翻訳記事の部屋

アンソニー・モンゴメリー氏(ENT:メイウェザー)インタビュー
「STARBURST」誌 ISSUE292

記事提供及び翻訳:西川由実様

 テーマソングはまだとても受け入れがたく感じる

 イアン・スペリングがトラヴィス・メイウェザー少尉を演じるアンソニー・モンゴメリーに話を聞いた。少尉は銀河を探検するエンタープライズNX−01を操縦する。

 俳優のアンソニー・モンゴメリーはトラヴィス・メイウェザーを支える男である。メイウェザーはエンタープライズという素晴らしい船の操縦を預かっている。力強く、我々を楽しませてくれた第1シーズンを終えて、この最新のスタートレック・シリーズはその地位を確立した。我々はアンソニーに、第2シーズンではどんなことを期待できるのか、また彼のキャラクターがエンタープライズの忙しいブリッジの正面で座っているということについて、そのことで自分が何か脇役のようになっていると感じているのか、といったことを尋ねてみた。

 「エンタープライズでいちばんよかったと思うことは何ですか?」

 みんなの相性が合ったことがいちばん良かったと思う。そのことに誰も異論はないはずだよ。僕たちは家族みたいだし、自分達が一緒に一丸となってやっていることが大好きなんだ。ストーリーもどんどんよくなってきている。一つ一つの話の展開はそれぞれのドラマに違った要素を持ち込んでくる。これはスタートレックの世界でだけ通用することだと思う。視聴者は次に発明される何かカッコイイもの、つまり他のシリーズでみんなが既に慣れ親しんでいるものを見たがっている。そういったものは「エンタープライズ」の中で発見されるか発明されるかするんだ。僕たちがホロデッキのようなものを使うようになるかどうかはわからない。でも「エンタープライズ」のある時点ではホロデッキか、そのアイデアだけでも紹介するのは妥当なことじゃないかな。視聴者はテーマソングにも慣れてきたみたいだけど、まだ受け入れ難く感じている人たちもいるんだよ。

 「第1シーズンを通じて、役者としてのあなた、それにトラヴィスというキャラクターはどんなふうに成長しましたか?」

 役者として、僕は成長したと思う。今はそんなに不安感はない。でも最初の頃はみんな不安だったよ。スコット以外のだれもがね。スコットにそういう話をしたことは一度もないんだ。でも他のみんなとは話した。僕たちはとんでもなく大きなものの後任になろうとしていたんだ。第1シーズン終えて、僕は役者として落ち着きを感じるようになった。実際に体験してみないと、これがどんなことなのか、わからないだろうね。僕が落ち着いてきたから、トラヴィスも周囲に溶け込んできたと思うよ。

 「トラヴィスの人格や心の奥底がわかった特定の瞬間やエピソードを話してもらえますか?」

 「Detained」は多分、今までの中で僕がいちばん気に入っているエピソードだよ。それは差別に触れた作品なんだ。僕はインディアナポリスの中西部で育ったんだ。それでいつも差別を受けて育った。口に出すのも嫌なくらい悲しいけど、何週間か前、年輩の白人男性が僕のことを「ニガー」って呼んだんだ。もしそれが昔だったら僕は激怒して喧嘩したくなってたと思う。でもそうする代わりに僕はこう言った。「あなたは無知なんですね。」そして彼のところから立ち去った。確かにもう今では喧嘩するような年齢じゃないし、できることなら論争に関わりたくもないんだ。「あなたの世界では私はそういう存在なんだ。だったら勝手にそう思っていればいい。」と僕は考えている。それだけのことさ。真のスタートレックのファンは差別なんて考え方は持てないはずだ。どのスタートレック・シリーズも必ず、僕たちはみんな平等だということを扱ってきた。肌の色は関係ないし、鱗や他の何かがあっても関係ない。僕たちはみんな平等なんだ。「Detained」は説教口調になることなく、そのことを指摘したんだよ。僕にとっていちばん楽しいエピソードは、ジョン(ビリングスレイ)も含めた全てのキャストが同じステージか、セットか、ブリッジに一緒にいる話だ。僕はそういう時間が大好きなんだ。だってみんなで7人だけど、画面に7人全員が映ることはめったにないだろ?

 「第1シーズンは、アーチャー、トゥポル、タッカーの3人組に主に焦点を当てていました。でもあなたは俳優として自分の能力を発揮したかったのでは?中心的な目立つ立場に立てなかったのは辛いことではありませんでしたか?」

 全然そんなことないさ。そう感じる人もいるかもしれないけど、僕は全然気にしてないよ。僕は自分の役割を知っている。この番組は「トラヴィス・メイウェザー」って名前じゃないんだ。これは「エンタープライズ」という名前の番組で、船長が最優先だ。たまたま気の強いバルカン人がいただけさ。僕はこの3人組が好きだよ。タッカー(コノー・トリニア)がその中に入っているのは面白い。コノーを中に入れることでオリジナル・シリーズのユーモア感覚が再現されている。彼はカークとスポックに対するマッコイみたいな感じだね。トラヴィスは船のパイロットで、僕がクビになるまで彼はずっとパイロットだと思うよ。僕がクビになるとは思ってないけど。クビになったとしても、それは僕、アンソニーが進歩するための次のステップだと考えている。そうなったらまた別のキャラクターを演じるだろう。神様のご意思なら他のテレビ・シリーズをやるだろう。映画もやってみたいよ。画面で輝く存在になるために自分の時間を使えるといいね。僕は俳優なんだよ。「エンタープライズ」で中心的な存在でないことを気にしてはいない。本当だよ。これはみんなで作る番組なんだ。そのことは契約書にサインしたときから知ってた。僕には役者としてまだ60年か70年あるはずだ、多分。僕がこの地球にあとどれだけいるかはわからないけど、もうしばらくはいるつもりだ。だからオスカー賞を取るために努力する時間はあるさ。僕が死んだときに、棺の上にオスカーのトロフィーを置いて飾ってもらうこと、これが僕の最大の夢なんだ。

 「なるほど。でも第1シーズンの間にトラヴィスの存在感は薄くなってきたように思えます。あなたのファンもそれに気付いていますし、制作者もそれを認めています。第2シーズンではそのことに何か変化はありますか?」

 以前より仕事は増えてるけど、船のパイロットとしてのトラヴィスに何をさせることができるか考え出さないといけないんだ。操縦している彼を上陸任務に行かせるのは簡単じゃない。つじつまを合わせるためには、だれかが船を操縦しなきゃいけない。自分が画面に映っていなくても、話の展開に直接関わっていなくても、僕のキャラクターは進行中の出来事にちゃんと関係してるし、彼は不可欠な存在なんだ。彼は計画の一部に入っているか、あるいは船にいる。彼のセリフがたった1行だとしても、彼はその任務の一部だし、チームの一員なんだ。そのことには何の問題も感じてない。僕はSF俳優としてのイメージを持たれたくないから、ちょうどいいかもしれない。ずっと僕を注視してなければ、僕の姿は目に入らないはずだ。だから特定のイメージを持たれる心配はないだろ?この番組が終了した後にスコットが現れたら、スタートレックのことを知らない人たちでも彼を見るとすぐこう言うだろう。「おや、あなたはエンタープライズの船長ですね。」みんなは「エンタープライズ」が始まる前から「タイムマシーンにお願い(Quantum Leap)」で彼のことを知っている。スタートレックを知っている人たちはこの番組が終了したら僕のことを見分けられるようになるだろう。でも熱心なファンでなければ僕には気付かないはずだ。それに今は活動的なハリウッド俳優であることを楽しんでいる。実際に働いている数少ない俳優たちの中に僕は入っているんだ。それは名誉なことだよ。でも僕がショッピングセンターにいてもみんな僕の周りに群がったりしない。映画にも行けるし、外を自由に歩くこともできる。撮影のないときは小説を書いたり、ギターの練習をしたりして過ごしている。僕は番組の一部だし、レギュラークルーの一人だ。仕事の時間がきたら、仕事に行って、セットに入るときはいつも180%の力を出してるんだ。

 「トラヴィスについてどんなことを知りたいですか?」

 彼のことなら何でも知りたいね。今までに彼の色々な面を扱ってきた。去年の「復讐の連鎖(Fortunate Son)」では、彼の家族について少し明らかになった。トラヴィスの中にはあらゆる可能性が溢れている。僕はそういうのを演じてみたいね。彼の両親や姉には是非とも会ってみたいよ。スイートスポットにもまた行ってみたい。パイロット版以来だからね。トラヴィスがドララックスの女性たちのことを話すのを聞いたことがあるだろ?ドララックスにいる女性の一人に本当に会ってみたいよ。ひょっとしたらトラヴィスはドララックスの女性の一人と親しい関係にあったのかもしれない。トラヴィスをどんな人物にするにしても−僕はこの仕事を続けたいと思ってる。パイロットとしての彼の許容範囲内で、彼にできるだけたくさんのことをさせてくれると思ってる。僕はそれでいいんだ。彼のために自分のあらゆるものを可能な限り差し出す。それは僕がどんな仕事に対してもやっていることなんだ。自分が演じているキャラクターのために自分の一部を差し出すのさ。

 「第2シーズンではトラヴィスに何が起こりますか?」

 みんなと同じように何も知らされてないから分からないんだ。昨日撮影を始めた台本は、その前夜にもらったんだよ。僕はいつも制作側に自分の意見を伝えているつもりだ。「Minefield」では僕はとても難しい操縦をしなければならなかった。6番目のエピソードでは格闘技を扱わなければならなかった。でも戦いをするのはトラヴィスの本当の姿じゃないんだ。ネタバレするといけないからこれ以上は話せないよ。でもそれはとても素晴らしいエピソードになると思う。

 「あなたはこの数か月の間にいくつかのコンベンションに出席しましたね。大勢の観客の前でステージに立つのはどんな感じですか。」

 楽しかったよ。ステージに上がるのは大好きさ。ライヴ公演は素晴らしい。僕にとってコンベンションに出るのはライヴ公演をするのと同じなんだ。自分がいる世界の一部になれるのはいいことだ。みんなから認められて、ほめてもらえるときは最高だね。そういうことをしてもらえるのはコンベンションだけなんだ。みんなはゲストに会いたいと思ってワクワクしてるんだ。

 「名声は別として、安定した仕事と収入はあなたにとってどんな意味がありますか?」

 ばかみたいだけど、僕はずっと自分の収入より低い生活をしてきた。今でもアパートに住んでるし、それで満足なんだ。自分がやっていることすべてに満足してるよ。それが今までといちばん大きく変わったことかな。もし僕の家族に必要が生じたら、彼らを助けることができる。何か自分でやりたいことがあれば、それをできる。いろんなことをやろうと思えばできるんだろうけど、自分からはやらないね。僕はまだそこまでいってない。普通の人間なんだ。生活がメチャメチャになって、人生が早く終わって欲しいと思うような事態は絶対に嫌だからね。何か欲しければ、その時に買う。その時まではそんなことは考えもしない。それがベストだと思う。僕は何でもできるようになりたいと思ってたし、他の多くの人たちもそうしたいと思っていることは知っている。でも残念なことにチャンスが訪れたときにその人たちは悪い方向へ進んでしまった。僕が手にしているものすべてを欲しいと思っていても、それを得るためによくない方法をとった人たちを知っているんだ。僕までもそんなことをする必要はない。今は警官が自分の後ろにいたとしても、肩越しに振り返ってこっそり見る必要はない。不安に思う必要なんかないんだよ。「うわぁ、僕の人生は本当に本当に素晴らしい」って言って思いきり笑える。毎日、一日中、顔に笑みを浮かべていられるんだ。

 「最後の質問です。シーズンオフのときは何をしていましたか。」

 旅行してた。時間を過ごすための旅行は大好きさ。オーランドに行ったんだ。友達とぶらぶらして、インディアナポリスにいる家族ともぶらぶらした。農場があって、とうもろこし畑や牛や草原なんかがいっぱいなんだ。タークス・ケイコス諸島の海岸は素晴らしかった。僕は地理が好きなんだ。ゆくゆくはいつの日か、兄弟と母を連れて休暇に行きたいと思っている。今まではそんなことは一度もできなかったからね。それは僕が俳優であることから得られる別の特権だろうね。スタートレックが僕にそのチャンスを与えてくれたんだ。


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