メッセージ  (説教より)
「使徒言行録」


「あなたは生きることができる」  使徒言行録3章1-10節

「生まれながら足の不自由な男」がエルサレム神殿の「美しい門」と呼ばれる門の傍らで毎日物乞いをしていました(2節)。この男にはそうする以外に生きるすべがなかったのです。エルサレム神殿の「美しさ」は、この男に対して何の力にもならなかったのです。
 そこを通りかかったペトロとヨハネは、この男をじっと見て「わたしたちを見なさい」(4節)と言いました。ペテロとヨハネは、この男をどのように見たのでしょうか。「あなたも、復活の主イエスの恵みによって、生きることができる」と思ったのではないでしょうか。「私だって本当に惨めで無力な者だった。主イエスを三度も否んでしまった。しかし、復活の主イエスは私をお見捨てにならず、死人をよみがえらせる復活の力によって私を新しく造り変えてくださった。あなたも、主イエスを信じるなら、主イエスの復活の命に与って新しく生きることができる。」そうペテロは確信したのです。そして「わたしには金や銀はないが、持っているものをあげよう。ナザレの人イエス・キリストの名によって立ち上がり、歩きなさい」と言って、男の右の手を取って立ち上がらせたのです(6~7節)。
 このペテロの、信じ切って、男の手を取って起こす力強い行為が、虚無と絶望の中に死んでいた男の心に信仰の火を点したのです。「私も主イエスを信じて、その救いに生きたい」という信仰が、男の心に宿ったのです。その信仰に復活の主イエスが答えてくださったのです。男の心の中に主イエスを信じる信仰が生まれたことが、癒しの第一歩だったのです。