平和と基本的人権を守ろう仲間たちの連絡会(略称 へいき連)

声・呟きNo143            webへいき連             2023年 4月2日

<声・呟き>

小西議員がオフサイド? オウンゴール?
-高市は捏造発言でもお構いなし、小西は失言で更迭-

 先月は2度にわたり、「小西議員の『放送法解釈変更』との闘い」について書いた。ところが3月31日に立憲の 泉代表が小西議員処分との報道があった。一体全体、何が起きたのか。これはサッカーに喩えると、ゴールを窺って突進 中だった小西議員がゴール前でオフサイド、あるいはオウンゴールをしたかのような結末 である。何が起きたの か、それを検証してみよう。(以下、個人名は敬称略とする)

 1.産経新聞がスクープした小西議員の「サル・蛮族」発言とは

まずは、「サル・蛮族」発言について本人のツィートを引用する。(以下)

【お詫び】 昨日の私のオフレコの場での「衆院憲法審の毎週開催はサルがやること」との発言ですが、続 けて 即時に撤回の意思表示をしていますが、前半だけが切り取られ報道されたものでした。
また発言の真意である、「議員の任期延長」の改憲を企図した毎週開催が以下の点などで深刻な事態を生 じて いることの説明発言については、一切報道されておりません。①昨年の衆参憲法審の四名の学者の衆 院報告への 「議院自律権の濫用批判等」にもある法の支配・立憲主義への違背 ②憲法違反問題の国会 法上の調査義 務への違背 (国会機能の確保の改憲理由の一方でコロナ禍の臨時会召集義務違反の放置 等)いずれにいたしま しても、複数の記者の方々から自社ではこうした報道の仕方はしないと言って頂くよう な、オフレコの場面における即 時の撤回等をしたものではございましたが、私の発言報道により不快な思いを された方々にお詫びを申し上げます。

 以上であるが、注釈が必要なので以下、解説したい。3行目からの内容は、現在国会で進行中の「憲法審査 会」 での議事内容に関するものである。驚くべきことに、同審査会では「緊急事態条項」が論議されており、 これが国会で 「三分の二で可決」とするか、「二分の一で可決とするか」が論議されているのである。4行目 最後に始まる「議院自 律権」の説明は長くなるので結論だけ言えば、国会への出席ということについて「オン ライン出席も可」と審査会側が 多数決したことに対し、4人の学者がそろって批判したことを指している。
 いずれにしろ、小西は憲法審査会が「緊急事態条項新設を是」とした上で、週に一度開かれていることが「拙速であ る」と批判した。もちろん「オンライン出席を可」とすることも含めてである。小西のそのことに 対する憤りが 失言につながったものである。
 つまり、小西は改憲賛成派の自公維+国民民主党をサルとか蛮族と表現した。これはあまりにもひどい発言な ので、 小西はすぐに撤回したのであるが、それを無視、あるは「撤回するのですか?」との再確認もせずに産 経新聞がス クープしたものである

 2.憲法審査会の在り方を批判したのにそのことが報道されない問題

NHK報道は「「立民 小西議員『憲法審査会 毎週開催はサルがやることで、蛮族の行為だ』」と、小 西発言を伝えた。これである程度ご理解をいただけたかと思うが、小西は現在、「週に一回、改憲のためにだけ」と言っ てよいほどの議事内容で審査会が開かれていることに警鐘を鳴らしたのである。そもそも憲法審査会とは「憲法改正」だ けを議題にするのではなく、憲法の精神通り国政が行われているかを審査すべき、とい うのがその趣旨だ。1項での 「本人ツィート5行目の「②憲法違反問題・・・・」がそのことである。自公維+国民民主はそのことに留意せず、「緊 急事態条項新設」を前のめりに進めているのだ。

オンライン国会や緊急事態条項を巡る主な意見

 3.力をこめた産経報道でメディアの力が証明された

あえてこうした一連の動きを「小西騒動」と呼べば、この騒動で改めて認識されたのは新聞メディアの力 である。へいき連ご愛読の方々には産経新聞ご購読の方は少ないと思う。しかし御存じの通りYahooニュースなど、ふん だんに産経ニュースが登場する。ちなみに3月31日までに小西騒動を扱った記事数を挙げてみたい。産経11本、毎日、 東京が2本、読売、朝日、日経が1本である。つまりダントツで産経が多いのである。
 産経新聞の熱量をこの数字で知ることができる。そしてネットでは3月中のネトウヨの小西攻撃のツィート数 は膨 大である。だがそんなネトウヨの攻撃ではなく産経一誌の攻撃で小西は炎上した。そしてその炎におじけ づいた立憲泉 代表は早々と憲法審査会から小西を外すことを宣言したのである。私が小西であれば泉代表など は嫌な上司、と思うだ ろう。泉代表は木を見て森を見ず、産経新聞一誌のみ見て判断を誤った、私はそう思う のである。

 4.それでも小西は闘っている

産経新聞は元宮古島市議の石嶺香織氏に関し、「特権を使って市営住宅に不正入居した」などといくつかの誤った情報を 新聞記事とした。石嶺氏の訴状により地裁で産経新聞は敗訴した。だが罰則が軽すぎると石嶺女史は控訴中である。
 過去にはフジテレビが「集団安保は合憲」とした安倍政権の記事のみ載せ、野党が主張する意見を全く掲載 して いない。このようにフジサンケイグループは一貫して偏向報道を行っている。そしてこれに対し同グルー プとネトウヨ たちは「編集権侵害」とか「圧力だ」と騒ぎ立てている。元総務官僚ではある小西と、往時の安倍総理、双方を同一視す ることが間違っていることは明らかだ。小西は議会で政権に対する法案に反対する一票の権利しかない一議員である。そ して当時の安倍は権力者なのである。

 5.改憲の危機は迫っている、小西の叫びを聞きもらすな!

小西騒動の本質は憲法審査会が改憲を前提とした議題のみ議論し、前のめりに議事を進行させていることだ。その事実を 小西が発信しようとしたことである。そして私たちはそれを報道しないメディアについて断固たる批判運動を展開しなけ ればならない、改憲の危機は迫っている。その背後に戦争と「国家総動員」が迫っ ている。そのことを小西議員は そのことを訴えているのだ。立憲民主党は処分ではなく、全党挙げて小西を支 援しなければならない。

2023年 4月 1日 滑川整流