-59章-
貴族の誇り



 ティータイムを楽しむためだけに存在する部屋には美しい花が飾られており、午後のちょっとしたひと時を和ませてくれる。
 ちょうどいいくらいの陽気が入り込む位置にあるこの部屋は、この館を作る時に計算されていたのだろう。
 一般の家屋にそのような部屋があるわけもなく、もちろんここを館と言った時点ですでに一般の家ではない。
 ストルードでも有数の資産家、コリエード家の住まう館は、貴族の館というに相応しいものがある。部屋の一つ一つが広く、誰も使っていない部屋を含めてもそうとうなものだ。
 このティールームは比較的に使われているらしく、ファイマがここでコーヒーを飲みながらひと時を過ごしていると、エードの母親と同席になることも珍しくない。
 今日はエードの母はおらず、ファイマ一人でコーヒーセットを堪能していた。
 一人、と言ってもコリエード家の使用人が傍に待機しており、何かがなくなりそうになるとすぐに補充する役目を担ってくれている。
 いつものようにうららかな陽気に包まれてコーヒーを飲んでいたのだが、コーヒーカップを持ち上げるファイマの表情はいつも通りではなく、些か険しいものとなっていた。
 そこへ、扉ががちゃりと開けられる。
「ただいま、戻りました」
 入ってきたのは白金の鎧に身を包んだ、金髪の美男子――このコリエード家の次男、エードである。その綺麗な顔は汗だらけになっており、顔もずいぶんと疲れているようだ。その様子に、ファイマは思わず苦笑してしまう。
「うむ、どうであった?」
「そうとうきつかったですよ」
 使用人が飛んでエードの汗を拭きに行き、エードのための椅子を用意する。それがさも当然かというようにエードはファイマと向かいの席に座った。すぐさま、その場にエード専用のカップが置かれ、紅茶が注がれる。
「本当にあのようなことで強くなれるのですか?」
「さあてのぉ?」
 エードの質問に対して、ファイマは笑いながら答えた。
「そんなこと言わないで下さいよぉ」
 これで無駄だったら悲しいではすまない。
「まあ基本はしっかりしておくに越した事はあるまいて」
「そうかもしれませんが……」
 それでも強くなったという実感がないので、どうしても疑ってしまう。

 ――ファイマたち三人がストルードを拠点に、新たな情報が入るまで冒険者活動を始めるにあたり、宿泊場所をエードの実家にした。もともとファイマは過去に己の作った剣を何故エードが持っていたを調べるつもりだったのでそれは好都合だった。
 しかし、調べてみるとあっさりと結果が出た。調査も何も、ただエードの祖父の祖父、ルルルルック=コリエードが武器収集を趣味としており、どこかの市場で仕入れたというだけの話だった。
そこから先は記録になく、ファイマの目的は終え、後は冒険者活動をしながら情報を待つ日々が始まった。
そこで、エードがファイマにお願いしたことが「強くなりたいから、鍛えてほしい」というものだった。
 魔界紋の島では『死神』に太刀打ちできず、互角に渡り合えたのはファイマだけである。それが悔しかったのだろう。
 太刀打ちできなかったのはミレドも同じだが、エードは個人的に『炎水龍具』の中で最も己の実力が低いと思っている。だからこそ、強くなりたいと願ったのだ。
 その願いに対し、ファイマはある大剣(グレートソード)を一本、創り上げた。そして、指示した事は、それを使って素振りをすることだけ。普通の材料とは別の特殊金属で鍛えた大剣は重さも半端ではない。たしかに単純な力はつくだろうが、エードが疑問に思ってしまうのも当然である。
 ファイマに意図を聞いても、「まあやってみるんじゃな」とはぐらかされている。
 疑問に思いながらも、こうして必ず素振りをするのが日常化していた。

「あらポピー、ここにいたの」
 紅茶を楽しんでいた所に、またも別の人間が入ってくる。物腰が柔らかく、美しい金髪を持つその婦人はエードの母親である。見た目では実年齢の半分と見られることも珍しくなく、不滅の美と噂されるのも頷ける。
「母上、どうかされましたか?」
「お父様がお呼びですよ。ポピー一人にお話があるみたい」
 話の内容を母は知らないのだろう。何か知っていれば、母ならばうっかり何かしらのことを言うはずだ。
使用人の誰かを捕まえてエードを呼べば良いのにと思うが、エードの母はどちらかといえば行動派で屋敷内を歩いている事が多い。それ故、親子間の簡単な伝言などは母が受ける事が多々ある。
「わかりました、行きます」
 父がいる部屋は見当がついている。いつも兄が怒られていた執務室である。
「それではファイマさん、ごゆっくり」
「うむ」
 一礼して、エードはティールームから退室した。
 入れ替わりに、エードの母が席に着く。
 すぐに紅茶が用意されるあたり、常に出せるよう準備がしてあるのだろう。
「少し、お話しませんか」
 と、エードの母が言った。柔らかい笑顔は、ただの世間話をしている婦人と変わらない。
「ワシは構いませんぞ」
 もともとコーヒータイムで暇を持て余していたくらいだ。話をするのは一向に構わない。
 エードの母は、少し言い出しにくそうに紅茶のカップを先に手をつけた。
 その一口で気持ちを切り替えるかのように、カップを置いた表情はやや険しくなっている。
「ポピーのこと、どうですか?」
 エードの母がエードの事をポピーと呼んでいるのは既に知っている。
「どう、とは?」
 質問に対しては、あらゆる答えが用意できる。例えばファイマが課した修行の様子だとか、エードが冒険者チーム『炎水龍具』の中でどういう立場にいるとか、どうとでも答えられるのだ。
 だが、エードの母が質問した内容に該当する答えを言うには、もう少し真意を知る必要がある。
「あの子が魔物殺(モンスターバスター)になって、一人旅を始めて、それから冒険者チームを組んだ。あの子もやはりストルードの国民です。みなさんとは少し考え方が違うのではないでしょうか」
 ストルードの貴族は、自分が最も偉いと思っている。その国民意識が国全体に根付いており、エードとて例外ではない。ただ、それを自覚している者は極端に少なく、エードの母はその極端に少ない中の一人である。
「ふむ、そのようなことでしたらご安心くだされ。あやつは、なかなかの強さを持っておりますぞ」
 ファイマの自信に満ちた表情が、エードの母の表情から曇りを取り除いた。
「そう、なのですか」
 独り立ちしたとはいえ、やはり子が心配なのだろう。
「(エードよ、よい親に恵まれたな)」
 ほんの少ししか会話していないが、エードの母が良き母であることは分かった。今はこの場にいないエードへ、ファイマは心からそう思ったのであった。


「父上、入ります」
 執務室に入ったエードは、どこか緊張していた。無理もない。ここは、父の領域であり、兄がいつも叱られていた部屋でもあるのだ。扉越しに聞こえて来る怒鳴り声は、子供であった当時のエードに恐怖心を植え付けるだけの凄みがあった。
 ちょうど父は何かの書面に目を通しており、それをさっと読み上げて顔を上げる。
 立派に整えた銀の髪と、物差しか何かで計ったかのように揃えられた髭の男。ペロニャンポン=コリエードというのがこの男の名であり、エードの父親である。
 周囲にはペロンと呼ばせている。
「ちょうど私も一仕事終えた所だ。ちょうど良いタイミングで来てくれたな」
 書面にサインをするだけだが、そのサイン一つで何千万単位の金が動くのだから恐ろしい。
「それで、話というのは?」
「うむ。ポピュニュルペよ、お前も良い歳だろう」
 本名で呼ばれると、エードは家族に呼ばれたというのに赤面してしまった。未だに、コリエード家の男性は名前が珍妙だと思っており、どうしてもそれにだけは慣れない。父や母はこのような名前が誇りだと思っているし、信じているのだが。
 そのようなことを言いだすこともできず、エードはペロンの言葉の真意を探ろうとした。
 言葉だけなら、ペロンがエードも随分と大人になった、と認めてくれているのだろうと思いたいが、ペロンの雰囲気がそう思わせる事を許さない。
「そろそろお前も嫁が必要ではないのか」
 緊張の糸が切れた。何もやましいことはないはずだが、今にも何かについて叱られそうだったので、その言葉で随分と気がゆるんでしまった。
「(ただの見合い話か)」
 心の中でほっとし、しかしそれはそれで問題だ。
「心に決めた人はいないのか」
「それは、その……」
 いる。もちろん、いる。一目惚れした、青髪の美しい女性。
 表情は変わらないが、その美しさの前では些細なことだ。
 仲間の一人だが、今はわけあって別行動をしているが、エードの心は常にその女性と共にある――というのはさすがにエードの言い分だ。
 だが、言えるのだろうか。いつかその人を嫁として迎え入れるつもりだ、などと。
 もちろんそれはエードの悲願であり、いつかはそうしたいと思っている。
 現段階では、見向きもされていない。
 その上、彼女は冒険者である。挙句の果てに異世界の村娘。
 異世界の、という事は言わなくとも、出身地を言えば結果は同じだ。誰も知らない村の名前が出て来るのだから、結局はどこかの村娘ということになる。
 誇りあるコリエード家の嫁として、何かしら名高い相手ではないと駄目だと切り捨てられてしまう。
 例えそれが、現在では北大陸一の冒険者と噂されている冒険者チームのメンバーであっても、だ。
 なぜなら、ペロンが――というよりもストルードの貴族は冒険者という存在そのものを下民がやるものだと思っているからだ。
「いるには、いるのですが……」
 エードの様子に、ペロンは嘆息した。どうも望み薄だと判断したようだ。
「まあいい。お前の嫁の話はいずれにしよう。それよりも……」
 ペロンの雰囲気が一瞬にして変わった。
 冷たく、重苦しい空気が辺りを包む。
 変わった雰囲気だけで、息をするだけでも困難になるかのように。
「冒険者活動を止めろ」
「え……」
 いつか言われると思っていた言葉。一人旅を始めると同時に、不安だった要素の一つ。
 父は、エードの冒険者活動を快く思っていなかった。
 冒険者など、誇り高きストルードの貴族がやるようなことではない。これは自分たちとは違う、もっと下の階級にいる者たちがやっているようなことだ――そのような考えが、ストルードの上流階級に根付いている。
 だから、父が反対することを最も恐れていたのだ。父に逆らうことなど、できはしないのだから。
 その父がエードの冒険者活動を認めてくれたのは、『兄を捜す為』という大義名分があったからだ。父の跡を継ぐべき兄が家出し、それを連れ戻す為に世界を旅する。世界を知る上でも、旅をすることは何かの経験になる筈だし、何より、冒険者となって家を出た兄を追うには、同じ力を得なければ危地に赴く事はできない。
 母も説得してくれたおかげでエードは旅立った。
 その時は冒険者活動を認めてくれた父が、それをもうやめろと言った。それが意味することは、つまり。
「まだ、兄上を探し出すことができておりません」
 答えを聞くのが怖い。何を意味するのか、解かってしまっている。それでも、そういう意味ではないという言葉を聞きたい。言い訳がましく、しかし直球の返答が返ってくるようにエードは大義名分を口にした。
「そのことだがな、もう良いのだよ」
「兄上には、コリエード家を継がせない、と?」
 父がエードの冒険者活動を認めてくれたのは、本来なら家を継ぐべき長男を取り戻すためだ。その理由がなくなったからこそ、エードに冒険者を止めるように言いだしたのだ。
「最初から」
「?」
「最初から、存在してなかったのだよ。ホイミン=コリエードという人物は」
「……っ!」
 その言葉に、さすがのエードも息を飲んだ。
 兄に家を継がせなくしたのではない。兄という存在を消したのだ。このコリエード家の子は、最初からエード一人だけだということにした。
「何を驚いている、長男ポピュニュルペ?」
 催眠術か何かでもかけるかのように、エードの名を呼ぶ口調はやけにゆっくりだった。言葉の意味を浸透させるかのように。その真実を染み込ませるかのように。
「違う……私は、次男の」
「違わない。私の息子は、お前だけだ」
 暗示を払うかのように言いかけたエードの言葉を遮り、ペロンは声を重ねた。
 もう兄はコリエード家の人間ではない。いや、この家に兄などいなかった。
 大好きだった兄は、いなかったのだ。
 それが現実となってしまったエードは、足もとが崩れていくような感覚に襲われた。
 いくらなんでも、父がそこまでするとは思っていなかった。
「コリエード家の長男として、冒険者活動にうつつを抜かす暇はないと知れ」
 父がエードに嫁をすすめた理由も、全ては家を継がせる為だ。
 エードが家を継ぐと決まった以上、余計な事はさせたくないのだろう。
 すぐに返事ができなかった。
 否定することも、拒否することもできず。
 ペロンはその沈黙を肯定と受け取ったのか、更に続ける。
「お前が冒険者活動を始め、嫁の一人でも連れて帰って来るかと思っていたが……たかだか冒険者二人だったとはな。我が屋敷は宿屋を開いた覚えはないぞ」
 鼻で笑うような口調に、エードがびくりと震える。次に言われる事の予想がついたからだ。
「お前が冒険者活動を止めれば、仲間でもなんでもないだろう。出て行くように言っておけ」
 やはり。
 冒険者を館に宿泊させているというのは、ストルード貴族にとっては下民をわざわざ養っているのと同じような感覚なのだ。
 気まぐれの趣味と言えばほんの少しの間なら問題は無いが、それがずっととなると周囲の目が白くなるのは明白だ。そうなる前に、ペロンは追い出したいのだろう。
「しかし――!」
 思わず逆らおうと声を上げるが、その続きが出てこない。何を言えば良い。何を武器にすればペロンの首を縦に振らせる事が出来る。
「何も二人とも追い出せとは言っておらん」
「どういう、ことですか……?」
 聞くのが怖い。ペロンの口から、平然と出る言葉が、どういうことなのか。
「ファイマ殿はかの『武器仙人』のお弟子さんであろう。そのような人物は大歓迎だ」
 世界を救った『英雄四戦士』の一人、武器仙人。その一番弟子がファイマだというのは、周知の事実である。確かにそのような人物が身近にいるというのは、誰もが羨むことである。
 だが、つまりペロンが出て行くようにしろと言っているのは。
「あの小汚い盗賊はすぐに追い出せ」
「な!?」
 ペロンのあまりの言い草にエードは絶句した。
 同じ仲間であるファイマは良くて、ミレドは駄目。ファイマは有名な人物の弟子だから。ミレドは誰も知らない盗賊だから。
 エードにとってはどちらも大切な仲間だ。
「父上! それはさすがに」
「ポピュニュルペ!」
 反論しようとしたエードの言葉を遮り、ペロンの叱責が飛ぶ。エードの肩がびくりと震えた。
「私は誰で、お前は何者だ?」
 鋭い眼光が、エードを射抜く。
「あなたは、ペロニャンポン=コリエード……私は、その息子のポピュニュルペ=コリエード……です」
 反射的に問われた事に答えた。自ら言葉にする事で、その意味を解からせるかのように。
「そうだ。私に逆らう気か?」
 父の威圧が、エードに重くのしかかる。
 恐怖で身体が震え、萎縮してしまう。
 魔物との生死をかけた戦いの中にある恐怖には慣れている。だが、これはそれとは別物の恐怖。
 兄はいつもここで父から怒鳴られ、説教されていた。
 兄はいつも、この恐怖に立ち向かっていたというのか。これに反撃していたというのか。
 気がつけば、エードの視線は下に落ち、言葉を出すことさえままならなくなった。
 反論が無ければ即ち、ペロンに従うと言うことになってしまうというのに。
 ここで言い返さなければ、ミレドを追い出すことになってしまうというのに。
「……同じ事を言わせるな。わかったか」
 静かなペロンの口調そのものは柔らかいはずなのに、その下に潜む鋭利な刃でエードは身を切り裂かれた。
「はい……わかりました」
 力無くうなだれ、エードはそう答えることしかできなかった。


 執務室を辞したエードの足取りは重く、ここが住み慣れた家ではなく、まるで別世界に飛ばされたような感覚に陥っていた。
 まずはファイマに相談しようとティールームに戻ろうとしたのだが、扉の前で立ち止まった。
「ったく、これ以上ふらふらすんじゃねぇぞ! 狙われてるってこと自覚しとけ!」
 扉越しに聞こえてくるのはミレドの声だ。確か、ふらりとどこかへ行ってしまったマハリを探す為に外へ出ていたはずだが、どうやら見つかって戻ってきたらしい。
「俺様はギルド行って来るからよ、後は頼んだぜ」
 これはファイマへの言伝だろう。
 まずい。このまま棒立ちだと鉢合わせしてしまう。
 かといって身を隠す場所もなければ急に走り出すことができず――。
「あぁ? エード、てめぇなに突っ立ってんだ?」
 扉はあっさりと内側から開けられ、ミレドと対面してしまった。
「えと、あの、その……」
 何を言って良いかわからず、何の意味もない言葉を並べるだけに終わってしまった。
「なに辛気臭ぇ顔してんだよ。せっかくおもしれぇもん連れて帰ってきたってのに」
 からかうような笑みを浮かべるミレドに、エードは言葉を詰まらせた。
 その笑みがエードの心臓を握りつぶすかのように苦しめる。

 ――私はあなたを追い出せという父に歯向かうことができませんでした。

 ――今からあなたを追い出さなければなりません。

 ――なので、出て行って下さい。

 ――これ以上、私に関わらないでください。

「(そんなこと、言えるわけがないじゃないか!!)」
 父の前ではわかりましたと答えたが、実際にはどうだ。相手がミレドでちょっと怖いというわけではない。大切な仲間を売り飛ばすような真似をしなければならない自分が恥ずかしく、悔しい。
「エード? エードじゃないか!」
 いろいろな想いが逡巡する中で、扉の向こう側から聞き覚えのある声がした
「…………え!?」
 その声は本来ここにはいないはずの人物の声である。
 そういえば、さっきミレドが面白いものを連れて帰ってきたと言っていた。
「お前は、ケン?!」
「オレはエンだ!」
 このやり取りも随分と久しぶりだ。
 赤髪の戦士。『炎水龍具』のリーダーであるエンは、相変わらず活発そうな声で変わりはない。
 そして、隣にいるのは。
 紅茶の入ったカップを持ち上げる姿も絵になる、綺麗な青髪を持った女性。
「ルイナ、さん……!」
 信じられない。魔王を斃すべく魔界へ赴き、今も旅を続けていると思っていた。むしろ自分たちが彼らに追いつく為の情報収集をしながらストルードで冒険者活動をしていたのだ。
「ちょうど良かった。エードよ、お主もここに座れ」
 と、ファイマが着席を促した。
「それじゃあ俺様は行くぜ」
 入れ替わりにミレドが出て行く。元々ギルドへ行こうとしていたとはいえ、エードとしては、今は顔を合わせたくないので正直助かった。
 ティールームにいるのはファイマとエンとルイナ、現在の護衛対象であるマハリ。
 それからホイミスライムにしびれくらげ……。
「魔物!?」
 事情を知らないエードが白金剣(プラチナソード)を抜き、斬りかかろうとしたので、それを止めるまでにまた時間を費やしてしまったのだった。

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