SANYO DSC-S6

 2005年10月下旬発売。
 通称・Xacti S6。

 三洋のデジカメ、Xactiシリーズの廉価帯に位置する製品。
 単三乾電池駆動、SDカード、600万画素、そしてDiMAGE X20と
 同等の操作性を持つカメラが欲しくなり、その結果本機が
 選定された。
 家電量販店では2万円を切る価格で売られているが
 これといって欠点のようなものがある訳ではなく、性能的に
 他の600万画素クラスと何ら変わりない。

 デザインは良いものの見た目は割と地味で、触ると何となく
 安っぽい質感があるのだが、基本性能は思いのほか高い。
 任意の撮像感度を設定でき、方向キーで瞬時に露出補正が行え
 慣れれば酒に酔った時でも手が迷うことはない。
 X20と同様、写真術を熟知した人間が設計したことが伺える。

 画質は若干派手目でラチチュードが狭く、リバーサルに近い。
 曇り空、室内、夜間など、光線条件の良くない場所で
 良好な絵が得られ、特に料理のブツ撮りに威力を発揮する。
 ただし絞り開放で逆光気味の場合に画面周辺で色収差が出るので
 ここだけは若干注意が必要だ。

 測距精度はいいが、センターの測距点の反応がやや鈍く
 狙った所をうまく拾ってくれないことがある。
 普段は9点測距、精度を重視する時だけ1点測距を選ぶと
 快適な撮影が楽しめる。

 設定項目はちょっと多めで、割と細かくカスタマイズできる。
 測距点や測光パターンが変更できたり、MFモードでピントを
 固定することが可能。
 値段が安い割に機能がやたら充実している。

 そして特筆すべきは、電源管理機構の完成度。
 電圧が下がり始めてからシャットダウンするまで、結構長時間
 粘ってくれるのが有り難い。
 また、一旦シャットダウンしても再起動させることで
 数枚程度なら騙し騙し撮ることができる。
 大事な時に電池切れで立ち往生、という危険は極めて少ない。
 もちろん、自社開発の蓄電池「eneroop」との相性は非常に良い。

 節電機能に関してもよく考えられていて、一定時間が経過すると
 スリープモードになり、シャッター半押しで瞬時に復帰する。
 高い機動性と省電力を両立した賢い設計であり、優れた電源管理と
 相まって迅速で確実な撮影を約束する。

 一見すると可もなく不可もなく無難な作りのカメラのように
 見えるが、使い込むと思わぬ所に良さが見えてくる。
 「良品廉価」を体現した、近年稀に見る良品である。

 ちなみに、あまり知られていないが「デジカメ」は三洋電機の
 登録商標である。


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