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REGZA REシリーズの映像設定
LED REGZAの設定を公開。

 2010年7月末のこと。
 隅田川の花火をハイビジョンで観たくて、REGZA 26RE1を買った。
 いわゆるLED REGZAである。

 このテレビ、発色にちょっと癖があった。
 バックライトがLEDということもあるのだが、初期状態での設定が
 あまり良くなかった。
 で、資料も情報も乏しい中で手探りで調整をすることになった。

 市販品の白色LEDは黄色と青の蛍光体を使い、白を出す。
 中には赤と緑の蛍光体を使うものもあるが、コスト的にREシリーズには
 使われないだろうと予想し、黄色と青を絞る方向で数値を考えた。

 映像メニューは当初映画プロモードを基準に調整を進めていたが
 相方が「画面が暗い」と言い出したので、標準モードをベースに
 補正値を考えることにした。

 しかし、この二つの要素が後になって大きな間違いであることを
 知ることとなる。

 間違った要素をベースに作った旧設定がこれだ。
 一応比較実験をする方のために掲載しているが、この設定を使ってはいけない。
 このページの下方にある新設定を使うこと。




■旧設定 2010年9月11日作成、11月27日改訂

映像メニュー 標準
映像調整
 バックライト 70
 ユニカラー 80
 黒レベル +05
 色の濃さ -05
 色あい +10
 シャープネス +05
 詳細
  カラーイメージプロ設定 オン
  赤 +8,0,0
  緑 0,+4,0
  青 -10,-10,-10
  黄 -10,0,-10
  マゼンタ 0,0,-5
  シアン 0,0,0
  ユーザーカラー(肌色NHK)-10,0,+10
  ユーザーカラー(肌色テレ朝)+10,0,+10

  レゾリューションプラス オート
  レベル調整 03
  カメラ撮像補正 オート

  MPEG NR 弱
  ダイナミックNR オート

  ヒストグラムバックライト オン
  ファインシネマ オン
  色解像度 ワイド
  色温度 05 (Gドライブ・Bドライブ=0)
  ダイナミックガンマ 06
  ガンマ調整 +01
  Vエンハンサー オート

 アニメモード オフ
 明るさ検出 オフ

 カラーイメージプロ設定で青と黄色が軒並み低い値になっているが
 LEDバックライトの蛍光体が黄青の混合だと思い込んでいたためで
 後にこれがとんでもない間違いであったことが判明する。
 肌色の質感が悪いこと、風景の青や緑の立体感が乏しく、深みに欠ける
 傾向が最後まで改善できなかった。

 で、肌色を改善するためにユーザーカラーで個別に補正値を設定。
 ユーザーカラーの1はNHKの夕方のニュース、男性アナウンサーの顔の中間調。
 ユーザーカラーの2はテレ朝か日テレの夕方のニュース、やはり男性の顔の中間調。
 これはスタジオ収録での肌色がマゼンタやオレンジに偏るのを抑制し
 LED特有の白っぽさを抑制する効果を狙っているが、肌色以外には効き目なし。
 別のやり方ではNHKの夕方のニュースと他局の屋外での肌色、それぞれの
 中間調を拾って補正する方法も試したが、狙い通りの色調にはならず。

 しかし、同じような条件で別の日に色を拾っても完全に同じ色に
 ならないのが最大の難点で、何らかの問題でリセットや初期状態に戻した後
 どうやって同じ色にするかが問題だった。
 後にLEDの特性の解析に間違いがあると判明するまで
 風景の深みと肌の再現に散々悩まされた。


 そんな折、Blogで頂いたコメントから自分の大きな間違いに気付く。
 LEDバックライトの特性と、映像メニューの選択だ。
 REGZAのLEDは黄青の混合ではなく、赤緑の混合であり
 地デジの信号の素の状態に近いのは標準ではなく、映画プロであること。
 映画プロはほぼ無調整の状態で色温度だけ下げた仕様だという。

 これまでも、REGZAの変な挙動には気付いていた。
 いくら黄色や青を絞ってもなかなか色調に反映されないのに
 赤や緑をいじると小さな値で色調が大きく変わる。
 もしかしてLEDの蛍光体が予想と違うのではないかと思ったことがある。
 映画プロから標準に変更した時、画像がやたらに青白いことに違和感を持ったが
 テレビの中で何らかの調整をした結果があの色だったのだ。

 これで全ての謎が解けた。
 やはり自分が最初に選んだ手順が正解だった。
 画像が暗いのは単にバックライトの明るさが暗かっただけで
 あれこれ複雑な設定をしても狙った通りにならなかったのは
 そもそも最初の設定が間違っていたからだ。

 そこで、一旦初期状態に戻した後、新たな設定を作った。
 12月20日に作成した最新版だ。
 最新版では肌色の問題が解消され、ユーザーカラーの設定がなくなった。




■新設定 2010年12月20日作成、2010年12月21日改訂

映像メニュー 映画プロ
映像調整
 バックライト 70
 ユニカラー 75
 黒レベル +05
 色の濃さ 00
 色あい 00
 シャープネス +05
 詳細
  カラーイメージプロ設定 オン
  赤 +5,+5,0
  緑 0,+4,0
  青 0,+4,0
  黄 0,0,0
  マゼンタ 0,0,0
  シアン 0,0,0
  ユーザーカラー 不使用

  レゾリューションプラス オート
  レベル調整 03
  カメラ撮像補正 オート

  MPEG NR 弱
  ダイナミックNR オート

  ヒストグラムバックライト オン
  ファインシネマ オン
  色解像度 ワイド
  色温度 03 (Gドライブ・Bドライブ=0)
  ダイナミックガンマ 04
  ガンマ調整 +01
  Vエンハンサー オート

 アニメモード オフ
 明るさ検出 オフ


 従来の旧設定では肌色の再現性に問題があったのと、風景を表示するとき
 白っぽく深みのない表現になっていたが、このあたりを改善することに成功した。
 最初、LEDの発光体が黄青の混合だと予測して補正を始めたが
 Blogのコメントにより赤緑の混合だったことが判明、これに沿って全ての
 設定を書き換え、再現性に問題のある肌色の補正を不要にした。
 コメントでは映画プロで色温度だけを高めに調整、ということだったが
 実際にやってみると何となく暗い感じがしたので、色温度はいじらず
 他の数値を改善することにした。

 この設定はCRTからの移行を意識した数値になっており
 ソニーのトリニトロン管をベースに色調を設定した。
 もう少し渋い色が欲しい人はユニカラーと色の濃さを絞って
 ダイナミックガンマとガンマ調整を1ずつ減らす。
 色調の赤み、あるいは青みを調節する時は色温度を加減すると良いだろう。


 我が家の設定値では発色があっさりするとか淡白だとかいう意見を
 以前どこかで見たのだが、プロがビデオ編集に使うモニタは元々そういうもので
 我が家はそれを基準にしている。
 写実的。ちょっと渋くて奥行きのある感じ。
 旧設定では渋さは出ても、奥行きと深みが足りなかった。

 美しい風景とか、旅番組とか、アートな番組などを観る時に
 できれば肉眼で見た実際の様子に近い画で楽しみたい。
 もちろん製作する側も映像にこだわって作ってくるから
 そういった映像をどこまで写実的に表現するか、というところで
 全ての設定値を決めている。
 実際の色と記憶色の違いを計算に入れつつ、可能な限り写実的に
 見える設定や数値を探す。
 編集室のモニタの画を想定してるのはそういう理由。

 だから、アニメとかゲームとか、三流のお笑い芸人が出る
 スタジオ収録の番組とか、そういうのには向いてないし
 そっちに合わせると全体的な画質が破綻してしまう。
 もちろん、よく作り込まれた映像ではそれ相応の表現で
 表示するけど、作りの粗いものは粗いままでしか表示しない。

 リアリズムって、突き詰めるとそういうことだと思う。
 虚飾も誇張も一切ない真実。素材を肉眼で直接見る感覚。
 本物らしさの追求じゃなくて、その素材の本質を知るということ。
 つまりテレビ番組の本質を知りたければテレビ自体を正しく調整する必要がある。
 正しく調整されたモニターで映像を見ることは自分の感受性を
 磨くのに役立つし、番組の質の良し悪しを見抜く目を養うことになる。
 素材の素の状態がどんなものかを知った上で、自分なりの味付けを最小限に
 施す調整が、今後のテレビの新しいセッティングなのではないかと思う。

 なお、地デジ入力は19RE1、26RE1、HDMI入力はD-H320にてテスト済みである。
 コンポジット、S入力、D端子に関しては機材によって設定値が変わるため
 ここでは数値を公表していない。新設定を元に各自工夫してみてほしい。

 この設定が何かの役に立てば幸いである。