礼拝説教 遠藤 潔 牧師


【2021年6月20日、蓮沼キリスト教会 主日礼拝】
     「何も隠れず ~ユダヤ人による尋問~」 ヨハネの福音書 18:12~27


逮捕されたイエスは大祭司の官邸へ。堂々たるイエスとおじまどうペテロが対照的。

Ⅰ イエスはまずアンナスのもとに連れて行かれる(18:12~14)

大祭司官邸での最高法院による裁判に先立ち、イエスは、元大祭司(在位6~15年)で、時の大祭司カヤパ(在位18~36年)のしゅうとであったアンナスの尋問を受ける。彼は宿敵イエスを直々に厳しく尋問し、こてんぱんにやっつけてやりたかったのである。

Ⅱ ペテロへの尋問 ~第一回目の否認~(18:15~18
ペテロは「もう一人の弟子」(使徒ヨハネ)とともに大祭司邸に行ったが、門番の女に「あなたも、あの人の弟子ではないでしょうね」と問われると、気が動転し、思わず「違う」と言ってしまう。その後、彼は烏合の衆に交じって、イエスの尋問・裁判の様子を横目で見続けた。

Ⅲ アンナスによるイエスへの尋問(18:19~24)
アンナスはイエスに、弟子たちのこと、教えのことを根掘り葉掘り聞こうとした。イエスはこう答える。自分は人々に公然と教え、何も隠れて話してはいない。だから多くの証人がいる。律法では一人だけの証言は無効ゆえ(5:31、申命17:16、19:15)、それら多くの証人たちの証言を聞くようにするべきだ、と。ここでもイエスが主導権を握っているかのようである。

Ⅳ ペテロへの尋問 ~第二回目、第三回目の否認~(18:25~27)
ペテロは大祭司邸の中庭で、ユダヤ人の同胞から何気ないことばで、またもイエスとの関係を問われ、彼はイエスとの関係を二度、三度と否定してしまう。そして鶏が鳴いた。イエスの予告通りとなった(13:38)。「主は振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、…主のことばを思い出した。そして、外に出て行って、激しく泣いた」(ルカ22:61~62)。

私たちは、イエスに愛されながらも、イエスとの関係を隠したり、人前で否定してしまうかもしれないほどに罪深く弱い者である。しかし、イエスは「信仰がなくならないように」と祈り続けていてくださる(ルカ22:32)。そのことを覚え、私たちはますますイエスの前に、弱く罪深い自分を差し出していく。イエスは私たちを信仰から信仰へと進ませ(ローマ1:16~17)、硬直した信仰でなく柔らかい信仰へ、自然体で裏表のない信仰へと成長させてくださる。