□ □ □ □ □ 6階 書店 □ □ □ □ □
ほんの気まぐれだった。日記なんて、書いてもおもしろそうじゃなかったけれど、その日記帳を見た時、何故かそれを買いたくなった。その書店で買った日記帳、家に帰ってさっそく日記をつけてみることにしたのだけれど、その日記帳には既に日記が書かれていた。
「なんだ。これじゃ意味が……」
無い、と思ったのだけれど、よくみれば今までのことだけではなく、これからのことまで既に書いてあるではないか。
それに、昨日の日付。『右膝をケガする』なんて書いてあるが、確かに僕は昨日、右膝をケガしている。それに今日は『日記を買ってみたが、既に内容が書いてあった』とある。まさしくそのとおりだ。それに明日の日付、ここには、『宝くじで大当たり』とある。そういえば、年末に買った宝くじの発表が明日である。
……僕は目を疑った。日記に書いてあったとおり、僕の宝くじは見事に大当たりしていたのだ。これでしばらくは遊んで暮らせるというものである。
そういえば、宝くじのことで頭が一杯になっていたが、明日には何が起こるのだろうか。それが楽しみだ。今更だが、日記というのも悪くない。かなり良い本を買った。
だけど、もっと早く気付くべきであった。宝くじのことで頭が一杯で、今日の日付の所はまだ続きがあった。
今日は、『宝くじで大当たり』の次に『当たりに浮かれて外に飛び出ると、交通事故にあってしまった』と書いてあったのだ。
そしてその次の日は、永遠と白紙が続いていた。
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