礼拝説教 遠藤 潔 牧師


【2022年8月28日、蓮沼キリスト教会 主日礼拝】
        「アキラとプリスキラ」 使徒の働き 18:1~3,18~21,24~28、ローマ人への手紙 16:3~4


 アキラとプリスキラはいつもいっしょに主に仕えていた。夫妻は信徒で、支える人であった。

Ⅰ アキラとプリスキラはパウロを支えた(使徒18:1~3、18~21)
 パウロは第二回伝道旅行のとき、ギリシア(アカイア)のコリントの町に来た。その町で、パウロは福音の同労者となるアキラとプリスキラ夫妻と出会う。夫妻はすでにキリスト者であった。夫妻は、使徒であり福音の宣教者であるパウロを自分の家に招き入れた。パウロに部屋を提供し、食事を提供し、憩いの場を提供した。夫妻はパウロとワークシェアリングをし、パウロが収入を得ることを助けた。
 夫妻もパウロの身近にいて、パウロからイエス・キリストの福音の神髄を深く学び、イエス・キリストとの活きた交わりを深められた。「パウロは1年6か月の間腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた」(11)。
 パウロは次にエペソに行き、アキラとプリスキラも同行した(18)。彼は短期間でエペソを出立するが、アキラとプリスキラをエペソに残す(19)。夫妻は家を開放し、「家の教会」とした(Ⅰコリント16:19)。

Ⅱ アキラとプリスキラはアポロを支えた(使徒18:24~28)
 アポロというアレクサンドリア生まれの雄弁なユダヤ人がエペソにやって来た(24)。彼は旧約聖書に精通し、霊に燃えて、旧約聖書をもとにイエスのことを正確に語り教えていた(24~25)。アポロは雄弁さ、学識、熱心さ、正確さにおいて申し分なかったが、それは「ヨハネのバプテスマ」の域を超えるものではなかった(25)。イエスの十字架と復活、昇天と聖霊降臨、神がイエスの十字架と復活を通して成し遂げてくださったこと。さらに、神が聖霊によって信じる者に与えてくださる救いの祝福、そして、イエスとの活きた交わり。アポロにはこういう部分がまだ十分ではなかった。
 アキラとプリスキラ夫妻はそのことを見抜き、彼の前にへりくだり、「彼をわきに呼んで、神の道をもっと正確に説明した」(26)。夫妻はいつもイエスの福音に焦点が当たっていたからである。
 アポロは夫妻に福音の核心を教えられ、エペソ教会の推薦状をもって、アカイア(ギリシア、中心都市はコリント)に渡って伝道した。

Ⅲ アキラとプリスキラは異邦人キリスト者たちを支えた(ローマ16:3~4)
 3年に及ぶパウロのエペソ伝道が終わると、アキラとプリスキラはローマに戻った。そこでも、夫妻は家を開放し、キリスト者たちの礼拝と集会の場所とした。特に彼らは異邦人に対して尊い働きをした。「彼らには、私だけでなく、異邦人のすべての教会も感謝しています」(4)。 

 アキラとプリスキラはお金、家、時間、何よりも自分自身をささげて、神と教会に仕えた。福音の宣教者、教師たちを支え、キリスト者たちを支えていった。
 何がそうさせたのか。神の祝福が、神の愛、主イエスの恵み、聖霊の交わりがそうさせたのである(Ⅱコリント13:13)。神の愛にこたえて「主に仕える」。これが夫妻の意識の中心にいつもあった。それゆえ、主に仕えるという思いをもって、パウロに仕えた。そして、パウロといっしょに主に仕えた。また、主に仕えるという思いをもって、キリスト者たちに仕えた。そして、キリスト者たちといっしょに主を礼拝し、主に仕えたのである。主に愛されながら、ともに主に仕えていく喜びに夫妻は生きていた。それは永遠の御国へとつながる生き方である。「堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから。」(Ⅰコリント15:58)