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アスベストによる健康障害

講師:福山市中国中央病院呼吸器科内科
    医長 岡田 俊明 先生
第15回広島低肺友の会総会
平成19年06月03日
アスベストによる健康障害
 一昨年クボタ神埼工場の周辺住民に胸膜中皮腫の発生がみられたことで、アスベスト(石綿)による健康障害が社会問題となりました。そもそも石綿はその性質(耐熱性、防音性、絶縁性、経済性など)より魔法の鉱物といわれ重宝されていた時代もあったようで、我々の生活の中では配管、断熱、ボイラー作業、造船所内の作業、建築現場での作業等様々な職種で使用されていましたが次第に石綿の吸入に伴う発癌性が問題となってきました。海外では1960年ごろより中皮腫と石綿曝露の関連について報告されるようになり、日本でも1973年に石綿肺に合併した胸膜中皮腫が報告されました。その後、日本でもやっと1975年に石綿の吹きつけが禁止となり、最終的に石綿の輸入製造、石綿の含有製品の使用が法律で禁止されたのは平成に入りつい最近のことです。よって今後石綿吸入によって発生する健康障害は今後さらに増加していくと思われます。
 石綿曝露に伴う肺胸膜病変については比較的低濃度曝露でも生じるといわれている胸膜プラーク、胸膜中皮腫があり、職業性曝露に相当する高濃度曝露で発生する石綿肺、石綿肺癌が挙げられます。

 胸膜プラークとは胸膜肥厚班あるいは限局性胸膜肥厚とも呼ばれる胸膜病変で日本では石綿以外の鉱物繊維の影響は極めて少なく、もっぱら石綿に起因すると考えられていて、一般住民にも発生しうる病態です。病理学的には細胞成分が少なく、硝子化を伴う一様な繊維組織を主体としたものです。また、発生までには石綿曝露開始から最低でも10年はかかり、石灰化を伴った胸膜プラークは20年以上要するといわれています。ここで大切なことは胸膜プラークはあくまでも石綿を吸入した刺激で胸膜が肥厚している病態であり、治療の対象となる病気ではありません。また、胸膜プラークは胸部単純写真では石灰化を伴わないものは描出されにくいため、プラークの有無に関しては胸部CTが不可欠と考えられています。
 石綿曝露に伴う石綿肺、原発性肺癌、胸膜中皮腫については石綿を扱う業務が原因で発症したと認められる場合には労災補償を受けることができます。 
石綿肺は石綿の高濃度曝露によって発生する塵肺であり、胸部X線で下肺野を中心に不整型陰影を認め、病理学的にはアスベスト小体を認める間質性肺炎です。しかし、画像的にはしばしば特発性間質性肺炎との鑑別が問題となるため、石綿の高濃度曝露の既往の有無が鑑別のポイントとなります。石綿肺は塵肺の一種のため咳、痰などの呼吸器症状が出現することがしばしばありますが、特別な治療法はありません。対症療法が主体となります。また、重度の呼吸障害が発生し、低酸素血症を合併した場合は在宅酸素療法の適応となります。労災補償の対象となるのは、呼吸機能上、塵肺管理区分4に相当する著しい呼吸機能障害を来した場合そして肺結核、続発性気胸、続発性気管支炎などの合併症がある場合です。
 原発性肺癌に対しては基本的には通常の肺癌と比べて発生部位、組織型など通常の肺癌と比べても特徴的なものはありません。また、肺癌の発癌には石綿曝露量が多くなるほど発癌のリスクが高くなるという量―反応関係が指摘されています。さらに肺癌の発生要因としては喫煙が重要な要因とされていますが肺癌の死亡率は石綿曝露によって5倍増加し、喫煙によって10倍増加するといわれています。(両方あわせると50倍増加すると考えられます)
 石綿吸入に伴って発症した肺癌は石綿肺を合併した肺癌と石綿肺を合併しない肺癌と2種類あります。石綿肺を合併した肺癌は石綿肺の所見が塵肺法に定める胸部レントゲン写真が第一型以上である石綿曝露作業者に発生した原発性肺癌、石綿肺を合併しない肺癌については石綿の職業曝露従事歴が基本的に10年以上あり、かつ、画像的に胸膜プラークの所見があるか肺内に石綿小体が職業性曝露を示唆する程度に存在することを満たせば労災請求の対象となります。
 中皮腫については中皮細胞の存在する胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜に発生する悪性腫瘍です。発生部位は胸膜が80〜90%と最も多く次いで腹膜が10%、心膜、精巣鞘膜は数%といわれています。また、中皮腫の80%は職業性石綿曝露に伴い発症するといわれていますが、肺癌と異なり、低濃度曝露でも発症するといわれています。胸膜中皮腫の初発症状は息切れ、胸痛、咳、発熱が多く、腹膜中皮腫は腹痛、腹部膨満感といわれています。画像的には約80%に胸水の貯留を伴い、辺縁不整で一部結節状となるびまん性の胸膜肥厚像が見られます。診断の確定には胸水穿刺のみでは不十分で組織学的診断が必須と考えられていますが、診断に難渋する例も少なくなく、免疫染色等を駆使して行われています。
 治療については症例数が十分でなく確立されたものはありません。ある程度限局した状態のものについては手術が試みられるものもありますが、少数であり大半が抗癌剤を用いた治療が行われています。
  中皮腫の労災認定については胸部レントゲンで第1型以上の石綿肺の所見があること、または石綿の職業曝露従事歴が1年以上あり、かつ画像上胸膜プラークの所見を認めるか肺内に石綿小体が職業性曝露を示唆する程度に存在することを満たせば対象になります。
 石綿障害に対する今後の対策として石綿曝露の可能性のある労働者に対して胸部CTを撮影して胸膜プラーク等の所見が存在するかどうか確認すること、胸膜プラーク等の有所見者に対しては胸部健診を行ない肺癌、中皮腫の早期発見に努めることが大切と考えられます。

T石綿に石関する作業
(石綿ばく露歴調査表 Uに対応)
1-19 高濃度ばく露、中等度ばく露、事例報告の多い作業

1、 石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業、石綿鉱山の坑夫、製綱、ワイヤーロープ製造、石綿セメント、石綿パッキング製造、グラインダーで石綿含有物を研磨しています、吹きつけ石綿用に工場で調合された梱包形態、

4、配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業【労災認定事例有ります】

6、船に乗り込んで行う作業(船員 その他)船員、機関士、航海士、乗組員、石綿保温材・煙突 材、石綿含有ボード(外壁材・内装材) 【労災認定事例有ります】

9、石綿パッキング・ガスケット、各種口径石綿パッキング、ガスケット・ジョイントシート、自動車エンジンルーム内のガスケット。

10、石綿織物・布・ひも・テープ・リボンなど、高熱作業石綿防護服一式、溶接火粉防止用石綿布、石綿糸・ひも・石綿テープ(本物ではありませんが、このような○形状をしています)

16、石油精製工場・科学工場内精製・製造作業や配管補修等の作業・産業の概要日本の重化学産業界(製造)・石綿含有ボード【労災認定事例有】

11、12、鉄工所または鉄鋼製品製造に関わる作業・耐熱(耐火)服や耐火手袋等を使用する作業、関連する職種(一般の呼称)鉄工、製鉄工、炉前工、溶解炉工、溶接工、圧延工、鍛造工、鋳物工、【石綿製品(代表的な2,3)】石綿耐火服・手袋・靴など、石綿織物・ひも・テープ・リボンなど・石綿保温材・煙突材・石綿含有摩擦材(ブレーキパット)
  1. 【概要】製鉄は非常に熱エネルギーを必要とする産業で多量の断熱材などが使用されています。コークス炉をはじめ、暑い(熱い)ところや粉じんの発生が多い作業環境です。
  2. 石綿布で出来た断熱服。表面にアルミ箔などで覆い輻射熱も防ぎます。これらは製鉄のみならず消防や各分野で使用されてきました。現在はノンアス製品となっています。
  3. 高炉前などでの作業は高熱との戦い。断熱服での完全防御は必須です。古くには石綿帽子、石綿手袋、石綿長靴までありました。
    製品の劣化により石綿が飛散した可能性があります。
  4. 製鉄・製鋼・の巨大な装置類は、このほか建物内の石綿吹きつけやスレート製品なども多用されています。
  5. 町の鉄工所はこんな雰囲気です。溶断・容積が多いので石綿布はかかせませんでした。また建物ストート使用が多くみられます。
  6. 工場の方隔にある造作野丁場。フレキシブルジョイント(配管との接合部に石綿パッキングを使用していたことがある)、石綿パッキングなどが雑燃と置かれています。劣化により飛散の可能性があります。
【労災認定事例】あります。

13、自動車・鉄道車両等を製造・整備・修理・解体する作業。

14、鉄道等の運行に関わる作業。
  1. 自動車修理工場。以前、特定の車種には、ボンネット裏にエンジンからの放熱による色落ちを防止する目的で石綿フェルトが張られているものがあります。
  2. 同じくマフラーには、高熱による排ガス熱の断熱目的で、断熱材を内張りしているものがあります。
  3. 自動車のブレーキパッド。以前は、鉄粉、石綿その他混和材を入れたディスクの磨耗の低減および制度効率のアップを図りました。
  4. 物流基地。石綿含有商品をフォークリフトで積み替える時に破損などが皆無いとは言い切れない。
  【労災認定事例】あります。

15、ガラス製品製造に関わる作業。も【【労災認定事例】あります。
  呼吸器専門医師も、じん肺、中皮腫、肺がん、最近喉頭ガン、プラ―クも補償対象なり発見が困難であると言われています。

16、【石綿健康管理手帳の交付要する書類等地域の労働監督署あります】申請は各都道府県労働局長宛
  • 当てはまる作業に従事した場合は、事業所等が承認して頂く。事業所がしない場合時は自分で記入又、同僚2名以上承認が必要とする。本人が記入する「経歴」また、その本人の住所の各都道府県労働局長宛に申請すると県労働局が調査します。
  • 申請が完了したら広島県指定の病院広島県呉市広労災病院・広島尾道市尾道総合病院2ヵ所としています。
  • 手帳が申請して受け取ると年2の健診受ける事に成り交通費は公共交通費、健診費用は公費負担となります。
文責 下田 忠義