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過労性脛部痛(シンスプリント)
シンスプリント(shin splints)は、整形外科用語によると『過労性脛部痛』であり、広義には前
脛骨筋部の疼痛も含まれることもあるが、ここでは脛骨後内側、主に中1/3〜下1/3へかけて の疼痛をさして述べる。脛骨はわずかに前彎があるため、前方骨皮質には伸張負荷、後方骨 皮質には圧縮負荷が加わる(図5)。 これらの反復の結果、骨組織に破断が生じたのが疲労骨折である。
○ 好発年齢・レベル
疾走型は10代から30代までのすべての年代でみられるが、高校1年生での発生が多い。女性
に多い印象であるが、同一競技レベルでの比較ではさほど男女差はなく、トップレベルまでの あらゆるレベルで発生する。 跳躍型は10代と20代の選手がほとんどで あり、特に年齢的特徴や性差はない。
○診 断
圧痛の局在部位の確認により大部分は臨床診断されるが、ほとんどの場合、
脛骨側方X線像により確定診断される。 疾走型では完全なトレーニング休止ではなく、固定式自転車や水中運動、疼痛の発生しない
強度のランニングであれば許可する。また、着地衝撃を緩衝する目的で足底板の作製も行う。 受傷の要因になりうる筋タイトネスや関節可動域制限がある場合は、ストレッチングや関節モ ビライゼーションを行う。さらに、衝撃緩衝に必要な下肢筋力の強化も指示する。受傷後1〜2 か月でほぼ100%競技復帰できる。 跳躍型ではスプリントやジャンプのトレーニングを休止させ、同様に固定式自転車や水中運動
を行わせる。筋力トレーニングにおいても、脛骨の骨折部より遠位に抵抗が加わる運動や脛 骨に衝撃の加わる運動は禁止する。骨折線の縮小に合わせて少しずつランニングを許可して いく。保存療法により骨折線の消失まで通常3〜6か月を要する。手術例でも骨癒合には術後3 〜6か月を要する。髄内釘の横止め螺子を使用している場合は、螺子を抜去しその穴が埋ま ってきてから本格的なトレーニングを開始するべきである。治療が長期化する例では元のレベ ルまでの復帰が難しい場合があり、復帰率は80%程度である。 疲労骨折は陸上競技においてしばしば遭遇するいわゆるオーバーユース症候群の代表的な
障害である。 ○予 防
@硬い路面でのトレーニングの回避(練習環境への配慮)
A選手のコンディションの状態の監督、コーチへの報告、及び練習量に対するアドバイス(練
習量への配慮) B足部および足関節の筋力強化
(1)足趾の伸展、屈曲(タオルギャザー)
(2)足関節のチューブトレーニング(外反、内反、底屈、背屈)
C練習でのシューズの使い分け(ロード走時は衝撃吸収能の優れたシューズの使用)
D下腿、足部の筋の柔軟性の獲得(ストレッチング)
E不良なアライメントの修正(足底板の使用)
F女子選手に対する無月経への対応
○現場での評価
@初期症状のサイン(違和感)を見逃さない:選手の多くは患部周囲への違和感を初期の段
階で訴えることが多い。この時期は患部の圧痛がまだ明確ではないので、選手の訴えに十分 気をつけ、疲労骨折の疑いがあれば早期にトレーニングの量・強度・内容を修正させる。 A触診による圧痛部位、軽度の腫脹の確認:シンスプリントとの鑑別診断が求められるので、
初期にはしっかりと圧痛部位を触診により確定する。その後必ず医療機関を受診させ、画像 診断(X線、骨シンチグラム、MRIなど)を受けさせる。 ○応急処置
突発的な外傷ではなく徐々に発症するので特別な方法はないが、痛みや違和感が発現すれ
ばアイシングを実施する。また痛みが強い場合は松葉杖により免荷し、患部に過度な負荷を かけないようにしてもよい(骨折の予防)。 ○リコンディショニング(治療)
練習を継続し強いストレスがかかると完全骨折に至ることがある。そのため、疼痛を自覚する
ときは、練習は原則的に禁止する。患部外トレーニングを中心として、患部に直接体重や負荷 をかけないように、非荷重位でのウエイトトレーニングによる筋力の維持や、持久系トレーニン グとしてエアロバイク、水泳を積極的に行う。特に女子選手は練習休止による体重増加(体脂 肪の増加)の傾向が大きいので、競技復帰後を考慮して持久系のトレーニングを十分に行わ せるべきである。 1)患部に対するリコンディショニング
骨折部の骨癒合を促進するため、温熱療法を含めた物理療法も行う。また低出力超音波骨
折治療器(セールス・帝人(株)製)を活用してよい。 2)患部周囲のリコンディショニング
足部、足関節周囲の筋力トレーニングを行う。種目としてはタオルギャザーや足関節の内
反・外反や底屈・背屈を中心としたチューブトレーニングを非荷重位のトレーニングとして実施 する。筋力が増大してきたら、荷重位のトレーニングとして最初は坐位でのヒールレイズを行 う。その後は立位でのヒールレイズを行う。 ---林光俊編集主幹、岩崎由純編集「種目別スポーツ障害の診断」
南江堂2007年11月20日発行
1.陸上競技:ドクター編;鳥居俊・山澤文裕著
トレーナー編;増田雄一著より
ケアの実際
内反脛骨を治す 内反脛骨になるのは、長趾伸筋などの外転・外旋筋群が縮んでいるためです。 外転・外旋筋群のストレッチをしましょう。また、シンスプリントには後脛骨筋が最も関係していると言われていますので、後脛骨筋の停止部である足根骨(内側・中間・外側楔状骨)が下がっていないかチェックします。内側縦アーチと外側縦アーチにはシーソー現象がありますので、内側縦アーチが下がっているのは外側縦アーチが上がっているためですので、外側縦アーチを下げるために足の外転筋群(長・短趾伸筋、長・短腓骨筋)のstretchを行います。
引用・参考文献
1)寺山和雄ら監修:下腿と足の痛み、南江堂、2001,
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