メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」


「主の復活の証人となる」    使徒言行録1章12-26節

 14節に「彼らは皆、婦人たちやイエスの母マリア、またイエスの兄弟たちと心を合わせて熱心に祈っていた」とあります。ここに主イエスの母マリアと兄弟たちへの言及があることが、深い慰めです。彼らは、主イエスの生前は、主イエスを信じることができませんでした。「あの男は気が狂っている」とイエスを批判する周囲の人々に気兼ねして、彼らは主イエスの宣教活動をやめさせようとしました。主イエスの親族であることの故に、深い悩みの中に置かれた母マリアと兄弟たちでした。しかし、そのように主イエスと離れがたく結び合わされた家族であることによって、彼らの救いに道が備えられていたのです。
 主イエスの十字架の死と共に、彼らもまた死んだのです。深い苦悩のうちに。あれはメシアではない、偽メシアで神を冒瀆する人間であるという断罪の下に主イエスは十字架につけられました。そのように断罪された主イエスの家族の者たちの苦しみは、どれほどのものだったでしょう。その主イエスが三日目によみがえられることによって、主イエスが本当に神から遣わされたメシアであることが明らかにされたのです。そのことを知らされた彼らの安堵はいかに深いものだったでしょう。それだけでなく、主イエスの十字架の死が、彼ら自身の罪の赦しと救いの出来事であったことを知ることのできた喜びは、どれほど大きなものであったことでしょう。主イエスと離れがたく結び合わされることによって、主イエスの家族の者たちも、深い神の摂理のうちに、「主の復活の証人」(22節)となるべく備えられていたのです。