プレゼント

君と囲む朝の食卓に並ぶ色とりどりと食事たちは、白い湯気を漂わせながら、日々常に違うメニューが入れ替わり立ち代り俺を出迎えてくれる。見ているだけでも心が和む出来立ての温かさは、手作りの証である心の温かさそのものなのだろう。

香穂子が込めてくれる想いの調味料に食も進み、更にそこから笑顔が生まれ・・・。
愛しい人が心を込めて作ってくれる料理を毎日一緒に食べると言う事が、こんなにも美味しく楽しいものだとは、君と過ごしてから初めて教えてもらった。心の空腹は、心で無いと補えないのだという事も。


お腹も心も・・・1日を過ごす身の内の活力全てが満たされた後は俺はリビングで新聞を広げ、香穂子はキッチンで片付けを。重なり合う音色で奏で合うような緩やかに流れていく心地良い時間の中で、温かさと穏やかさの余韻に浸る・・・そんな中に事件は起こったのだ。





「・・・・・・っ!」


キッチンから聞こえたのはガチャンという食器の割れる音と、香穂子の小さな悲鳴。
彼女に何があったのかと思うよりも早く自分の身体が反応して動き、読んでいた新聞をソファーの脇へ放り投げると、弾け飛ぶようにキッチンへ駆けつけた。不安と心配で息が詰まり、全身から血の気が失せる思いで。


「香穂子、何があった!?」
「・・・ごめん・・・ちょっと、手が滑っちゃって・・・・・・」


洗い物の途中だったらしい香穂子は飛び込んできた俺を見るなり、シンクの前で食器拭き用のタオルをキュッと両手に握り締めたまま、すまなそうに瞳と眉を寄せてシュンと肩を落とした。彼女の足元には、砕け散った食器の白い破片たち。これはコップ? マグカップだろうか?


ついうっかりと食器を破損する事は以前に何度かあったものの、いつもと違い半ば放心状態のままでいる香穂子が心配になり、もしや手や指に怪我でもしたのではと俺は気が気では無くて。取らばる欠片を踏まないように飛び越えて避けつつ、呆然と立ち竦む彼女の手を勢いのまま強く掴んで引寄せた。


良かった・・・どうやら指に怪我は無いようだ。


傷が無いか怪我はしていないかと、指先の一本一本からじっと見つめ調べたが結局は何事も無く。ホッと安堵の溜息を吐いて我に帰れば、俺の真剣な眼差しに驚いているのか戸惑っているのか。直ぐ目の前で見上げる大きな瞳が、潤みつつ不安そうに揺れている。ただでさえショックだったろうに、ひょっとして怯えさせてしまっただろうかと反省して一つ深呼吸すると、瞳を緩めて柔らかく語りかけた。


「香穂子、怪我は無いか?」
「う、うん・・・私は平気・・・。それよりも、危ないから片付けなくちゃね」
「これは、いつも香穂子が使っているマグカップじゃないか?」
「そう・・・うっかりして、自分で割っちゃった・・・・・・」


そう言って力無く微笑んだ彼女の悲しそうな顔に、胸を射抜かれて俺の手も緩み、その拍子にするりと腕から抜け出すと、キッチンの隅にあった箒とちりとりを持ち出して手袋をはめた。プツンと糸が切れたように項垂れている背中にどうしても側を去ることが出来なくて・・・このまま側を離れてはいけないような気がして。
ここは一人で大丈夫だから心配かけてごめんねと、必死に笑顔を作る頬をそっと手で包みながらやんわり言葉を押し切ると、俺も手袋をはめてビニール袋を取り出し、片付けを手伝う事にした。





しゃがみ込んで丸くなっている香穂子は唇をかみ締め、後悔の苦しさと悲しみに潤んだ瞳を歪ませながら、マグカップの欠片たちをじっと見つめている。やがて大きく溜息を吐くと、一つ一つを慈しむように最後の挨拶をしながら、大切そうに箒でちりとりの中へと収めていった。


「あっ、割ったのは私のだけだから心配しないでね。蓮のコップや他の食器とかは無事だから」
「俺や家の事は気にしないでくれ。それよりも、香穂子の大事な物だったんだろう?」
「うん・・・・・・」


割ってしまったのは、香穂子が子供の頃から大切に使っていたという、彼女愛用のマグカップだった。
きっと割ったのが他の食器ならば、ここまで落ち込むことも無かったかもしれない。


俺と結婚して一緒に暮らす前から、君と一緒に時を越えてきた相棒・・・いや、分身といっていいだろう。日本を離れて俺のいるドイツに渡る時も、これだけはと大切に自分自身の手で運んでいたのを思い出す。そういえばお互いまだ高校生だった頃、彼女の家に訪れお茶が出されるたびに、このマグカップを見かけたものだ。

温かい湯気の漂うカップを両手で包みながら、美味しいねと頬を綻ばせる笑顔は、あの頃も今も変わらない。


あの頃に触れた想いや過ごした君の想い出を染み込ませただけでなく、生活の中でいつでも君と共にあったそれは、俺にとっても記憶に深く刻まれた愛着あるもの。彼女の深い悲しみは、察して余りある程だ。
心に抱える苦しみや悲しみが伝わってきて、切ない程に俺の胸を締め付ける苦しさに眉を寄せて耐えながら、何と声をかけてよいものか・・・そう思い横顔を見守っていると、香穂子がポツリと呟いた。


「もう・・・使えないよね・・・・・・」
「残念だが、ここまで砕けては修復は難しいと思う」
「長い間使ってたのに、終わりはあっけなかったな・・・。ついさっきまで、これでお茶飲んでたんだよ・・・・・・。嬉しいときも悲しいときも、子供の頃から蓮と一緒になった今まで、ずっとずっ〜と一緒だったのに・・・」


ゆっくり時間をかけてようやく集め終わった欠片を、ビニール袋に移して封を縛る。床に置いたそれをしゃがみ込んだまま名残惜しそうに眺める彼女の手から箒とちりとりを受け取り、外した手袋と共にキッチンの隅へと片付けた。うずくまったままの背中が痛々しくて、瞳を細めて見つめずにはいられない。

彼女の隣へ歩み寄り、膝を折ってしゃがみながら華奢な肩を頭ごと覆い包むとそっと引寄せ、俺の胸の中へ埋めるように閉じ込めた。


「例え形が壊れてしまっても、共に過ごした記憶や染み込んだ想い出までもが壊れる訳じゃない・・・決して消える事は無いんだ。俺の心の中にもしっかり刻まれているように、香穂子の心の中にもずっとあるのだから・・・そうだろう? 君が悲しめば、きっと彼らも悲しむ」
「うん、でも・・・。大切なものが目の前で壊れるのは、あの時だけでもういいって思ったのにな・・・。私がもっと気をつけていれば壊れずに済んだのに・・・ごめん、ごめんね・・・・・・痛かったよね・・・・・・」
「わざとじゃないんだ、事故なのだから仕方が無い。長い間香穂子に大切に使ってもらって、このマグカップもきっと幸せだったと思う。君が昔、妖精に託されて使っていた魔法のヴァイオリンのように」
「そうかな・・・本当にそう思ってくれてるかな・・・。だって私が自分で割っちゃったのに・・・・・・?」
「あぁ・・・・・・」


今まで美味しいお茶を飲ませてくれてありがとう・・・。

そう言って今にも溢れそうな涙を必死に堪えながら、ビニール袋に入ったマグカップの砕けた欠片たちに、想いの限りを込めて笑顔を向けた。やがて肩が小さく震えだし、堪えきれない悔しさと悲しさが混じった嗚咽が漏れ聞こえてくると、涙を見せまいと俯いて顔を伏せてしまい・・・。そんな彼女を優しく深く腕の中に閉じ込めれば、縋りつくように両腕が俺の背にまわされた。



悲しい時は泣いた方がいい。
でないと、きっと歪みを生んで心が悲鳴を上げてしまう。


だが気の強い君は俺にも泣き顔を見せたく無いだろうから、どうか涙は俺の胸の中で。
君の涙を悲しみごと吸い取りたい・・・そう思うから・・・。









香穂子を宥めて落ち着かせた後に、少し出かけてくるからと言い残して俺は家を出た。
悲しそうな彼女を一人にしては置けないから、もちろん急いで用事を済ませて再び家に戻れば、俺が出かけた時と同じまま、香穂子はリビングのソファーにポツンとうずくまるように座っていた。

いつもならばお茶が入ったよと笑顔と共に香ばしい焼き菓子やお茶の香りが漂っている時間帯なのだが、今日は火が消えたように静まり返っていて。それだけ君の笑顔が俺に・・・いや、この家全体にどれだけ大きな力をもたらしているのかと改めて気付かされる。


俺が出かける前に、別なコップでもお茶は飲めるが飲んだ気がせず、いまいちしっくりこないと言っていた。
それだけ愛着があり、悲しみが深いのだろう。だが悲しいままでいて欲しくなくて・・・早く心からの笑顔を取り戻して欲しくて・・・。俺で力になれるのならば、全てを捧げてでもいいと思う。



膝を抱えてうずくまるように座っている向かい側へ静かに腰を下ろすと、傷ついた羽根を癒すように優しく微笑みながら、邪魔にならないように声をかけた。すると伏せられた顔がゆるゆると上がり、ほんのり赤く染まった目元と頬で微かに微笑を返してくる。例え微かでもいい、今はその微笑みに小さな希望が灯ったようだ。


「・・・香穂子」
「蓮・・・おかえりなさい」
「気分はどうだ?」
「うん・・・ちょっと落ち着いたかな。ごめんね、コップ一つ割ったくらいでウジウジしてて。こんなんじゃ、もし家中の食器が割れたら、私ってばどうなっちゃうんだろうね」
「それだけ言えれば平気そうだな、安心した」
「私のせいで、蓮にまで悲しい想いをさせちゃったね・・・ごめんなさい」
「悲しい時には二人で分かち合えば、一人で抱えるよりも負担が半分になるだろう? 俺は喜びだけでなく君の辛い事や悲しい事も、一緒に分かち合いたいんだ」
「側に蓮がいてくれて良かった。蓮がいてくれたお陰で、重かった心がとても軽くなったの。本当にありがとう」


身体を丸めていた膝を下ろしてスカートの裾を整えつつ、ちょこんとソファーに座り直しながら、ふわりと笑みを向けてきて、ようやく見れた久しぶりの笑顔は、俺の心もを照らして雪解けのように自然と緩ませてくれる。
彼女の笑みが深く柔らかいものになったのは、きっと俺が向ける表情も同じだからなのだろうか。


そうだ・・・今なら大丈夫かも知れない。
そう思って足元に置いた手提げの紙袋の取っ手を気付かれないように握り締めると、微笑む香穂子の瞳を真摯な真っ直ぐに見つめた。俺の心を届けるようにと、真摯な想いを込めて真っ直ぐに。


「香穂子・・・その、隣へ座ってもいいだろうか?」
「どうしたの、急に改まって。いつもなら、何も言わずにペッタリ私にくっついてくるのに」


変な蓮・・・とクスクス可笑しそうに笑いながらも、どうぞと身を寄せて俺の場所を作ってくれる。ありがとうと言いつつも、そんなに変だろうかと苦笑で返しながら立ち上がり、向かいのソファーへと歩み寄った。


まぁ、言われてみれば確かにそうかも知れないな。

けれども今は、一人にさせて欲しいのだと・・・想い出を振り返りながら別れを惜しむ時間が欲しいのだと無言でそう訴えていたから。側に寄り添い見守る事は出来ても、いくら俺とはいえむやみに彼女の心の中へと立ち入る事は出来ないんだ。大切だからこそ・・・一緒に暮らしているからこそ守らなければいけない、互いの心の領分と言うものがある。だから俺を入れてくれるかどうか・・・彼女の心のドアに、ノックをしたかった。




香穂子の隣へ温もりを伝えるように身体を添わせて腰を下ろすと、手にしていた紙袋から綺麗に包装された小ぶりの箱を取り出し、両手を添えながら差し出した。


「これを、香穂子に受け取って欲しいんだ」
「なぁに、蓮から私にプレゼント? 誕生日とか記念日でも無いのに?」
「記念日・・・そうだな、新たな始まりの日という意味では立派な記念日かもしれないが。とりあえず深い事は気にせずに、もし良ければ今、ここで開けてみてくれないか」


はじめは包みと俺の顔を交互にきょとんと見つめていたけれど、やがてありがとうとそう言って、嬉しそうに包みを受け取った。膝の上に乗せて丁寧に包み紙を剥がし、箱を空けると中から現れたのは・・・・・・。


「・・・・・・っ! これって、マグカップ・・・しかも2個入ってるよ!?」
「ペアのマグカップなんだ。一つは香穂子ので、もう一つは俺の」 
「どうして・・・って、あっ!? ひょっとして今朝、私がコップを割っちゃったから?」
「今日からこのマグカップでお茶を飲まないか? 毎日、俺と一緒に。君が使っていた代わりにはならないかも知れないが、これから君と共に歩む想い出を、新たに少しずつ染み込ませたいと思うんだ」
「・・・じゃぁ、さっき出かけたのは、これを買いに行く為だったの?」


俺を見つめたまま驚きに目を見開く香穂子の大きな瞳に、溢れる愛しさを乗せて視線を絡ませながらゆっくりと頷いた。そう吐息共にポソリと呟くと膝の上に置いた箱からマグカップを一つ取り出し、両手でしっかり包みながら目の高さに掲げじっと眺めた後で、胸へと引寄せ強く押し付けた。
瞳を閉じ、大事そうに抱えたそれを心の中に閉じ込めるように。



「嬉しい、ありがとう・・・・。確かにあのマグカップは世界でたった一つだけだから、あの子の代わりはどこにも無いけれど。でもね、それ以上に蓮はこの世のどんな物よりも誰よりも、たった一人の大切な人。蓮は蓮じゃない・・・あなたの代わりはどこにもいない・・・誰も蓮の代わりにはなれないの。私には、蓮が一番だから」
「香穂子・・・」


香穂子が語る言葉の一つ一つが雫となって俺の心に降り注ぎ、熱く震える心の在り処を教えてくれるように、そこから身体全体へと甘い痺れにも似た感覚が広がってゆく。ゆっくりと瞳を開けた彼女が口元をほころばせながら、両手でしっかり包んだマグカップを俺にも見せるように目の前に掲げてきた。触れ合う温もりがそうさせたのか、それともいろいろな角度で眺めていくうちに次第に心が緩んできたのか・・・。


俺の内に湧く溢れそうな想いのままに彼女の肩を抱き寄せれば、甘えるように大人しくその身を預けてきて。小さな重みを肩に感じながら俺からも愛撫をするように髪をすり寄せれば、くすぐったそうに小さな笑いを零しながら受け止め、少し背伸びをして返すように額をすり寄せてくる。



「白いコップのキャンバスに、夜空に浮かぶ星座の絵が描いてある。蓮が大好きな、お星様だね」
「先日ふと店を見ていたら気に入ってしまって・・・買おうか随分悩んでいたんだ。君は大切な愛用のマグカップがあったし、これは2個で1セットだし。ちょうど最後の1つだったんだが、残っていて良かった・・・。こんな形になってしまい、申し訳ないが」
「そんな事無いよ、私ね、今凄く嬉しいの! だって今日から私と蓮で一緒に紡ぐ、新しい想い出の1ページが始まるんだもの。蓮の言う通りに素敵な記念日だよ。ありがとう、今度は絶対に割らないように大切にするね」
「気に入ってくれて嬉しい。星空が好きだから選んだ・・・というのもあるんだが・・・」


ふと視線が絡めば、嬉しそうに俺を振り仰ぎながら言葉を待つ大きな瞳には、先程の涙とは別の好奇心にも似た輝きが宿っていて何となく照れくさくなってしまい。柔らかく髪を撫でながら一度言葉を切ると、気持を落ちつける為に息を吸い込み、はにかみつつ笑みを向けた。


「結婚生活は、よく船の航海に例えられる。穏やかな時も荒れる時もあるだろうけれど、共に船の舵を取り乗り越えながら、二人の未来に向かって船を進めるのだと・・・」
「あ! それ私たちの結婚式のときに、神父さんが言ってた」
「船の針路を決めて導いてくれるのは太陽や星だろう。昼の太陽が笑顔や温かさだとしたら、夜空の星は俺達の心の中にある想いだと思うんだ」
「心の中のお星様だね、とっても素敵」
「だから俺達の空にもずっと星が輝いているように。どんな時も例え暗闇であろうとも、迷う事なく立ち止まらず君と未来に向かって進めるようにと、願いを込めたかった」
「蓮・・・・・・」



手に取っていたマグカップを膝の上に乗せていた箱に戻すと、その箱ごとソファーの傍らに置き、身体を捻って俺へと向き直る。真っ直ぐに見上げた瞳が切ない光を放って俺を射抜き、一瞬の煌きに捕らわれたその時、飛びつくように香穂子がしがみ付いてきた。背にまわされた腕にきゅっと力が込められる感覚に心までも掴まれて、胸に擦り寄る愛しさに気付けば抱き返し、懐深く閉じ込めていた。



「さっき目を瞑って私の心の中を自分で覗いたらね、蓮からもらった大切な宝物がたくさんあったの。みんなキラキラ光って輝いていて・・・夜空に浮かぶ満天の星みたいだった。このマグカップだけじゃなくて、蓮が私に本当のお星様をくれたんだよ」
「俺だけの力じゃない、香穂子が教えてくれたんだ。大切なものは遠くじゃなくて、この胸の中にあるのを。それに気付く事が出来たのは、君のお陰だ。上手く形に出来ないけれども俺の中にある星達を、君の元へも届けたいと思ったんだ」


届いただろうか・・・と耳元で語りかければ、ちゃんと届いたよと、甘い吐息と共にそう囁いて。
柔らかく温かい唇が、ふわりと俺の唇に重なった。
ダイスキと、唇が刻む四文字が触れたままそう言葉を伝えながら。






「さっそくこのマグカップで、一緒にお茶にしないか?」
「そうだね、もうお茶の時間だもんね。ふふっ・・・きっと熱くて甘くて、とっても美味しいお茶が飲めそうだよ」


腕の中から俺を見上げる、ほんのり頬を染めた香穂子の眩しい笑顔に隠れていた太陽も再び顔を出し、俺の心とこのリビングを溢れる光で照らしてくれる。


お茶の支度を・・・という彼女の為に名残惜しさを感じつつも腕を解けば、ピョンと飛ぶように立ち上がり。ソファーの上で俺達を見守っていた二つの彼らを手に取ると、大切そうに両手に一つずつしっかりと手に持って、愛しさを込めながら左右順番に口付けを降らせていく。

そんな彼女を頬を緩めて見守っていれば、ふいにチュッと愛らしい音立てて最後に俺への頬へとキスを降らすと、驚く俺にはにかんた笑みを向けつつ、弾む足取りでキッチンへと駆け去った。






2つのマグカップに刻まれた星々は、心に輝く一つ一つが君の想いであり、俺の想い、そして溶け合う二人の想い。決して消えない心の光りが、きっと君と共に過ごすこれからの俺達の未来を照らし導いてくれる。
分かち合う喜びも悲しみも、想い出を一緒に染みこませた分だけ、更に光輝いてくれるはずだから。