プロペラの性能と騒音について                 Y/suzuki 編 (初級・中級)
1.先ず「よいプロペラ」どんな特性のことを言うのでしょうか?
機体としてみると、同一のエンジンでの
           @ 離陸距離が短い(静止推力が強い)
           A 回転数が低く巡航できる(巡航速度が速い、エンジンの負担が少ない)
           B 騒音が少ない
           C 使いやすい
           D 価格が安い

等があげられるのではないでしょうか、この中で現在のマイクロライト環境では特に@ABが
重要と思います。

@の離陸距離を短くするには、機体が静止した状態から離陸速度に達するまでにいかに早く
加速するかにかかっています、これは静止推力の大きさ次第です。
この静止推力を大きくするには、直径の大きいプロペラをゆっくり回せば良い。でも装着できる
直径には限度があります。
現在では72インチ(182.88Cm)が限度と聞いています一般的に大きな直径のプロペラをゆっくり
回す方が小さな直径のプロペラを早く回すよりもより多くの空気を押すことができます。
従って静止推力が大きくなりまり又、音も静かになります。
プロペラの直径、回転面積が静止推力と音に関係することがわかります。



○ 回転面積は、 π×r二乗=面積から
       回転面積
36インチプロペラの回転面 面積  3.14×0.45 2=0.636u
52インチプロペラの回転面 面積  3.14×0.66 2=1.37u
60インチプロペラの回転面 面積  3.14×0.76 2=1.81u
72インチプロペラの回転面 面積  3.14×0.91 2=2.60u
このようにプロペラの直径を大きくすると回転面積は劇的に増加します。
もう一つの要素はプロペラの先端遠度です。一般の航空機において可変ピッチプロペラのピッチを小さくしプロペラの先端速度を音速に近づけると耳をつんざくような音が発生します。このように先端速度は騒音と深い関係があります。
プロペラのピッチを小さくする時には特に注意しましょう。プロペラの先端速度(Km/h)は、=(π×プロペラの直径)×(エンジンの回転数÷減速比)×(60分÷1000m)となります。ロータックスの場合で試算すると次の表1のようになり、ポロペラの先端速度は簡単に音速(約1012Km/h)を超えてしまいます。
表1 プロペラの直径(インチ)
52 56 60 64 68 72
ギヤーの減速比 2.58:1 598 646 689 737 785 828
2.24:1 689 745 795 851 905 956
2.00:1 793 833 889 952 1012 1070
したがってて減速比の大きいギアボックスの方が静止推力も騒音も有利と言えます。
最近は3:1、4:1のギヤーボックスも発売されており、これはヨーロッパ等では低騒音選手権があり、優勝機は4:1のギヤーボックスに6枚使用していました。
最近カーボンの3枚プロペラが流行していますが、推力が思ったほど出ないと言う話をよく効きます。効率の点では6枚より3枚,3枚より2枚、2枚より1枚の方が推力は確実に出ます。
一般的に2枚から3枚に増やす理由は2枚ペラで馬力を上げていくと、その馬力を吸収するためにペラの直径を大きく、又ピッチを大きくしていく訳けですが、やがて地面や機体にあたってしまいます。そこでブレードを1枚増やしていくわけです。現在の日本のマイクロライトの馬力は80馬力が最大ですのでプロペラブレードのコウリツ剛率(ソリディティー)さえ十分であれば2枚プロペラの方が確実に推力は出ます。カーボン3枚ペラが3枚でなければならない理由は、ブレードの剛率(ソリディティー)が足りないので60馬力以上ではブレード2枚でその馬力を吸収することができず、ブレードが反ったりピッチが戻ったりするので羽数を増やして対処しているのです。従ってカーボン3枚プロペラと木製の2枚プロペラではダイヤ・ピッチが最適であれば、推力は必ず木製の2枚プロペラに軍配が上がります。
しかし騒音についてはブレード枚数が増える程静かになります。6枚プロペラでは音は激減するそうです。
次にピッチについてですが、ピッチはねじと同じでプロペラが1回転する間に進む前進距離(インチ)です。
ピッチ36とは1回転で36インチ進むプロペラの迎え角のことになります。しかしプロペラのピッチは全羽根において一定ではないので r=0.7Rのところの値で代表させて幾何平均ピッチと言います従ってD(ダイヤ)72インチ P(ピッチ)40インチのプロペラは、迎え角が1回転で40インチ進むプロペラのことをいい、D×P = 72×40と表します。

@地上でフルスロットルで最大馬力回転数より200〜300rpm以下となるようにピッチをあわせる。
ダイヤ・ピッチの関係はマイクリライトの使用範囲では次の交換が大雑把に成り立ちます。大変役に立ちますので覚えておくとよいでしょう。
現在マッチしているプロペラのダイヤの変更
D66×P40 D72にしたい Dを6増やしてPを6減らす 72×34
D68×P38 D60にしたい Dを8減らしてPを8増やすす 60×46
現在マッチしているプロペラの枚数変更
D×P=66×40の2枚ペラをDを変えずに3枚ペラにしたい P40×√2/3=40×0.8=66×32の3枚ペラ
D×P=64×34の3枚ペラをDを変えずに2枚ペラにしたい P34×√3/2=434×1.23=64×42の2枚ペラ
となります・・・・がちょっと難しい?

また、プロペラの回転方向はプロペラを回転させ、風下側から見て時計回りであればライトハンドローテーション略して(HR)、半時計回りであればレフトハンドローテーションと略し(HL)と呼びます。
騒音の問題はプロペラ以外に音を小さくする要素としてエンジンを4サイクル水冷にすれば2サイクルエンジンに比較しておとが激減しますでも現在の型式において難しい問題です今後はやはり4サイクルエンジンが普及するように何とかしたいものです
。騒音問題については必ず解決しなければならないと思います。       以上
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