-怒りの放棄……-
Remix Version




 お花見シーズン。
 暖かくなると、美しい花々が咲き誇り、人々の心を癒してくれる。
 そして、ブルオッソムという国に、常にそのお花見が可能な場所がある。その地方では常に美しい花が木に咲き続ける。同じ木に延々と同じ花が、というわけではなく、春は桃色の花、夏は青色の花、秋には黄色の花、冬には白色の花。このように、年がら年中花が咲くことで有名なのだ。そして……。
 夕日との調和でこれまた美しい景色を背景に……。
「イオラ!」
そのような心が和むような場所で……爆撃呪文が炸裂して。
「ジャッジ・クルス!」
 美しい花々に囲まれている中……相手を滅する十字の刃が交錯し。
「バギマ!」
 それで……巨大な旋風が次々と相手を薙ぎ倒し。
「ヒャダルコ……」
 ……氷に包まれると同時に砕け。
「『全撃』のフレアード・スラッシュ!!」
 その場にいるほとんどの相手に低威力なりにダメージを与えた。
 ……エンたち『炎水龍具』は、魔物との死闘を繰り広げていた……。


 何故こうなるに至ったかを説明せねばなるまい。
 それというのも、エンたちがブルオッソムという国に四大精霊に関することを調査しにきたことが始まりであった。一年中違う花が咲き誇るこの国の木は、もしかしたら何かしらの強い精霊力が働いているのではないか、と考えてやってきたのだ。
 そのため、その国で最も花の移り変わり等が最も早く、頻繁な場所を探した。それらしい場所はすぐにブルオッソムからやや離れた森の中であることが判明したものの、そこは立ち入り禁止になっていた。魔物が住み着いたとかで、ブルオッソムの衛兵達が困ったように見張りをしていたのだ。
 魔物退治ならば専門家だ、と張り切って森に住まう魔物の殲滅にかかったが故に、こうなってしまった。




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