外伝3 Mixture medicine


「ならば、仕方がない。やれ」
ルギンの声が、低く響く。

(本当は、エンに、実験体に飲んで、もらう予定、でしたが・・・)
ルイナは薬を1錠飲んだ。自分で調合したのだろう。カプセルに入ったそれは、緑の粉末状の物だった。

そして、何らかの呪文を唱えたあと、目の前の地面を叩く。すると、その地点を中心に魔法陣が浮かび上がり、巨大な水龍が姿を現す!
水龍が、突撃をする。それが敵に当たると、何事もなかったかのように両者が消え去る。

「何!あんな高位モンスターが、一撃だと・・・」
次は、漆黒のキラーパンサーを、2体召還する。それらは、飛びかかって攻撃してきた。

―美しき氷の精霊よ その美しき刃で、かの物を貫かん―
敵は、目前に迫ってきた!
―ヒャダイン―
突き出した手から氷の刃が放出された!

シャドウパンサーたちは見事に凍りづけにされていた。
「今度は、私の番、です」
ルギンに詰め寄り、水龍の鞭で強力な一撃を浴びせる!
「今日は、このぐらいにしておく・・・」

ルギンは漆黒のマントで全身を包み、姿を消した・・・。

「Aクラス、優勝は『炎水龍具』です!!」
ディーラーの声とファンファーレ、そして観客の歓声がが会場全体に響く!薬の副作用か、息も絶え絶えになったルイナだけがリングに立っている。

小一時間過ぎた時だった・・・。
「ん・・・・んん・・・」

「エン、気が付き、ましたか」
「あぁ。でも、まだ気分悪いぜ・・・。」
「では、これを」
差し出されたのは、ビン詰めの薬だった。
「何か変な薬じゃないだろうな・・・」
「あの棚に、ありました」
見ると、薬がたくさん置かれている棚がたくさんある。ここは医務室のようだ。ビンの中から一錠薬を取り、それを飲む。

「試合は、どうなったんだ?」
「勝ち、ましたよ」
「そうか。早々に倒れて、悪かった」
「調合薬使って、何とか・・・」
「調合薬?」
「一種の、能力覚醒剤、のような、モノ、です。飲んで、みますか?」

「それと、賞品は、コレ、でした」
「?」
「火焔剛竜の小手です」
賞品の小手をはめてみる。確かに、精霊のチカラを感じる。
「そっちは何だ?」
「調合薬の、セット(最高級)です。見ます、か?」
ルイナは外側が茶色に塗られているビンを数本自分の鞄から出す。よく見ると、中で何かが動いている。
「なんだコレは?」
エンはラベルを見た。描かれている絵をみて、エンはそれが何だか反射的速度で理解した。
「アイス・スパイダーの、幼虫、です・・・」

医務室から、悲鳴が聞こえたような気がした。いや、気のせいではないだろう・・・。

(完)

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