メッセージ  (説教より)
「フィリピの信徒への手紙」


「すべて真実なこと」        フィリピの信徒への手紙4章8—9節

「すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、また、徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい」(8節)、とパウロは言っています。
「心に留める」とは、熟考するという意味の言葉です。しっかり昧わって、大切にする、という意味が込められています。
 ここで言われていることは、信仰のあるなしに関係なく、この世の現実の中で起こっていることについて言われているのです。この世の現実の中で、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて尊ぶべきことを心に留め、大切にしなさい、と言うのです。この世は悲しいこと、恐ろしいこと、おぞましいこと、醜いことに満ちていますが、それだけではなく、人問として尊敬すべきこともたくさんある、それらを心に留めよ、と言うのです。
 音楽はその最たるものでしよう。スポーツ、学問、その他さまざまの文化的営みは私たちを感動させ、尊敬の念に導きます。それらを心に留め、大切にするのです。そして、その心をもって、それらこの世の尊ぶべきすべての事柄の頂点にある神の御子イエス•キリス卜の救いの真実に心を向けるように、それがパウロの言わんとすることです。
 主イエスにおける、どんな人問も分け隔てなく愛される愛の真実、人間の罪を忍び抜く十字架における罪の赦しの真実、そして、復活と聖霊による救いの働きの真実に深く心を留め、それを尊ぶのです。それに信頼するのです。それが「平和の神」(9節)と共に生きる道である、とパウロは言うのです。