礼拝説教 遠藤 潔 牧師


【2018年6月24日 説教アウトライン】  「神様の計画どおりに」     創世記45:1~15、50:20

 17歳で兄たちに売り飛ばされ、奴隷としてエジプトに連れて来られたヨセフは、13年後の30歳の時、ファラオ(エジプト王)が見た不吉な夢の意味を解き明かし、その夢が意味する7年の豊作とその後の7年の凶作に対する対処法をファラオに進言したことが認められて、エジプトの大臣に取りたてられる。
「おまえは夢を聞いて、それを解き明かすと聞いたのだが」とファラオに問われ、ヨセフは「私ではありません。神がファラオの繁栄を知らせてくださるのです」と答える(41:15~16)。
「私ではなく神が」、これはヨセフのいつものことばであり、彼の心の姿勢を表わすものである。私たちはどうだろう? 「神ではなく私が」と、いつも自分を全面に出していないか。「私ではなく神が」、これこそ神に栄光を帰し、神を喜ぶ者(参照:ウェストミンスター小教理問答 1)のことばである。神を信頼し、神を愛する最高の証しである。
ヨセフは現実の生活で困難の連続であったが、困難だけに目を向けて落胆せず、困難を透かして背後におられる神を常に見ていたので、「私ではなく神が」と神への信頼と愛を表明することができた。
「神を愛する人たち、すなわち、神のご計画に従って召された人たちのためには、すべてがともに働いて益となることを、私たちは知っています。」(ローマ8:28)

 大臣となってヨセフは、7年の豊作の間にエジプト全土の収穫の「五分の一」(41:34)を徴収して備蓄し、豊作の後に訪れる凶作の7年に備えた。やがて凶作の7年が訪れたが、エジプトには食糧が十分にあった。
その同じ時、父ヤコブや11人の兄弟たちが住んでいたカナンの地も凶作で飢饉に見舞われていたので、ヨセフの兄弟たちはエジプトの大臣となったヨセフのもとに食糧を買い求めてやって来た。彼らはヨセフの前にひれ伏した。ヨセフは17歳の時に見た夢(37:7、9)が成就したことを感じた(41:6)。しかし、兄弟たちはヨセフだとは気が付かないし、ヨセフもしばらくは自分の素性を明かさず、兄たちにそっけない態度をとって様子を見た。
 しかし、兄弟たちが二度目にエジプトに買い出しに来た時、同じ母ラケルから生まれた弟ベニヤミンがいるのを見て、ヨセフは胸が熱くなった(43:30)。彼は兄弟たちを食卓に招き、人払いした上で、兄弟たちに自分の素性を明かした。驚愕の再会であった。
仕返しを恐れる兄たちにヨセフは言う。
「私をここに売ったことで、今、心を痛めたり自分を責めたりしないでください。神はあなたがたより先に私を遣わし、いのちを救うようにしてくださいました」(5)。
 「神が私をあなたがたより先にお遣わしになったのは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによって、あなたがたを生き延びさせるためだったのです」(7)。
「ですから、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、神なのです」(8)。
「あなたがたは私に悪を謀りましたが、神はそれを良いことのための計らいとしてくださいました。それは今日のように、多くの人が生かされるためだったのです」(50:20)。
ヨセフは兄たちの悪を責めず、その悪をも用いてご自身の良いご計画を遂行してくださる神をともに仰ごうとして、兄たちを赦し、力づけた。
 こうして兄弟は和解し、彼らはエジプトに移住して増え、イスラエル民族として誕生し、やがて救い主キリストを世界にもたらすことになった。

 「神の何らかのすばらしいご計画(エレミヤ29:11)があって、私は今ここに遣わされている」と信じ、最善をなしたもう神を信頼して、今ここでベストを尽くして神に従いたい。神に栄光!