなたがたを造り上げ、聖なる者とされたすべての人々と共に恵みを
受け継がせることができるのです」(32節)とパウロが語る通りです。神の言
葉に人の「魂を救う」(ヤコブ1章21節)力があるのです。どこにあっても、
神の恵みの言葉に頼りつつ生きていきましょう。