陸上競技選手に多い傷害と種目特性
陸上競技は「走る、跳ぶ、投げる」を競うスポーツですので、種目によって発症する傷害の種類も違ってきます。そのために、スポーツ傷害の処置・予防法、コンディショニングも種目に応じたものにしなければいけません。
スポーツ傷害は、トレーニングや試合が原因となって起こるもので、スポーツ外傷とスポーツ障害に分けて考えられています。
スポーツ外傷(injury)は、1回のスポーツ中の動作(走・跳・投)やアクシデント(転倒・衝突など)が原因で発症するもので、骨折、捻挫、脱臼、打撲などをいいます。
スポーツ障害(disorder)は繰り返し行われるトレーニングによって生じるもので、一種の過使用症候群といえます。徐々にあらわれる腰痛、膝痛、肩痛などです。また、疲労性骨折も含めます。
陸上競技は、大腿部の肉離れ、足関節の捻挫、膝関節の炎症、腰痛症が多く、他の競技と比較しても大腿部の肉離れの頻度が顕著に高い結果を示しました。逆に打撲、膝の捻挫などのスポーツ外傷は、他の競技よりも極端に少ないようです。
競技種目別では、短距離・ハードルでは、大腿部の肉離れが多く、特にハムストリングス(太ももの裏側)の肉離れがほとんどです。
中・長距離では、下腿疲労骨折、アキレス腱炎、足部疲労骨折といった下腿部の過労性使いすぎ症候群(overuse syndrome) が多いようです。
走高跳・走幅跳・三段跳・棒高跳等の跳躍種目では、足関節捻挫、腰椎椎間板ヘルニアが多く見られます。
投てき競技では、やり投げ以外では重いものを持って身体を捻ることによって、投げる為
腰部の傷害が多いようです。
やり投げでは、肘の傷害が最も多いようです。
引用・参考文献
1)(財)日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部会編:トレーナーからのアドバイス;陸上競技社,1997.
2)栗山節郎編著:新・ストレッチングの実際;南江堂、2000.