今回は「なりきる」というテーマでお話しします。
単に「なりきる」と言いますと、なかなか現実には困難さを伴いますし、そして具体的にはわかりにくい言葉かと思います。
簡単に言いますと、「なりきる」とは不安、恐怖をそのまま受認し、苦痛から逃れるやりくりをしないことです。
苦しみの最中にいる時は自分自身のとらわれ、苦しさにばかり心が向いてしまっていますが、森田を学んでいく内に森田理論のポイントである「建設的なやるべき事から逃げずに行動する」とか「当たり前の事を当たり前に実践する」というような事を繰り返し教えられます。
私自身、対人恐怖でしたが必要なやるべき行動をやらずに逃げるという事を繰り返し、自己嫌悪に陥るという時期がありました。
しかし苦しいままに前向きな行動をするという事を続ける事によって、とらわれから解放されていき、現在のこのままの私で良いという自分自身を肯定できる心境になりました。
その過程の中で「なりきる」という事が私にとって大変、重要なポイントであったと考えています。
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