礼拝説教　遠藤　潔　牧師

【2018年10月7日 説教アウトライン】　 「恵みとまことに満ちた栄光を見る」　　 ヨハネの福音書 1：14～18 使徒ヨハネは、御子イエス・キリストのご降誕、クリスマスの出来事をたった一行に凝縮し、感動をもって書き記す。 「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」（1：14a）と。 本日はこの1：14のみことばに集中して、恵みを味わいたい。 Ⅰ　ことばが人となる 「ことば」とは「御子」のことである。「ことばは神であった」(1)が、「ことばは人となった」(14a)。「ことばは神とともにあった」(1)が、「私たちの間に住まわれた」(14a)。「ことば」は、すべての存在(3)と、すべての生物のいのち(4)と、人の認識能力、また愛と真理の光の源であられる（4～5,9）。そのような御子、無限なる神が有限な人となられた。驚くべきことである。 完全な神であられながら、完全な人でもあられる一つの人格。これが「人となったことば」「人となられた神」、すなわち「イエス・キリスト」（17）である。福音書記者ヨハネは、この14節を最後に、もはや「ことば」とは表現せずに「イエス」と表現するようになる。 人となられた神・イエスは、私たちと同じ肉でお生まれになり、「肉体」と「人間としての霊魂」とを持つ人間となられた。イエスは人間としての様々な弱さの下に置かれ、人間として様々なことを体験された。イエスは人の「間に住まわれ」た。人間関係の中に「定住」された。それゆえ、イエスは人間関係の様々なことも体験なさった。 イエスは「罪は犯しませんでしたが、すべての点において、私たちと同じように試みにあわれたのです」（ヘブル4：15）。おおよそ私たちがこの世で味わうすべての試練と痛みを、イエスは私たちと同じく、しかも、私たちよりももっと深く徹底的にその身をもって体験された。永遠の神の御子であるお方が。驚くべきことである！ Ⅱ　恵みとまことに満ちておられた 「この方は恵みとまことに満ちておられた」（14d）。 これは、使徒ヨハネの体験であるが、彼の証しのことばで、また聖霊により、信仰を通してイエスに触れたヨハネ教会、ヨハネ共同体の体験でもあり、また、イエスへの信仰によって、信じるすべての者が体験するところでもある。 イエスは、イエスを信頼してご自身に近づく者に、真に価値ある「まこと」のものを無条件にお恵みくださる。いやしと力、慰めと励まし、同情と友情、時には真剣な叱責と訓練を。そればかりか、イエスご自身を与えてくださる。 イエスはご自身のからだによって、神に従い、十字架で私たちの罪の贖いを成し遂げ、死に勝利して復活され、天に昇り、王座に着かれた。永遠の御子なる神が人なるイエスとなられたゆえに、永遠の天の祝福と救い（罪の赦し、永遠のいのち、神の子としての身分）は、真実、信じる私たちのものとなった。 Ⅲ　私たちはこの方の栄光を見た 「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」（14a）。 「天幕の中に宿った」「幕屋を張った」というのが原意である。旧約において荒野の幕屋（聖所）やエルサレムの神殿に主なる神が臨在し、そこに栄光が現れ満ちたように、イエスの「からだという神殿」(2：21)を通して、すなわち、人となられた御子イエスにおいて主の栄光は輝いた。 その栄光は「恵みとまことに満ちた」栄光であった。罪人を打ち倒し、打ちのめし、おののかせるところの栄光ではなく、罪人に寄り添い、やさしく導き、ご自身の十字架の死をもって罪人の罪を贖い、無条件・無制限に罪を赦し、ご自身の復活のいのちによって罪人を罪から永遠のいのちへと活かす、愛に満ちた栄光である。私たちもその栄光を見たのである。 いまや天の御父の右におられ、しかも、聖霊において私たちとともにおられる御子イエスのあたたかい栄光の中で、信仰の歌、喜びの歌をともに歌おう。