ココロ*アソビ
「・・・・・うっわ!やめろよ!」
「なんで?」
「くすぐったいんだよ!バカッ!」
「バカってなに?・・・・・あ、月森くんだ!」
そう言って日野は目を輝かせた。
遠くには蒼い髪をした月森がこちらに向かって歩いてきている。
日野は大きく手を振って月森をこちらへと招いた。
ゲッ・・・・・・・・。土浦は顔をしかめて近づいてくる月森をみた。
日野にとっては新たな獲物登場、といったところだろうが、俺にとっては天敵・・・・恋の天敵ご登場といったところだ。
「・・・・一体なにをしているんだ?」
不審げな顔で月森蓮がこちらへ近づいてくる。
月森は俺と日野を見比べて土浦には興味もなさそうにすぐに日野へと視線を戻した。
・・・・・こいつ・・・・!
「月森くんなら耐えられるよね?いつものクールな顔で、ちょちょいのちょい!だよね?」
「な、なんの話だ?」
困惑顔の月森。まあ日野の言っていることが意味不明すぎるので理解できないのは同意。俺もわけのわからないまま日野の餌食となった。
「えいっ!」
日野は素早く月森のわき腹へと両手を伸ばして触れた。
沈黙。
・・・・・・・・・・・・反応なし?
月森は不思議そうな表情で黙って自分のわき腹に触れた日野をみつめている。
「・・・・・・・日野?一体何がしたいんだ?」
「え?嘘!くすぐったくないの?」
「いや、別に・・・・・・・・。」
「ってことは感じやすい土浦くんはエッチってこと?」
かっ・・・・・・!!おいおいおい・・・男の前でそんなこというなよ!
まったくこいつは・・・・・!
「違う!べったり触りすぎなんだよそっと触ってみろ?」
少しだけムキになって反応が得られず残念そうな日野にそうアドバイスしてやる。
そうだ、絶対そうに決まっている。日野はべったりと両手で月森のわき腹に触れている。
「そっと?・・・・・そっと。」
今度は触れるか触れないか、といったくらいにそっと日野はわき腹に触れた。
「・・・・っうわっ・・・・・・・!」
案の定月森も声をあげた。ベタベタ触られるよりそっと触れたれたほうが弱いのはみんな共通らしい。
「ほらな?」
「ホントだ〜!!」
日野はそれはもう嬉しそうに笑った。一体何を目的にこんなことをやっているんだろうと思いつつも、彼女にとっては単なる好奇心と悪戯心なんだろう。
それに振り回されている男が二人。逆らえないのは・・・・・・・・。その理由はとおに分かりきっていた。
月森は珍しく顔を赤くして犯人の日野を跳び越して俺を睨みつけた。
「・・・・・・なにをふざけた真似をしているんだ。君も余計なことは言わないでほしい。
」
「なんだと?だいたいなさけねぇ声だしてんじゃねーよ。」
「・・・・・・なんだと?」
「また喧嘩?好きだね〜ふたりとも。」
のんきに笑っている日野。もとはといえば間にお前がいるからなんだけどな。早く気がつけよ。まったく・・・・・。
『なんでこんな奴と喧嘩するのが楽しいんだっ…!?』
日野に向かって見事に訴える声が重なってしまい、顔を見合わせてからフンッ・・・!とお互いそっぽをむいた。
「そういえば私はどうなんだろ。」
「なにが?」
「私もくすぐったいのかな〜?」
ここ、とちょんちょんとさすのはわき腹、というかウエストのくびれたライン。
つい生唾を飲みこんでしまう。
いくらなんでも女の子のわき腹に許可なしに触れるのはマナー違反。というか彼氏の特権だろう。
でも試してみたい。どんな反応をするのか・・・・・邪な想像が頭をかけめぐった。
当然俺は彼氏ではないし月森も違う。
ただ、同じ女の子が好きなのは変えようがない事実。どちらかを選ぶのも日野しだい。
ちらりと横目で天敵をみるとあちらもちょうどこちらのほうをみていた。
・・・・・・・・珍しく考えていることは同じらしい。
みえない火花が散ったあと、前置きもないままふたりはじゃんけんをはじめた。
日野のわき腹に触れられる特権をめぐる戦いは延々と続く・・・・・・・。
●サイト開設前から大好きで今でも日参させて頂いてる「Oceanus」の真夏様から私的なお礼に頂きました! ささやかなものだったにもかかわらず、こんな素敵な創作頂いてしまって・・・
エビで鯛を釣ってしまった心境です。お忙しい中、本当にありがとうございました!
月vs土最高ですね!互いに張り合いつつも、惚れた弱みで天然な香穂子に振り回される二人が楽しくて楽しくてv 終始頬が緩みっぱなしです。じゃんけんの行くへはどうなったのでしょうね?!
※サイトは閉鎖されました(2006・3・24)
「Oceanus」の真夏様からの頂き物です