痛みが移動する?

 施術をしていると患者様によっては、毎日痛みが移動すると訴えられる方がいます。
これは実際には悪い場所が移動しているわけではないのです。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
 それは人体が複数の痛みを同時に感じることができないから、このような現象が起こるのです。

 人間の神経細胞は『周辺抑制』という機能が働いています。
どういったものかというと、重要な情報を伝達する際、その情報以外は伝達しないように周りの神経は抑制状態になり興奮しないというものです。
 これにより人体にとって一番重要なものをより速く伝達することができ、生命を維持することが可能なのです。
 つまり、痛い場所が移動したのではなく、一番痛い場所を『痛い部分』として人は認識しているために、施術したことにより一番痛い場所は痛みが軽減し、二番目に痛かった場所が、今度は一番痛い場所として現れてくるのです。

例えば、肩こりがあって痛いと認識していたとします。『周辺抑制』を応用すれば、その痛みを消す(一時的ですが)のは実に簡単です。その方法とは別の場所を指でつねったりして、新たな強い痛みを創り出すことなのです。
そうすることで新たな痛みの出現により肩こりは気にならなくなったはずです。

 こうした機能が人にはあるために、数箇所に悪い場所がある方は施術によって痛い場所が移動したように感じられ、不思議に思われるかもしれませんが、回復過程の一部なので、特に心配は要りません。