#最終話 (2004-Vol.13 2004.06.25発売)
「プロフェッショナル・スチュワーです!!」最終話を見る。
実に綺麗にまとまった、原作の良さが十二分に生かされた話だった。
今までの懸案であったエンディングのゴチャつきやモタつきは無くなった。
微妙に内容が詰まり気味のような気もするが、マイナス要素と言うほどではなく
むしろ読みごたえ十分と解釈していいだろう。
ここ最近の連載分に関しては内容面で大変充実した構成となっていたが
特に最終話はリズムの良さと作画のスムーズさにおいて目を見張るものがあった。
完成度の高さで比べると#21の胴体着陸の話と同じか、それ以上か。
もし100点満点で幾つ与えるかと聞かれたら、僕は120点と答えるだろう。
2年前、僕が感じたあの手応えは間違いではなかった。
いや、間違いではないと言うより、僕が見ている以上の「何か」が存在するという
新しい手応えを感じた。
残念ながら、僕の目にはその「何か」が何なのか確かめることはできない。
それを見て確かめるには製本屋ではなく、編集者でなければならない。
編集者の眼力が確かでなくてはこの作品を生かす事は難しくなるし、ましてや
編集部の目が曇っていては話にならない。
「もし‥‥だったら」という設問がまったくの愚問である事は十分承知している。
しかし、「プロです!!」の掲載誌がヤングアニマルでなかったらどうなっていたか。
それを想像する時、どうしようもなく無念な思いと悔しさがこみ上げてくる。
反面、これだけ畑違いの雑誌の中で2年間頑張った功績は特筆に値する。
その裏側でどのような事情があったか容易に想像がつくだけに、よくぞ
この逆境を越えてきたと感嘆するばかりだ。
漫画家・片山誠の実力の高さ、原作者・蘭佳代子の優れたセンス。
全く異なる感性の交点に現われた、異質にして異色の作品。
それに触れることが出来ただけでも、この作品を追ってきた価値はあると思う。
作品はこれで終わりとなる訳だが、作り手の視点から見るとこれが始まりの
ような気がしてならない。
ここから、新たなフライトが始まる。