レンコン通信No90

平和と基本的人権を守ろう仲間たちの連絡会(略称 へいき連)

No90              webへいき連              2022年11月10日

レンコン通信№90

“原発依存度を低減する”は為政者たちの戯言

2022年 11月 7日  作 ユウキ コウユウ



岸田首相の写真  岸田文雄が政権として、安倍晋三の背後霊を気にせず取り組むのは原発新増設・再稼働でした。
 参院選勝利で「黄金の3年」を手に入れた岸田は、ロシアのウクライナ侵攻でのエネルギー危機を口実にすれば国民は簡単に騙せると 一気に原発回帰へと突き進んだ。「依存度を低減させる方針に変わらない」は為政者たちの戯言です。

 安倍カラーは迷彩色

原子力政策の転換内容  発端は8月24日に開催された第2回GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議でした。岸田は従来の政策をかなぐり捨 て、次世代原発開発・原発再稼働の検討加速化を指示しました。(このGX会議のメンバーに連合芳野友子チャンも入っています) 政府は、再生可能なエネルギーとして、太陽光発電、風力発電、地熱発電と取り組んだが、財界・大手電力会社は消極的でした。  この原発回帰で、巨額な投資と利益を生む新増設が可能となり
迷彩服を着ている安倍晋三の写真 経済界は政府の原子力政策の変更は世界の常識とばかり、もろ手を挙げて喜んだに違いない。
 しかし、使用済み核燃料の貯蔵は再処理工場の稼働の見通しが立っていないで貯まる一方。さらに、使用済み燃料を再処理するときに 出る高いレベル放射能性廃棄物(核のゴミ)の最終処分所が決まらず「核燃料サイクル政策」はお先真っ暗の状態だ。そんなことはお構 いなく、岸田政権は原発の新増設・再稼働に舵を切った。

 運転期間の延長 「次世代型原発」の建設促進

 経産省は9月15日、岸田首相の指示を受け、「今後の原子力政策」の検討方針を示した。その中の2つについて触れておく。
 その一つが、原発の運転期間を40年とする原子炉等規制法「40年ルール」の改定である。新聞報道によると、原子力規制庁の検討 事項は、「運転開始から30年を起点に10年を超えない期間で、建物、原子炉の劣化具合を審査」「停止期間は運転期間に算入しな い」のようである。現行の最大60年どころでなく、審査が通ればいつまでも続く。まさに、狂気の沙汰・「老朽原発は永久に不滅」の 域である。原子力規制委員会は「国民の安全を最優先」の理念の厳守と独立性の確保が原則だが、ある委員は期間については規制対象外 と居直っている。もっとも21名の委員は原発に懐疑的な姿勢を示す委員は数人、ほとんどの委員は政府が示した原発活用見解に同意す る段取りで、当然、結果ありきである。
 二つ目は、「長期脱炭素電源オークションの導入」が盛り込まれたことだ。この制度は、電力会社が脱炭素に対応した発電所をつくる 場合に、複数年にわたる収入を保証するもので、応募した会社の中から選ぶ。支援に必要なお金は、電気の小売会社などから集め、支払 期間は20年を想定している。家庭などの電気の利用者が小売会社に電気代を払っており、電気利用者つまり我々が原発建設費を負担す る仕組みとなる。

 安全神話の復活は許さない

 亡き安倍晋三は、東京2020誘致に際し「フクシマ・アンダーコントロール」と嘘をついた。今、岸田文雄は福島原発事故を語 らない。それどころか原発被災者への支援事業を基本的に打ち切り、放射性汚染水の海洋放出を強行しようとしている。フクシマを無理 やり収束させようとしている岸田はアベを上回る嘘つきだ。
 まだまだある。①市民の不安要因はテロ対策の不備。不透明な管理体制強化など(柏崎刈羽の例)。②地元との同意を得て、重大事故 の自治体を含めた避難計画の策定(東海第二の例)。③設備の劣化、経年によるトラブル散見。安全確保の点検の強化の重要性(高浜の 例)。これら住民の声、見て見ぬふりは許されない。手抜きも絶対許されない。安全神話を復活させないためにも。

・「脱原発」政策の破棄へ、また一歩進む。「原発40年」を葬る案を規制庁が示した。
・敵基地攻撃だ、継能力だと「危機」への備えを声高に唱える一方で、原発が狙われることは考えないご都合主義。
・きのうまで福井県などで原子力総合防災訓練。実施を定める法律は、武力攻撃は想定していないそうで・・・・・「敵」もそこまで はするまいとの奇妙な信頼感の下、再稼働や運転延長の話が進む。
 ウクライナ危機を見てもなお。

(朝日新聞「素粒子」より)