平和と基本的人権を守ろう仲間たちの連絡会(略称 へいき連)

声・呟きNo145            webへいき連             2023年 5月 4日

<声・呟き>

維新の躍進と大阪の衰退
-議員定数削減は「野党という監査役の排除」なのだ-

東京都、大阪府、埼玉県、神奈川県、愛知	県、千葉県の有権者数と議員定数の比較 維新は4月の選挙に於いて躍進、次は「国会で野党第一党をめざす」のが維新の野望である。だからこそ維新の危険性を さらに強く訴えなければならない。翻って考えると、現在の自民党政権は議会での多数をたのんで横暴の限りを尽くして いる。防衛費については国会を無視して閣議決定より2倍増を決め、それを前提に予算審議を行った。さらに言えばコロ ナ対策で獲得した12兆円の予備費の約9割の使途が不明のままなのである。
 この国会で多数を占めた自民党の横暴、その大阪版が「大坂維新の会(大阪の与党)」の暴政なのである。そして維新 は選挙勝利の直後、議員定数と選挙区割りに手を付けてきたのである。

1.大坂維新の会、大阪市議会の議員定数削減を提案する方向

大坂のMBSニュースは4月28日「【維新】大阪市議会の定数を『10程度削減』の条例改正案を提出の方向で調 整」と報道した。「身を切る改革」の実体は政敵である野党の身を切る改革、というわけだ。
令和5年4月の一般選挙より定数が変更となあ		る選挙区  すでに大阪府議会については定数削減を行っている。それが右表のような定数変更と一人区の出現である。
 その結果今年行われた府議会議員選挙では4年前より11人議席が減となっており、これが維新圧勝の要因とも言える のだ。
 大阪市議会議員定数削減はこれに続くものなのだ。各選挙区での最下位当選者や次点落選者は与党(維新)以外が多い のは当然である。府にしても、市にしても10人ばかりの議員を減らしても財政削減効果は知れている。それよりも与党 の予算執行状況をチェックするいわば「監査役」の野党を減らす悪影響の方が大きいのだ。
 私はこれを維新の暴走であると非難したい。そもそも維新は「選挙で勝ったものは少数者の意見を無視してもよい」と いう政党なのだ。こんな政党が躍進したらとんでもないことになる。すでに大阪は雑草も生えない荒野のような状態にな りつつある。

2.企業も人も大阪から逃避している

感染「第6波」における都道府県別の死者		数と死亡率 「身を切る改革」により大阪府や大阪市の役所内には非正規雇用の職員が増え、住民に直結するサービスは低下の一途を たどっている。コロナによる死者数がワーストワンということだけでも、それを示しているのである。産業も衰退の一途 であり、大阪から撤退する企業も相次いでいる。大阪から東京に移転した企業は67社で。移転元別集計では大阪が一位な のだ。大阪万博で東京から大阪に進出する企業が増えるというが、万博はイベントにすぎない。持続力が期待できるもの ではない。人口減少や転出超過などの統計でも大阪は常に上位を占めているのだ。少子化、人口減の全国的傾向の中で、 大阪は群を抜いているのだ。

3.IR・カジノ事業強行という維新の暴走とIR予定地の地盤沈下

吉村洋文氏と横山英幸氏の写真の写真" 維新の目玉政策である「大阪IR開業」についてだが、公営賭博施設の是非は言うまでもなく、事業による経済効果自体 が疑わしい状況となっている。そして大阪については夢(ゆめ)洲(しま)地盤沈下の問題がある。「液状化、土壌汚染、地 盤沈下」とかつての東京都豊洲をはるかに凌駕する難題が山積している。現在も遅々として工事が進まない沖縄辺野古基 地さえも上回る悪条件なのである。
 しかも、IR誘致を進めているが、多額の費用で工事を進めても、1㎡当たり月額428円という低価格で事業者に貸 し出されるということである。しかも事業者がIR事業から撤退を決める際は、無条件、ノーリスクで決定できるという のである。
 大阪市の松井前市長は「IR、カジノに一切税金を使いません」と見えを切ったが、土地改良にかかる膨大な費用は港 営事業会計で市債を発行するということだ。年間25億円の事業者に課す賃貸料で市債の返済をすることになるが、前述 したとおり事業者が撤退すれば、それは市の会計を圧迫するのだ。

4.「身を切る改革」は住民に「自己責任」を押し付けるものだ

維新は大坂府と市の議員定数削減により長期与党として君臨しようとしているが、「身を切る改革」により住民の所 得は低迷し、生活保護世帯も増加の一途をたどっている。維新方式のベーシックインカムによって、貧困を解消するなど と言っているが、年金や生活保護など今の保障を見直して、たった月7万円を配ることによって貧困を解消できる、とい う。まさにあきれ果ててしまうのである。日本経済における大阪の衰退は進むだろう。大阪万博・IRといった悪夢の計 画で潤うのは一部の利権業者だけである。維新が行っている財政健全化とは住民に「自己責任」を押し付ける政策であり、 結果的に大阪に住む人を減らす政策なのだ。

2023年 5月 3日 殿山梧楼