翻訳記事の部屋

アンソニー・モンゴメリー氏(ENT:メイウェザー)&リンダ・パークさん(ENT:サトウ)
インタビュー
「カルトタイムズ」誌

記事提供及び翻訳:西川由実様

「新人たちの旅立ち」


アンソニー・モンゴメリーへのインタビュー

 広大な宇宙を旅するには、操舵手の迅速な判断力に頼るしかない。トラビス・メイウェザー役のアンソニー・モンゴメリーは1日14時間に及ぶ厳しい仕事を連日こなしてきた。はためにはもう十分に探検したと思えるが、彼はまだ前人未到の地を探検するのをやめるつもりはない。「僕は今でも船の操縦をやってるし、番組は続いてる。みんなこのドラマを楽しんでいるんだ。だから僕も最初の頃と同じように一生懸命やるのさ」
 スタートレックの数ある続編ドラマとして誕生した「エンタープライズ」だが、新たな世界を切り開いてゆくには困難もある。だがこのことで役者たちの自信が揺らぐことはない。役者たちは「エンタープライズ」は特別なものだと信じているからだ。「僕達はみんなが思ってもみなかったのものを提供しているんだ。昨日の夜『夢への旅立ち(Broken Bow)』をまた見たんだ。僕はそのストーリーの感じが好きなんだ。全く新しいストーリーなんだけど、新しくないとも言える。新しい中にも懐かしい感じがするんだよ。みんなは転送について知ってるけど、アーチャ-があんなふうに転送されるとは誰も予想してなかっただろう?このドラマには単なるドラマを超越する不思議な力があると思うよ。ドミニク(キーティング、リード役)やコナー(トリニア、タッカー役)、ジョリーン(ブラロック、トゥポル役)、スコット(バクラ、アーチャ-役)、リンダ(パーク、ホシ役)と一緒に仕事ができてとても楽しい。ジョン(ビリングスレイ、ドクター・フロックス役)は別だね。僕達は一緒に仕事をする機会がないんだよ。僕達が一緒に画面の中に収まることも時にはあるけどね。ジョンも僕もトラビスが病気になってしまって、フロックスが操縦か何かを学ぼうとする、っていうようなエピソードができるんじゃないかと期待してるんだ」
 「エンタープライズ」のキャストの人数は多いので、出演時間を他のクルーたちと分け合うことになる。時には運のいい一人の人物が目立つ役を取ることもある。「僕は役者として自分の翼をいっぱいに広げて精一杯はばたきたいと思ってる。僕は『復讐の連鎖(Fortunate Son)』が好きだ。あのエピソードではトラビスのことがさらに明らかになって、僕にとっては『楽天家の操舵手』だったトラビスが一歩成長したんだ。みんなにはトラビスという人物像をもっとよく知ってもらいたいし、彼をもっと成長させてほしいと思ってる」
 モンゴメリーはトラビスが今のところ、ストーリー中で大きな役割を演じていないことを認めている。しかし彼は他の役者たちの脇役を演じることを気にしてはいない。「ちゃんと報酬はもらってるし、僕は最初の日と同じように180%の力を出してる。1つのエピソード中のセリフがたった5行だったとしても、手を抜いたりはしない。僕は自分にできる限りのことをする。これはそういうドラマなんだ。このドラマは操舵手の物語じゃない。スタートレックの他のシリーズを見たことのある人なら誰でも知ってることだよ。ドラマには主役がいるわけだし、それはそれでいいんだ。だからキャスト全員で構成されるストーリーの中に含まれていればそれで十分なのさ」
 撮影が続いていくうちに、モンゴメリーは柔軟性も重要な資質であることに気付いた。「僕は常に何かを学び続けてる。役者として僕はその人物の過去の経歴を考え出さなければいけない。でも僕が考え出した経歴が必ずしもトラビスの経歴と合致するわけではないんだ。トラビスにはリックとブラノンが作り出した彼の世界があるからだ。『風が呼んだエイリアン(Strange New World)』っていうエピソードでは上陸班が花粉の影響を受けてしまう。地表に降りた上陸班がキャンプファイヤーを囲んでいるシーンでトラビスが昔話をするんだ。最初の台本では、みんなで夜空を見上げてトラビスの生まれ故郷の惑星とその恒星を眺めることになってた。その次に渡された台本ではカトラ-の故郷ということになってた。いちばん最初の台本をもらったとき、僕はトラビスが故郷を離れてどれくらい経つのかという設定を受け入れた。でも最終的な台本を受け取ったときには『ああ、わかった、そうなのか・・・』って思ったよ。つまり発見の連続ってことさ。僕はそれでいいと思ってる。こうやって学んでいくんだよ」
 撮影を始めるにあたってモンゴメリーに知らされたトラビスに関する設定はわずかなものだった。「トラビスは宇宙ブーム世代なんだ。彼は貨物船で育った。その設定に合わせて彼を描いていくのが僕の仕事さ。『船長、前方にイオン嵐があります』なんて言うのは本当に退屈だよ。自分の仕事を退屈だと感じたくはない」
 第1シーズンを終えた「エンタープライズ」は有名になった。 キャストたちは人目につくようになってきた。モンゴメリーの役が目立たないというわけではないが、彼が顔を出した集会はほんのわずかだ。「Sci-Fi Expoに出たことがある。でもそれは代役だったんだ。スタートレックのコンベンションに出たこともあるけど、それも最初から予定されてたことではなかった。みんなは僕がすることを見て楽しんでくれるし、僕もそれが楽しい。将来が少し見えたような気がしたけど、平気さ。ファンの集まりに行ったことがあれば多少はわかるだろう?この世界では運が良ければファンができる。『エンタープライズ』のファン層はまだできはじめたばかりだ。だから消極的なことは考えないようにしている。みんな『トレッキ-の人たちはすごいね』って感じだしね。みんな僕たちがやっていることが好きだから、これを続けていけばみんなも楽しんでくれるはずさ。僕は情熱的なほうだよ。クリンゴン人の仮装をしようとは思わないけど」
 スタートレックの世界を作り出していくうえで、膨大な設定がなされてきた。それで細部に至るまで気にかけなくても大丈夫だろうと考えるのも無理はない。しかしそう上手くはいかないこともある。「僕が出たある集会で質問をしてきたファンが何人かいたんだ。彼らが何のことを言ってるのか僕にはさっぱりわからなかったよ。でもわかる人がそこにいてくれたんだ。僕は出勤して、最高の仕事をやって、帰宅する。でもインターネットを使ってロミュランが誰を攻撃したとか調べたりはしないんだよ。質問されても僕には『さあ、よくわからないな』としか答えられない。リックとブラノンなら知ってるだろう。だからもし彼らに会う機会があれば、ふたりに聞いてほしい。彼らならどんな質問にも答えてくれるはずだよ。質問する相手はよく選ばないとね」


リンダ・パークへのインタビュー

 宇宙での生活は厳しいものだ。目がかすむほどの速度で飛行し、再配列された食物を口にすることなどは、恒星間飛行の任務において覚悟すべき事柄の一部にすぎない。エンタープライズが無事に航行しているときは、通信士官の技術が特に要求されるわけではない。だが技術が進歩するのに伴って、宇宙翻訳機が技術面でのトラブルを起こすことも多くなってきた。それでクルーを危機から救い出すために、ホシ・サトウ少尉の言語能力は欠かせないものとなっている。当初、ホシにとっては任務のどこをとっても不安がいっぱいで居心地も悪かった。数カ月に渡って毎晩星が逆方向に流れるのを見続け、ナセルのきしむ音を聞き続けるうちに、ホシはようやく宇宙船での生活に慣れてきたようだ。パークはこう説明する。「ホシは宇宙こそが自分のいるべき場所であり、自分が抱くであろうどんな不安にも立ち向かうことができるとの結論に達したんだと思うわ。でも大事なのは最初の年に明らかな変化があったってこと。『ホシにとって今年最大の問題
は何だったか』なんて考える必要はないくらいはっきりしてるの。問題は最初からはっきりしてた。私ならすぐにその問題に立ち向かうことができたでしょうね」
 まず「死のファーストコンタクト(Fight or Flight)」で、放置された異星人の船に乗り込んだホシが大きな不安を感じていたことは明らかだった。宇宙服の中で閉所恐怖症と戦っていたホシは、死体を目の前にしてパニックに陥ってしまう。このストーリーはパークにとって非常にタイムリーなものだった。ホシ同様にパークも新しい生活に慣れるよう努力していた時期だったからだ。「あの時にあのエピソードをやれて本当に良かったわ。まだ撮影が始まってすぐの頃だったから。まだ少し不安を感じていたのよ。でもその気持ちを役柄に精一杯吹き込んだわ。できる限り自分の姿をホシに重ね合わせるようにしたの。私に起きていることと全く同じだと思える所がたくさんあったわ。だから最初の頃にあのエピソードをやれて良かったと思ってるのよ」
 サンホセにあるノートルダム高校を卒業後、パークはボストン大学で学士号(BFA)を取った。パークはテレビに出演することを深刻に考えないようにしていたが、「エンタープライズ」の撮影に際しては多少は気後れした。「私はまだ初心者だったの。大学を卒業したばかりで、カメラの前に立つのもテレビ出演するのも初めてだったんだもの」パークは自分にぴったりの役を手に入れるためスタジオ側の注意を引く方法はただ一つであることを知った。「何でもいいからオーディションを受けること。オーディションを受けていれば何らかの仕事はもらえるわ。だから私はすごく幸運だと思ってる」
 サトウ役のオーディションを受けたとき、パークはTNG以外のスタートレックの世界についてほとんど知らなかった。パークが見たのはTNGだけだったが、このおかげでパークは新たな物の見方をするようになり、これは彼女にとってある意味で有利に働いた。「ある意味で良かったと思うわ。私は何をするにも偏見にとらわれることがなかったの。スタートレックの理念の影響を受けながら育ったからだと思うわ。私は何も知らないまま撮影に入っていったの。でもそれで良かったと思う。このシリーズは今までより過去の設定なんだもの」「エンタープライズ」が人気番組になっても、パークは報道の影響を受けないようにしている。パークは考えながらこう言った。「まだコンベンションに行ったこともないし、このシリーズや自分のことを扱った記事を読むことも滅多にないの。だから脚本家が作るストーリーを演じることだけに集中できるのよ」
 パークは自分が演じるホシがパーク自身だけでなく視聴者の姿も反映していることを理解している。しかしそのことで頭がいっぱいにならないよう注意している。「特別なプレッシャーは感じてないわ。少数派の代表としてテレビに出演することの責任はわかってるし、それを受け入れてもいる。でもそのことで私のやり方が変わることはないの。これは私のありのままの姿だし、そのことを誇りに思ってる。でも私は自分ことを単に『東洋人の女優』と思ってるわけじゃないの」若いファンにとっては、パークの分身とも言えるホシには共感できるものがあるだろう。ホシは知的な女性で、視野を広げたり、恐怖を克服したりしようとする。視聴者はそんなホシに尊敬の目を向けるだろう。パークは社会のリーダーになりたいとは思っていないと言う。だが人々に感動を与えることほどうれしいことはないだろう。「模範的な人物像を求める若い女性のために私の役柄でできることなら喜んで何でもするわよ。それが私の本当の姿だと言いたいわけじゃないの。ただ私から何らかの影響を受けてくれる人がいてくれればいいの」


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