「整形外科」と「接骨院」の違い

「『整形外科』と『接骨院』の違いは何?両方とも健康保険が使えて『骨』関係の治療を行うから同じかしら?」なんて思ったことはありませんか?実は整形外科と接骨院はまったく違うものです。最も大きな違いは「医師」と「柔道整復師」という資格の違いですが、診断・治療を行えるのは「医師」のみに許可された行為であるということをご存知でしょうか。その他にも下に挙げるような違いがあります;

病院

分類: 診療科

医師による診療(資格: 国家資格(医学部卒業後、6年の研修期間あり))
 ・ 病気の診断が出来る
 ・ レントゲン等の撮影が出来、診断を下すことができる
 ・ 薬の処方が出来る
 ・ 注射、点滴、手術による治療が出来る
 ・ 内臓の病気が原因であるときに適切な治療を行える
 リハビリ指示書を作成するが、基本的に医師が直接リハビリをすることはない

 

接骨院

分類: 施術所

柔道整復師による施術(資格: 国家資格(専門学校)/資格取得後すぐに開業が可能)
病気の診断ができない
       (例:「骨折の疑いがある」とは助言できますが、「骨折している」と診断する事はできません)
  レントゲン撮影はできない
薬の処方はできない
出血を伴う治療行為はできない
 ・ 柔道整復師がリハビリ的手技や施術を行う
 ・ 関節を緩める手技など、いわゆる西洋医学的には評価の難しい独自の施術を持つ

 

これらのことは法律により明確に区別されています。熟練した柔道整復師であれば、患者さんの症状を診て骨折の可能性を疑うことはできますが、レントゲン写真を用いて確認することはできませんし、医師でないものが「骨折」と診断することは許されていません。緊急の場合には骨折を疑い「整復」を試みる柔道整復師もいますが、整復後の骨の状態を確認する術はありません。残念ながら骨折していたにもかかわらず接骨院での施術を続けたために、骨折部分が変な形で癒着・癒合してしまい、後々不具合をきたし来院される患者さんは少なくありません。また、腰痛、肩こりなどで病院以外のところで施療され、椎間板ヘルニアやその他の脊椎の病気が悪化する例は多いです。一方、捻挫や筋肉・腱の疲労による痛みに対し手技による施療(接骨院によってかなりバラつきがあるようです)、関節技など接骨院が得意とする分野も沢山あります。目的・症状にあわせて病院・治療院の選択をされることをお勧めします。

 

街で見かける「整体院」は無資格、もしくは国家資格ではない資格保持者の施術所です(「整体師」という国家資格は存在しません)