外伝2 ハイ・テンション

「エ、エードが、マジギレとは・・・。レアじゃな」
「む、無言かよ・・・。逆に怖い・・・」
「どうなるんじゃろうか・・・」
エンとファイマが小声でしゃべっている。しかし、当のエードは気づいていないどころか、すぐに斬りかかりそうな迫力だ・・・。ルイナは、相変わらず無表情だが。

「貴様ら、覚悟しておけ・・・」
並はずれたオーラをまとい、斬りかかる!そのオーラは、普段の彼からは想像できないほど強く、紫の光を放っていた。
そして、渾身の力で、十字に斬りつけた!すると、十字が具現化し、ドラゴンロードを縛りつける!
「ワシらも続くぞ!」
ファイマがドラゴン斬りを放つ。敵の悲鳴が聞こえる。
「『重撃』のフレアード・スラッシュ!」
見事ドラゴンロードに炸裂し、その場に倒れ込む。

「あと、一体、です」
ルイナがギガントドラゴンの口に向かって何かのカプセルを投げる。それを飲み込み、再び攻撃しようとした敵は、爪を振り上げた体勢のまま、動かなくなった。
「しびれ薬『アンチ・キアリク』です」
そして、まだオーラを放っているエードが、攻撃を放つ。その威力は、エンの『重撃』に勝るとも劣らないと言えよう。一撃で敵はかなり消耗している。

「エン、受け取れ」
―バイキルト―
「『竜殺』のフレアード・スラッシュ!」
みなぎる力で放たれたフレアードスラッシュは、ギガントドラゴンを真っ二つに切り裂き、大量の血しぶきを上げさせた。

「勝者は『炎水龍具』です!」
エードが、我にかえった。身に纏ったオーラも消えていた。

満場の歓声の高さは先程の比ではない。
すると会場はいきなり暗くなり、七色のスポットライトがディーラーに集中する。
「いよいよ、最終戦です」

「対戦相手は、暗黒の召還士『ルギン・アード』です!!」
(ルギン・アード、だと・・・)
先程までエン達の試合に見向きもしなかったミレドが、アナウンスを聞き、観客席に出てくる。
(魔界に住む魔物を次々と召還し、そして敵の弱点を見ぬく『黒死眼』を持つ、だったか・・・)
ギルドにあった手配書を思い出す。
(賞金額は1,000,000Gってところか。いや、もっと上か・・・)
次の瞬間には、もう彼はいなかった。

「試合、開始!!」
ゴングが鳴り、リング上にも照明がともる。
ルギンはまだ目をつぶっている。そして杖を振ると、魔法陣からモンスターが飛び出し、突撃を仕掛けてくる。

「『瞬・重・閃』のフレアード・スラッシュ!」
エンの一閃が、敵を一掃する!歓声がまた上がった。 
「少しは、できるようだな」
顔面をほとんど覆うマスクの隙間から、黒光りする不気味な目を見開く!その視線は、エンを向いていた。
「ならば、こいつはどうかな」
ルギンが召還したのは、エンのもっとも苦手とする『アレ』だった。

「・・・や・・・・・め・・・・・て・・・くれ・・・・」
次の瞬間、エンはその場で気を失っていた。

「漆黒の八本足を持つハンター、とでも言っておこうか」

どよめく観客。走る緊張。それを制したのは、なんと『炎水竜具』だった。
「イオナズン!」
「バギクロス!」
爆風は竜巻を飲み込み、さらにその威力を増す。しかし、効果はむなしく、ひるみさえ起こさなかった。

「小賢しいわ・・・」
この世のモノとは思えない声が聞こえてきた。
そして、8本ある内の2本で、襲いかかる!2人ははね飛ばされ、倒れた・・・。

「嬢ちゃん、棄権してもいいんだぜ・・・」
「そんなこと、できま、せん」
「ならば、仕方がない。やれ」
ルギンの声が、低く響いた。

続く・・・

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