-氷が溶ける刻-


 プン、とアルコールの匂いが鼻をつく。別にアルコールが苦手、というわけではないが、好んで飲むことは少ないのは確かだ。それに場所が場所なので、文句を言うつもりはない。ここは酒場を兼ねた宿でもあるので、例え昼間であったとしても不思議には思わない。
 だが、それでも私は苛ついていた。
 これがただの酒場で、そこらで飲んだくれているのが一般の人間ならば、こうも苛つかなかったはずだ。
 一見、屈強そうな男どもの笑い声が轟く。何日も滞在して、もう慣れてしまった。
 もし、何も知らない一般の民間人がここへやって来たら落胆するであろうが、既にこのことは国中で噂されているので、他の人間が来ることは滅多にない。
 昼間から酒を煽り、堕落の日々を過ごしている。それが今の――。
「大丈夫! 俺たちがいれば、シルディアは永遠に安泰だ!」
 呂律のうまく回っていない舌で、堂々と宣言する男。その男に、何人かが便乗して酒を掲げながら言い放つ。
「おう、そうよ! おれら無敵の傭兵騎士団ヴァイスリッターがいりゃあ、世界を敵に回しても大丈夫だぁ!」
 シルディアが誇る最強の傭兵騎士団ヴァイスリッター。確かに、この酒場にいる連中はそうだし、私もヴァイスリッターの一員だ。ここのマスターなど、団長を務めている。だがしかし、私の苛つく理由として、そのことが怒りの種になっていた。
「……ただ飲むだけで、シルディアを救えるのか?」
 魔道書をめくっていた私は手を止めて、その男に質問をぶつけた。
「なんだと?」
「聞こえなかったのか? お前に聞こえるように言ったつもりだが……。それとも、酒に溺れて聴力が低下したか?」
 私の言葉に、その男は怒りの感情をはっきりと表した。
「俺を侮辱してんのか、ブランネージュ!」
 喧嘩腰にその男が私の名を叫ぶ。
「さぁな」
「ふ、ざ、け、やがってぇ!」
「おい、やめろ。氷漬けになりたいのか!?」
 男が殴りかかりそうになったところを、別の男が止めた。確かに、私は魔道士で、酔っている馬鹿者を氷漬けにするのは容易だ。
「チッ。飲み直すぞ!」
 悪くなった機嫌を酒で誤魔化そうとしているのだろう、酒瓶をそのまま喇叭飲みしている姿が、私にとって哀れにも滑稽にも見えた。
 これが、最強のあらくれが集った無敵の傭兵騎士団ヴァイスリッターか……。
 もし、ヴァイスリッターの名声に惹かれて訪れた旅人などがいたりしたら、それはさぞかし残念な思いをするであろうことは明白だった。


 まさか、本当に旅人が訪れるとは、思っていなかった。だがヴァイスリッターに憧れてやってきた、というわけではなさそうである。それが幸い、と言えないのは、その旅人の容態である。
 一人は、エルフの娘。それは至って普通なのだが、もう一人の少年とも言っていい年齢の人間。少年のほうは、傷を負っており、命に別状はなさそうだが放っておくとさすがに危ない。エルフの娘が言うには、ここ『勇者亭』の目の前に流れる川で拾ったということらしい。
 今では医者のピオスさんに診てもらっているので、おそらく助かるであろう。


 その少年、シオンという名らしい彼が目を覚まして数日が経っている。
 私はたまたま彼らが集まるテーブルの真横に腰掛けていたので、彼らの話が自然と耳に入ってくる。
 エルフ娘の名前はエルウィンということ。シオンの記憶がないこと。モンスターが凶暴化していること。シオンの持っていた指輪が、伝説の『双竜の指輪』であるかもしれないということ。
 それから、こんなこともあった。エトワール大神殿の巫女が助けを求めに来て、その護衛を勤める竜人が巫女にくっついてここに居座っているなどと。
 そして、これはシルディアに住む者全員が知ったことだ。
『大国ルーンベールがルーンガイストと名を変えて、シルディアに宣戦布告を宣言した』
 私は動揺したが、もしかしたらこうなることを感づいていたかもしれない。
 国民の不安は募り、希望が託されたのは、当然私たちヴァイスリッターである。
 ……だというのに……。

「逃げちまったよ。ルーンガイストから宣戦布告を受けた次の朝にはな」
 酒場のマスターであり、獣人であり、ヴァイスリッターの団長である、ヴォルグ団長の言葉が、少ない人数の酒場に虚しく響く。
「今ヴァイスリッターに残っているのは俺と、そこにいるブランネージュの二人だけだ」
「そんな……」
 誰の言葉か知らないが、明らかに落胆の声であった。
 情けない話だ。あれだけシルディアを守るのは自分らであると豪語していた連中が、戦が始まるとわかったとたんに逃げ出したのだから。ヴァイスリッターは昔、その名の通り最強無敵の傭兵騎士団であったらしい。長く続いた平和のせいで、今ではこうした状態になってしまった。何十といた連中は酒を飲むだけ飲んで、後は姿を消した。私はもはや、怒りよりも呆れていた。
「だったら、私がヴァイスリッターに入団する!」
 戦いを好まないエルフのエルウィンが、迷いもせずに一歩進み出る。
「まだここに来て日が浅いけど、シルディアが大好きだから」
「ほぉ〜」
 ヴォルグ団長の感心した声を聞いたからか、それともエルウィンが名乗らなくとも自ら決心していたのか、巫女のリュウナが同じく一歩、発言のために進みでる。
「私も戦わせてもらいます。ルーンガイストと戦うことはエトワール神殿を守ることになりそうですから」
「リュウナが戦うなら、俺も、戦う」
 リュウナの後に続くように、竜人のラザラスが名乗りあげる。
「よぉし。だが……足りねぇなぁ」
 ヴォルグ団長が、意味ありげな笑みを浮かべてシオンのほうを向く。
「なぁシオン。お前は、どうなんだ。お前がいれば、その指輪の力があれば勝算はあるんだ。どうする?」
「僕も、戦います。ヴァイスリッターに入団させてください」
「よぉぅし、決まりだ! お前ら全員まとめて入団を認める!!」
「……ちょっと待て」
 盛り上がった場に、私の声が割り入った。そのため、皆が私のほうを注目し、シオンなど不安そうにそわそわしている。全員が静まりかえったのを確認して私は口を開いた。
「その指輪に頼っても、本当に大丈夫なのか。その、頼りない男は、本当に信用できるのか?」
「頼りないって……」
 シオンが情けない声を出す。そんな声を出されては、頼りない意外に言えないではないか。
「指輪の力は本物よ」
 エルウィンが反抗するが、私を納得させるほどの説得力はない。
「どうだか」
「なんですって」
「まぁ待て。エルウィンもブランネージュもいい加減に落ち着け! ……俺が入団を認めたんだ。このことに関して文句は言わせない。それでいいな」
 ヴォルグ団長の一声は、まさに鶴の一声であり、私もエルウィンも渋々と黙ってしまった。
「よし。それじゃピオス。今、ルーンガイストの動きはどうなんだ?」
 話が一段落したとたんにヴォルグ団長は話を切り換えた。
 ピオス医師の話では、ルーンガイスト軍主力の本隊はまだ到着しておらず、先行隊がシルディアの目の前で野営地を設けようとしているらしい。ピオスは医者であることから、顔が広く、こうした情報が自然と入ってくると言っていたが……。
「今回の作戦は、まだ着いたばかりで着かれもたまり、安心もしている先行隊を叩くことです。徹底的に叩くのではなく、深追いはしないほうがよいでしょう。ですから、勝てないと判断したら撤退するのも一つの方法です」
 その立ち振舞いはどう見ても軍師であった。
「よぅし。その作戦をさっそく実行するぞ!」
 久しぶりの戦いに血が騒いでいるのか、ヴォルグ団長がはりきった声を張り上げる。
「あぁそうそう。この作戦、肝心のシオンのパートナーは……」
 団長が、ゆっくりと私たちを見て回す。しかしあの顔は何かを既に決めている顔だ。おそらく、エルウィン辺りにでも行かせるのだろう。
「ブランネージュ。お前だ」
「……なに?」
 思ってもいなかった団長の言葉に、思わず私は聞き返した。
「シオンと指輪の力を、お前自身がその目で確かめろ」
「こんな頼りない男と一緒にするのか」
「そんなに何度も『頼りない』って……」
 情けない声で反論されても、説得力が無い。
「もう決めたことだ。他の者は俺についてこい!」
 決定事項には、従わねばならない。仕方なく、私はシオンと出撃することになった。もちろん、私は一人で戦うことを覚悟している。どうせ、シオンという男も逃げ出すに決まっている。シオンが経験したモンスターやこそ泥相手では、戦争のど真ん中に立つには経験不足だし、酒場にいた連中と同じにしか思えないからだ……。

「ブランネージュさん、僕たちも行きましょう」
 他のヴァイスリッター団員は、既にヴォルグ団長と共に私達とは別行動を取っている。主力は『双竜の指輪』をはめる私達であり、他はその援護にあたるのだ。
 今では、戦わないピオスもどこかへと出掛けており、勇者亭にはシオンと私の二人きりだ。
「お前、記憶がないと言っていたな」
「え、あ、うん……」
 曖昧な返事をするシオンを見て、私は彼に背を向けながら言った。
「ならば、お前がルーンガイストの人間ではないとは言い切れないのだな」
「! そ、それは……」
「これは戦争だ。……もしかしたら、向こうにはお前の家族や友だった者がいるかもしれない。それをお前は、躊躇いもせずに殺すことができるのか? 裏切らないという保証はあるのか? 私がさきほど言った『信用』とは、そうした意味合いも含めていた」
 ……。
 沈黙が、この場を支配した。私は言う事は言った。シオンが黙り込み、そのだんまりがしばらく続いたのだ。
「わから、ない……」
 絞り出すような声は、苦いものを口に含んでいるような声だった。
「なに?」
「わからない。わからないんだ……」
 今度ははっきりと、しかし怯えるような声。
「……もういい。行くぞ」
 私は早足に、シルディアの外へと向った。シオンは少し遅れて、私に追い付くような早さで足を進め始めた。

 シルディアから近くも遠くも無い場所に、その野営地はあった。あれに奇襲をかけ、敵を混乱させるのが目的だ。
「シオン、例の指輪を出せ」
「あ、うん……」
 受け取った指輪は、はめようとすると勝手に伸縮し、はめる者に合った大きさへと変化した。確かに、普通の指輪でないことは断言できるだろう。
「さっきの質問だけど……」
 指輪をはめきる前に動きを止めて、私はシオンを見た。
「確かに僕はルーンガイストの人間の可能性がある。だけど、僕は戦うよ。シルディアが、大好きだから」
 相変わらず挙動不審ではあるが、その奥底にあるもの――信念に近いもの――は、確固であると何故か確信できた。
「……フン」
 私はまともな返答を返さずに指輪をはめた。どれだけ綺麗事を言ったとしても、どうせ『口だけ』であり、いつ臆病風に吹かれるかわかったものではない。
「……これは……。これが、指輪の力……」
 自分の目で確かめろ。ヴォルグ団長はそう言った。今ならわかる。この力は本物だ。私の中にある活力や魔力、言ってしまえば魂そのものが活性化している感じがする。今なら、何者にも負ける気がしない。
「どうですか? 力が沸いてくるでしょう?」
 あまりにはっきりした言葉に、思わず私は第三者がいると思ってしまった。目の前にいるのは、まぎれもないシオンである。しかし、どことなく幻想的な、光を彷彿させる印象が今のシオンにあった。
「お前……指輪をはめると性格が変わると聞いていたが、野蛮になるのではなかったのか」
 エルウィンやリュウナ、ラザラスが言うには、好戦的で野蛮な性格になったとのことだが、目の前の男は大人しく、戦いを好むというような人格ではなかった。
「それよりも、早速行きましょう。シルディアを守るために」
「……そうだな」
 私は、敵を見据えてロッドを握りなおした。

 戦いは優勢に進んでいった。私の魔法は通常の何倍の威力を発揮し、一騎当千の力を得るということを今では疑っていない。これならば、私一人でも充分だ。たとえシオンが逃げ出したとしても、この力さえあれば……。
 ロッドを振い、魔法を発動させる。それだけで、目の前の兵士は呆気なく凍死してしまった。
 シオンのほうは、どうだろうか。
 私は足をとめて、シオンがいるであろう方向に目を向けた。どこにいる、という確信はなかったが、指輪が引き合っているのだろう。自然とそこに目が行き、目的の少年剣士の姿が目に移った。
「囲まれているではないか」
 油断でもしたのか、いくら指輪の力があっても不利な状況であるということは容易にわかった。足手まといな。指輪の力は認めるが、シオンの実力はまだまだ認められそうにないな。
 他のヴァイスリッター団員は違う場所を攻めている。私は仕方なく彼の援護を行なうためにシオンのもとへと進行方向を変えた。世話のやける!
「(だが……)」
 私は歩みを止めた。
 このまま、助け出してよいものだろうか。どうせ、武器を放り捨てて逃げ出すに決まっている。シオンの臆病な性格ならそうするであろう。ちょうど囲まれているとはいえ、後ろがまだ開いている。それに、助けてやっては、シオンはそれに甘えてしまうのではないだろうか。
 もう少し、様子をみよう。
 なんなら、早く逃げ出してほしい。こうしている間にも、敵は逃げているかもしれないし迫ってきているかもしれない。さぁシオンよ。本性を表わせ。無様に逃げ出して見ろ。そうすれば、私は何も気にせず戦うことができるのだから。
「っ!」
 彼がこちらを見る。私の存在に気付いたらしい。だが、それでも私は助ける気がない。助けた所でどうしようもない奴を助けても意味は無いからだ。
「ブランネージュ! 後ろっ!!」
「なに?」
 シオンに言われて振り返ると、いつの間にかルーンガイスト兵が間合いに踏み込んでいた。今から魔法を発動させるには時間的に無理がある。ロッドで応戦しようにも、私は肉弾戦が得意ではない。油断した。シオンに気を取られすぎていたのだ。
「しまった」
「伏せて!」
「っ!!」
 聞いてから判断し行動に移す、ということをするにはあまりにも短い瞬間だった。だが、私の身体は自然とその言葉に従い身を屈めていた。指輪に引っ張られるように、指輪が本能そのものに呼び掛けたように身体が動いたのだ。それと同時に、その私の頭上を、何かが通過した。
 鉄と鉄がぶつかり合い、高い金属音を奏でた。
 シオンが、まるで移転魔法でも使ったのかというほどの速さで駆けつけ、私を狙っていた攻撃を逸らしたのだ。シオンはそのまま、剣を大きく横に振りかぶる。その刃に、ばちばちと放電しているものが見えた。
「サンダーブレード!!」
 雷を纏った刃が、ルーンガイスト兵を吹き飛ばすと共にあの世へと送る。
 ――魔法剣。噂には聞いた事があるが、まさかシオンがその使い手であったとは。指輪の力もあるのだろうが、実物を見るのは初めてであった。
 そして、シオンの行動。何故だ。何故だ。何故……。
「何故、私を助けた」
 思っていたことが、つい口に出てしまった。小声ではあったが、シオンはすぐ隣にいたのだ。聞こえないはずがない。
「何故って……。仲間を助けるのに、理由なんていらないでしょう?」
 ……。
「…………私は、どうやら誤解していたようだ」
「え?」
 シオンが聞き返すが、私はそれに答える気はなかった。
「しかし、不利な状況は変わっていないな」
 話題を変えるためであり、現実だ。私に迫っていたルーンガイスト兵一人を倒したところでどうしようもない。
「なんとか、突破しないといけませんね」
 シオンを見る。やはり、私は誤解していたようだ。この男は逃げ出したりはしない。さきほどの言葉――シルディアが大好きだから戦う――は、嘘ではない。指輪をしているからこそ、余計にわかる。シオンの心が。彼の確固たる信念が。まるで、私の人間不審という氷を溶かしてくれるような温かい心。
「……方法はある」
「本当ですか?」
「力を、借りるぞシオン!」
 言うなり、私は走り出した。身に、氷の渦を纏って。
 スノーヴェール。滑るように移動するとともに、身に纏った氷の魔法が私に触れようとするものを氷結させる。その魔法を使いながら、私は敵のど真ん中へと移動した。シオンはさぞ驚いているだろう。肉弾戦のできない私がそんな場所へと飛び込んだのだから。私は勝算があってこそ、この行動を起こしたのだ。
 ちょうど、敵集団の中央に辿りついたのだろうか。私は動きを止め、すぐさまロッドを翳して指輪の力を解放していく。
 指輪の中に、シオンがいる。それは向こうも同じだ。今この一瞬、私はシオンになりシオンは私になり、私達は一つの力になる。指輪から流れ込んでくる膨大な魔力。これは私の魔力とシオンの魔力。二人の力。それをここに解き放つ。
「太古の獣よ。深き氷の底より蘇れ!!」
 空が一変した。いや、空間ともいえるだろう。ここら一帯の空間が別次元に紛れ込んだのだ。そしてその次元を走り回る存在がいる。巨躯のマンモス。しかしそれは生物的ではなく、全て氷だ。その氷でできたマンモス、もしくは氷付けになっているマンモスが、暴れるようにルーンガイスト兵を踏み潰して行く。

 空間がまた一変した。もとの空間に戻ったのだ。
 私の周囲にあるのは、驚きながら立っている少年剣士と、ルーンガイスト兵の死骸たちだけであった。
 残りの戦いは、苦戦することなどはなかった。


「ふぅ。終わりましたね」
 シオンが安堵の息をつく。
「あぁ、そうだな。……お前、思ったよりはなかなかやるではないか」
「それはどうも。でも、どうして勇者亭であんなことを?」
 シオンがいいたいのは、どうやらシオン自身に聞いたことよりも、作戦会議中に指輪の力を疑ったり反論したりしたことを言いたいのだろう。
「……。勇者亭にいたヴァイスリッターたちは、『シルディアは俺達が守る』と酒を飲みながら豪語していた。だが、戦が始まった途端に我先にと逃げ出した。私はそのことが赦せなかったのだ。人間不審になり、お前達も同じで口先だけと思っていた……」
「そうだったんですか。でも、私たちは……」
「わかっている。実力はまだまだの所があるが、その心は本物だ。これからも、共にシルディアを守ろう」
「……はい」
 シオンの返事は、本当に嬉しそうな返事だった。
 それにしても、私もどうかしてしまったのだろうか。いつもなら、私の心内など、滅多に話すことは無い。「お前には関係ない」の一言でも言っておけばよかったものを、わざわざ話すなど……。
 しかし、私は心の奥底のどこかで、知っていた。シオンが私を仲間と言った時、嬉しかったこと。シオンなら、信頼できると思ったこと。私の凍った氷のような心を、少しだけ溶かしてくれたこと――。

-fin-

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