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iMac改造計画

 2.5インチHDDと冷却ファンとDVDドライブ

 iMacの弱点というか、不満に思っている点は、モニターの品質だけではない。
 一つ前の項目でも書いたが、冷却ファンの音とHDDの熱が気になっていた。
 それと、書き込み可能な光学ドライブを備えていないのも不便であった。

 ノート用のアーキテクチャをベースに設計されたiMacだが、HDDだけは3.5インチの
 ごく普通のサイズのものを載せている。
 正面から見てCD-ROMドライブのすぐ真下、殆ど隙間のないところに搭載されていて
 これが結構発熱する。
 CD-ROMのトレイが熱くなるぐらいだから、熱気の逃げ道がないことは容易に想像がつく。

 それと、冷却ファンの音。音量はともかく音質が気になる。
 共振現象のせいか変な重低音を出すのだ。
 「ブーン」じゃなくて「ゴーン」という感じ。
 iMacには超高回転仕様の92mm角のファンが1基、CPUのすぐ真上についている。
 この超高回転仕様というのが結構クセモノで、回転数と風量が分からない。

 何とかならないものかと考えつつ、量販店で部品を物色する。
 92mm角のファンは標準仕様と高速仕様の2種類があった。
 両方買ってテストして、調子の良さそうなものに取り替えることにする。

 HDDは変換キットを使って、2.5インチを載せられることが分かっている。
 何処かでHDDを調達しないと。

 家に戻って、ファンのスペックを比較してみた。

種 別 回転数 最大風量 騒音レベル
標準仕様
(バランス重視)
2500rpm 50.5CFM 34dB
高速仕様
(冷却重視)
3000rpm 58.7CFM 38dB


 iMacで使うのは+12Vの線だけ。
 最近は回転数を検出するパルスセンサーを内蔵したものが多いが
 もしその配線が出ている場合は適当なところで切り、熱収縮チューブで
 絶縁しておくといい。

 iMacは匡体内の温度をモニターして、ファンの回転数を自動制御している。
 よほど負荷を掛けない限りはこれらの数値を下回るはずだから、最大風量の
 数値も当てにならない。あくまで目安ってことだ。
 しかも元々のファンのスペックが分からない以上、実際に取り付けて
 温度を調べないと意味がない。

 元々超高回転仕様で普通に動く設計ならば、標準仕様では温度が上昇するはず。
 まずはその辺から検証してみる。

 iMacを分解、冷却ファンを取り払うと、そこに標準仕様のファンを組み込んで
 元に戻して温度を測る。
 ちなみに改造前、無負荷の状態で40℃だった。

 1時間ほど起動させたままにしておいて、CPUの温度を計測すると、46℃。
 予想通りの結果である。
 確かに排気音は静かになるが、負荷を掛けた後に熱暴走の危険もあるし
 電解コンデンサーの劣化でロジックが御臨終、なんて結末もありうる。
 危ないからやめておこう。

 高速仕様に取り替えて再び1時間待って計測すると、38℃。
 標準仕様ほど静かにはならないが、それでも音量は改造前よりやや下がり
 変な重低音は出なくなったし、改造前よりはちょっと冷える。

 冷却ファンは高速仕様を載せることで決定。
 標準仕様の音質も捨てがたいのだが、プラス8℃でロジックの寿命を縮めるなら
 プラス4dBを我慢して冷却を重視した方が賢明だ。

 2.5インチのHDDも、運良く中古の20GBがタダで手に入った。
 恐る恐る変換キットを取り付けて起動させると、無事iMacが認識した。
 で、初期化してOSを組み込んで、しばらく起動させたままにしてみる。

 改造前はCD-ROMのトレイが40℃近い温度になっていたが、2.5インチ化で
 殆ど熱を発しなくなった。
 冷却ファンの効率も関係あるだろうし、ノート用の低電力のドライブを
 取り付けたのも効果を発揮しているのだろう。
 動作音は殆どない。動いてるかどうか心配なぐらい静かだ。

 計画通り、HDDは2.5インチを載せることで決定。
 こちらは予想以上の冷え具合に満足だ。

 

 ここまで終わったところで、ノート用のDVDドライブが手に入った。
 松下のUJ-811Bという機種で、DVDとCDの読み書きができるのだが
 ネットで調べてみるとスレーブに固定された機種で、設定用のジャンパーピンがない。
 しかしiMacに搭載するにはマスターに設定できるドライブに限られる。
 マスターに設定しないと、光学ドライブから起動できない。

 そういえば過去に、コネクターに電気的な改造をするとマスターに変更できるのを
 どこかで見たことがある。
 更にネットで調べると、47番ピンをGNDに落とすのがポイントなのが分かる。
 で、47番の隣にある45番と43番、反対側の48番と46番と44番がGNDになっている。
 一番近いのは45番だ。
 細い銅線を使い、47番と45番をハンダづけすれば完成。
 これでマスターとして認識されるようになる。

 iMacで使うには二つの問題がある。
 ハードウェアの都合でDVDビデオの再生ができないのと、イジェクトボタンが
 真ん中にないため、ベゼルを移植できない。
 DVD-RやCD-Rの作成には問題ないため、以上の2点さえ気にしなければ十分な
 仕事ができるだろう。

 冷却ファンもHDDも、マシンの内側の改造なので、見た目の変化はない。
 モニターを液晶にした時も違和感がなかったので、よく見ないと気付かない。
 そこにDVDを取り付ければ、見た目がちょっと不細工になってしまう。
 結構手間を掛けて結構高性能に仕上げたつもりだし、実際高性能なのだが
 何処がどのように凄いのか、逐一説明しないといけないのが辛いところだ。

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