命のおかざり
新年あけましておめでとうございます
皆さまも、このご挨拶を交わされたことと思います。
どなたにとっても、新らたな気持ちで新しい年を迎えられたことでしょう。
古来より、お正月には門松を立て、四季に彩り変わらぬ松の緑にあやかり、長寿を祈ってきました。
また、代々家が栄えるように橙(だいだい)を飾り、福徳円満のしるしに鏡餅を、子孫が繁栄するように数の子を食べました。
煮豆は摩滅息災(まめそくさい)を祈り、ゴマメは腰の曲がるまで生きられるように調えたものです。
他にもお屠蘇をいただいて邪気を払い、体調を整えます。
こうした新年の風習は、目出度い目出度いと新年を迎える準備だけではなく、ほかに深い意味がふくまれているように思えてなりません。
私たちの命は、自分の意志だけではどうすることも出来ません。私たちの命をささえている力があればこそ、私たちは生かされているのです。
私たちはその命の根源を仏さまと呼んでいます。私たちの日暮しは、宇宙の大きな生命から見ると、ほんのささやかな営みにすぎないのです。
今、こうして生き、生かされている自分の生命を思うと、どんなにか尊いことだと思えてくるでしょう。
いま、一年に一度のお正月を迎え、古くから伝わる日本のよき習慣の中にいのちのかざり方を見つけ、受け継がれてきた生命の尊厳さに目覚め、生かされていることのありがたさに感謝しなければなりません。
お正月の飾りつけは、自分の命の存在を確認しながら、一年間の無事を祈って自分のいのちを飾りつけることではないでしょうか。
生かされて生きていることへの感謝とともに、この一年間を生かされてどう生きるかという計らいであれば、良き元旦の計となることでしょう。
今年一年が、皆さまにとってより幸運な年になりますようお祈りいたして居ります。
平成13年12月31日