礼拝説教　遠藤　潔　牧師

【2022年4月10日、蓮沼キリスト教会 主日礼拝（受難週）】 　　　　　　　　　　　　　　　　　「十字架」　 マタイの福音書 27：27～61 　本日は棕櫚の主日、今週は受難週。十字架の主イエスにしっかりと心を向けよう。 Ⅰ　十字架につけられたままで、十字架から降りなかったイエス（27：32～44） 　イエスはゴルゴタの丘で十字架につけられた。人々は十字架のイエスをののしり、「自分を救ってみろ」「十字架から降りてもらおう。そうすれば信じよう」と言った。しかし、イエスは十字架から降りて自分を救わなかった。父なる神もイエスを救わなかった。 　なぜか？ 私たち罪人を救うためである。イエスは私たちの罪に対する神の怒りとのろいと罰を代わりに受け尽くすために、十字架につけられたままでおられた。神は十字架のイエスの上に、私たちの罪に対するさばきをすべて下し尽くされた。「神は、罪を知らない方を私たちのために罪とされました。それは、私たちがこの方にあって神の義となるためです」（Ⅱコリント5：21）。 Ⅱ　イエスの十字架の死（27：45～50） 　イエスは自分の魂の叫びとして詩篇22:1の叫びを叫ばれた。｢エリ、エリ、レマ、サバクタニ｣「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」(46)。イエスは父なる神からも見捨てられた。イエスは罪無き神のひとり子であられながら、罪ある人間の代表として、神の怒りとさばきと呪いを徹底的に、すべて、全人格でお受けになられた（Ⅰペテロ2：24）。それゆえ、神の怒りとさばきと呪いは私たちから完全に過ぎ去った。 　イエスは十字架の苦しみの中で、それでも神を信頼し（ルカ23：46）、圧倒的な勝利者として死なれた(50)。死んで墓に葬られ、そして、三日目の朝、死から復活された。こうして、私たち罪人のための罪の贖い（罪の償い）は完了し、イエスにあって、人はもはや罪に定められることなく、罪をまったく赦され（ローマ8：1、エペソ1：7）、｢圧倒的な勝利者｣（ローマ8:37）となる。 Ⅲ　イエスの十字架の死がもたらしたもの（27：51～56） 　イエスの死によって驚くべきことがいくつも起こった。イエスの十字架の死は、何をもたらしたのだろうか。 第一に、神殿の聖所と至聖所を隔てる幕が上から裂けた(51)。今や旧約の大祭司だけではなく、だれでもイエスにあって、神の臨在のうちに、神との親密な交わりの中に入って行くことができる。 　第二に、エルサレムの土台が裂けた(51)。今や、選民と異邦人との｢隔ての壁｣（エペソ2：14）は打ち砕かれ、人はイエスにあって一つの｢神の家族｣（エペソ2：19）となる。 　第三に、墓が開き、聖徒たちのからだが生き返った(52～53)。今や、イエスにあって、死の牢獄(圧迫)は砕かれ、死の恐怖は除かれ（ヘブル2：14～15)、死は永遠のいのちの入り口となった。 　第四に、異邦人が信仰告白し(54)、女たちがイエスの死の証人とされた(55～56)。「ユダヤ人もギリシャ人もなく、奴隷も自由人もなく、男子も女子もありません」(ガラテヤ3：28)。今や、イエスにあって、あらゆる隔ての壁は除かれた。 　イエスを信じ、イエスに結ばれる者は、このような素晴らしい祝福にあずかる。 　愛の神は、十字架で死んで復活されたイエスにあって、すべての人を、この解放の自由と救いの祝福へと招かれる。日ごとに招いておられる。暗やみから光へ、苦しみから復活へと。それは、イエスとともに、神に「なぜ」と叫ぶことさえできるほどの親密な交わりである。イエスを信じて、神の御前に大胆に進ませていただこう。