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はったりオーディオ研究室
インターネットラジオ専用端末を作る。


 ネットラジオを電算室のBGMに使うようになってから何年経つだろうか。
 MacにiTunesをインストールして以来だから、結構な年数になる。
 iTunesはVer.1.1の頃から使っている。
 あの時僕は、凋落の一途を辿る国内のFM局に別れを告げた。

 切れ間なく音楽が流れる空間は、長い間の憧れ。
 欲しい音は自分で探し、自分で組み合わせて作る道があることを
 iTunesが教えてくれたと言っても言い過ぎではない。

 その性格上、ネットラジオは電算機と密接な関わりを持っている。
 専用のチューナーもあることはあるのだが、どれもデザインが中途半端だったり
 機能面で無駄があったり不満があったり、とても満足の行くものではなかった。

 ある日、ネットラジオ専用チューナーの組み立てキットがあるという情報を
 偶然目にした。
 単体でも動くが、ブラウザで細かな設定や遠隔操作ができるという。

 市販品で満足できなければ自分で作ってもいいのではないか。
 いらない機能を削る。必要な機能を作る。デザインは自分で考える。
 そんな考えが閃いた。

 基本となるキットは、トライステートが開発したBB-Shout。
 そこにステップアップトランスを追加してライン出力仕様にする。
 ケースはタカチのSY-150Bを選択。
 ACアダプターはリサイクルショップで9Vのものが手に入ったので
 そいつを使う。
 BB-Shout自体は5Vで動いている。
 レギュレーターの降圧分とアダプターの入手のしやすさを考えると
 9Vが最適だろう。

 

 組み立てに関しては特に難しいことはない。
 回路図と注意書きに従ってひとつひとつ確認をする。
 時々ケースに仮置きして、配置のイメージや電線の長さを考える。
 出力側のケミコンは一応470μFに交換してあるが、基板の穴あけに余裕があれば
 音響用でもう少し大きな容量が良かったかも知れない。
 そのうち気が向いたら交換しよう。

 

 ディスプレイを延長するキットもあるが、我が家は全部手配線にする。
 ケースに仮置きしながら長さを考え、電線の癖をうまく利用して綺麗な束にまとめる。
 万一の場合に備え、ディスプレイとコネクターの間を延長して脱着可能にしてある。

 

 前面のパネルの裏側。
 表側から見るとそうでもないのだが、裏側から見ると
 パネルを目一杯使ってるのが分かる。
 ディスプレイの角穴はハンドニブラーで大雑把に開けた後、ヤスリで
 ギリギリまで削り込んで、ホットメルトで固定。
 切断面をあらかじめ黒く塗装しておくことと、ホットメルトを十分に予熱して
 隅を埋めるよう丁寧に充填するのがポイント。

 ケースの容積はトランスを含めて計算したものの、レイアウトの都合で
 トランスを前寄りに配置することになってしまった。
 できれば背面側に寄せたいところである。

 

 電源スイッチは緑色のLEDを内蔵したものを使っている。
 LEDの電力はレギュレーターの直後から引っ張って、CRDで10mAに絞って給電する。
 また、レギュレーターを立てたままにしておくと後で放熱器が付けられる。
 供給電圧の高いアダプターに変更する時、放熱器は必須となる。

 背面のRCAの根元の抵抗はレベル調整用。我が家では10kΩに設定。
 音量10でライン入力、音量20ぐらいでカナル型イヤホンを直接駆動する。
 なお、この回路でCmoy式のヘッドフォンアンプを繋ぐとノイズが出る。
 直流成分を除去するか、何らかのバッファーが必要なのかも知れない。

 

 前から見た様子。
 裏側の過密ぶりが嘘のようなデザイン。
 音声関係のケーブルがウネウネしてるのがちょっと残念だが
 それ以外は申し分のない仕上がりになっている。
 ディスプレイの角穴の加工精度も文句無し。
 ライン出力、DC入力、リセットスイッチは背面パネルに固定してある。

 

 棚に設置して動作中の様子。
 ダイヤルの真下、左にメニューボタン、右にキャンセルボタン。
 ディスプレイの左下に、赤、黄、緑のLEDを配置。
 普段日常的に使うことを考え、落ち着きと安定感のある外観を意識し
 真っ暗でも片手で完璧に操作できることを第一目標とした。
 ネット上で見かける先人たちの作品と比べても遜色のない
 仕上がりなのではないかと思う。
 ただ、キャンセルボタンの青色はちょっと失敗だったかも知れない。

 ツマミは付属品ではなく、もう少し奥行きのあるものに交換し
 シャフトを若干切り詰めてある。
 白い指標は塗料で塗りつぶしたが、できれば指標のないものを使うと完璧。
 なお、後でひと回り大きなツマミに交換できるよう設計してある。
 パネルの右側がちょっと空いてるのはそのため。

 LEDは3mm径に交換し、2mm穴を開けて背面から接着。
 穴を少し面取りして金属面を出し、精悍な印象にまとめた。
 あまり使わないTXのLEDだけケース内に残してある。
 電流制限の抵抗は基板に実装されたものをそのまま使っているが
 眩しすぎず暗すぎず、視認性の良い明るさになった。

 音質に関してはビットレートの違いやエンコードの違いが極端なため
 評価しにくいが、ケミコンの大容量化とステップアップトランスの効果で
 割と落ち着いた感じにまとまっている。
 MP3特有のエッジのきつい印象は幾分抑えられていると思う。

 BB-Shoutを開発したトライステートは北海道の苫小牧にある中小企業。
 この他にも様々なキットがリリースされている。
 北の大地からこういった意欲的な製品が出てくると、非常に嬉しい。