How is taste?


天気が良いから今日のお昼はピクニックだよとの提案で、香穂子と森の広場で昼休みを過ごすことになった。

教室、屋上、カフェテリアに森の広場・・・学院内に昼食を取る為の場所はいくつかあるが、今日はどこで過ごそう何をしようかというのは、俺たちにとって大切な問題だ。校舎が離れている香穂子と過ごせる時間は貴重だし、大切なひとときを一瞬でも無駄にはしたくなくないから。どこでも良いという訳ではなく、場所選びも二人で決める大切な話し合いの一つだったりする。


食べる場所を探す為にきょろきょろ周囲を見渡す香穂子は、目に止まる一つ一つに興味を示し、俺に語りながらその瞳に真っ直ぐ俺を映して振り仰ぐ。心に映すそのままを伝えてくる君が太陽よりも眩しいと想いながら、緩む頬と瞳を細めずにはいられない。俺も場所を見つけようと思うのだが、こうして君を見つめながら散策している時間が楽しくて・・・もっとこのままでいれたらと思うのに、限られた時間は無情にも過ぎてゆく。


少し先に視線を定めてあっ!と声を上げた香穂子は、溢れる太陽と緑に誘われ待ちきれずに数歩前へ駆け出していった。走らなくても・・・と言いかけた言葉は君の心へ届いているのかいないのか、返された笑顔を受け止めながら伸ばしかけた手は名残の温かさを空に掴むだけ。どんな時にも一生懸命で、いつも駆け出す背中を追っているのは俺の方だな。


どうやら気に入った場所を見つけたらしく、立ち止まって肩越しにくるりと振り返ると、俺の名を呼びながら溢れる笑顔で手招きをしている。香穂子が選んだのは、いつも座る木陰のベンチではなく日差しが降り注ぐ柔らかい芝生の上。確かにピクニックだなと言う俺に嬉しそうな香穂子は、芝生の上にハンカチを広げるとその上に座り、持っていた小さな弁当箱を広げだした。隣に腰を下ろせば、敷き詰められた芝生が絨毯のように柔らかい。


「お日様や青空に近い静かな屋上も良いけれど、緑に囲まれて食べるお弁当は、いつも以上に美味しく思えるよね。芝生に座ると気持ち良いし、元気が伝わってくるの」
「学院内である事を忘れてしまいそうだ。こうして芝生に直接座ると、大地も空も広く感じるのが不思議だな。このまま香穂子の膝で寝ころびたくなるが、さすがにここでは止めておこう」


そう言って微笑みを向ければ、とっさに自分の膝と周囲を見渡し、最後に俺を見つめながらほんのり赤く頬を染める君。一体君は桜色の頬の中で何を思ったのか・・・知っているけど問わずにいようか。
食事が美味しくなるのは自然がもたらす調味料だけではなく、君が一緒にいるからなのだと思う。

見上げる空も晴れて、まるで明るく穏やかな若草が覆う大地の臥所。
身も心も蕩けるのんびりとした気分。


早く食べよう?と笑みを向ける香穂子は、俺が用意するまで待っていてくれたらしい。食べ始めるのは一緒にとい気遣いが温かさを灯し、待たせてすまないなと瞳を緩めつつ、持ってきた自分の弁当を広げた。
それを見た彼女もいただきますと満面の笑みを湛え、大切な宝箱を空けるような興奮を抑えた面持ちで、待ちに待った弁当箱の蓋を空ける。

弁当箱の蓋を開ける瞬間が一番の楽しみなのだと言っていたが、今日はどんな表情を見せてくれるのだろうか。だが頬を引きつらせ箸を握りしめたまま、困ったようにじっと中身を凝視している。


「香穂子、どうかしたのか?」
「うぅん、何でもないの・・・」


慌てて顔と手をぶんぶんと振り、作った笑顔で何でもないと必死に伝えてくる。今まで何度も目にした表情とその後の出来事を経験から判断すると、困ったことがあったのだろうというのは容易に想像つく。嘘がつけないからすぐに分かるのだが、恐らく原因は弁当箱の中身に違いない。
食べたいものと予想が違っていたのか、あるいは苦手な食材が入っていたのだろう。


一体今日は何が入っていたのだろうかと、中身が気になり隣の膝を何気なく覗いた。あんな小さな箱で良く足りるなと不思議に思いながら・・・そこまでは良かったのだが、ふと目に入った光景に、一瞬鼓動が大きく弾けた。
正座をするように膝を折って座っているから、僅かにめくれ上がる短い制服のスカートから白い太腿がちらりと覗いている。弁当箱ではなく思わず脚に視線が引き寄せられている俺に、どうしたの?と今度は小首を傾げる香穂子が不思議そうだ。


「いや・・・すまない。その・・・香穂子の弁当は今日も美味しそうだなと思ったんだ」
「ありがとう、お母さんの手作りなの。でも・・・ね、うぅん何でもない。さっ蓮くんも早く食べようよ、ヴァイオリンを練習する時間がなくなっちゃうよ」


熱さで高鳴る鼓動を押さえながら冷静を装い、気を逸らそうと試みるが、気づかれていない事に内心ほっと安堵の溜息を零す。まさか君の脚を見ていたのだとは言える訳がない、美味しそうなのは君なのだとは・・・。
お互いにどこかそわそわと落ち着きがなく、隠すように漂うぎこちなさ。だが交わす瞳と微笑みが優しい風となってなぎ払い、穏やかな時間をもたらしてくれる。

膝の上に乗せた小さな弁当箱と愛らしい口を、花模様が散らされた赤い箸が行ったり来たりしている。見つめる俺に気づき、美味しいよ?と照れ臭そうに頬を染める君を見ているだけで、お腹も心も満たされるようだ。


香穂子の膝の上にあった弁当箱の中身を密かにチェックしていたのも本当だ。苦手な食材があれば、君はいつもあれをやってくるから・・・俺も心構えをしておかなくては。いや、心の中では願っているのかも知れない。


「蓮くん。はい、あ〜んして」
「えっ・・・!?」


俺の考えが声になって出てしまったのかと、一瞬あせる程にタイミング良くかけられた言葉。
呼びかけられてふと隣を見れば、食べてくれと自分に向けられた箸の先に摘まれたウインナーが、すぐ目の前にあった。満面の笑顔を浮かべる香穂子は、おかずが落ちないように手を添えながら俺の口元へ運び、、腰を浮かせて身を乗り出している。

いったい突然どうしたのか。今さっきまでは普通に食べていたのに。
香穂子の満面の笑顔と、食べてくれと自分に向けられた箸の先にあるおかずを交互に凝視した。

昼休みという事で森の広場は音楽科や普通科など多くの生徒で賑わっており、遠巻きに俺たちのやりとりを注目しているのが視線や空気で感じる。一瞬戸惑いを覚えたが、嬉しさと本能の方が勝っているので、遠慮無く香穂子の箸から食べさせて貰うことにした。


俺たちは恋人同士なんだし・・・・。


自分の心に言い聞かせながらも、ちょっとした優越感があるのは確かで。熱さを感じる顔を寄せて箸の先に食いつけば、俺と彼女の距離がぐっと近づき箸がまるで赤い糸となって二人を繋ぐ。


「蓮くんどう、美味しい?」
「あぁ・・・美味しい」
「良かった〜。じゃぁ今度は違うおかずで、はいもう一口! あ〜んして?」


反応を確かめるようにじっと見守る瞳は、診察するドクターのように真剣だ。美味しいとの言葉に安堵の笑みを浮かべると、飲み込んだタイミングを見計らい、口を開けたのを待って新たなおかずを摘み差し出してくる。何かを悟らせないように・・・早く食べてと急かされる感じに疑問を抱きつつも、かいがいしさに嬉しさ溢れるのは確かで。
緩める瞳を止められないまま、再び口を寄せて箸先に食いついた。


しかし2口目を口に含んだ時に一瞬見せた、悪戯を仕掛ける時の煌めく表情を俺は見逃さなかった。
口の中に含まれた食材の正体に思い当たるものがあり、事の真相を理解したからだ。


やはり・・・来たか。
今日こそは自分で食べると思っていたのに。


期待に心が膨らむあまり勝手に浮かび上がり、自分で落ちる・・・。悪戯に引っかかると分かっていても同じ事を繰り返してしまう。溜息が溢れるのはそんな俺自身にか、それとも君へなのか。
こうして振り回される状況さえ楽しいと思えるのは、惚れた弱みだから仕方がないか。


だが甘えさせてばかりはいられない、俺も辛いがあえて厳しく接しなくては。
ゆっくり飲み込んでから香穂子の瞳の奥を捕らえ、真っ直ぐ見詰めた。


「香穂子・・・」
「な・・・何かな?」
「好き嫌いなくちゃんと食べなくては駄目だと、いつも言っているだろう?」
「へへっ、やっぱり分かっちゃったんだね。蓮くん凄〜い!」
「香穂子、俺は君の為を思って話しているんだ」
「・・・・・・っ」

静かに言うと驚く小さな肩がピクリと震えて固まった。いつもなら笑顔につられて流されてしまい、次の一口があ〜んという言葉と共に運ばれるが、おかずを選ぼうと彷徨う箸を手ごと握りしめ動きを止める。
一瞬大きく目を見開き、浮かべる笑顔を誤魔化すように引きつらせ・・・そして言葉を詰まらせながら顔が真っ赤に染まってゆく。

やはり・・・と大きく溜息を吐かずにはいられない。先程ちらりと中身を見た時に赤い食材があったから、もしかしたらと思っていたが予想通りだったな。弁当箱の蓋を開けた頃から妙に落ち着き無くそわそわしていたのは、こういう事だったのか。


眉を寄せて諫めるように厳しく見つめる月森は、言葉無く香穂子へ問いかける。月森に笑顔を浮かべても表情が揺らぐことはなく、怒っていると感じた香穂子はシュンと肩を落とし、両手で箸を握りしめながら俯いた。誤魔化すほどに後ろめたく苦しくて、彼だけでなく自分をも傷つける・・・。厳しさは大切に想う証だと知っているから真摯に向き合わなければと、香穂子はゆっくり顔を上げて琥珀の瞳を受け止めた。


「ごめんなさい・・・」


愛しい君に手ずから食べさせて貰うのは、中身か何であれ本当は嬉しい。
毎回同じ手に引っかかっている俺も進歩が無いのだが、純粋に期待していただけにちょっとだけ悲しいような。
嫌いな食材を俺が食べるのは簡単だが、美味しいと思える物を互いに分かち合った方が、もっと美味しくなれると思うんだ。


「だ・・・だってお母さんってば、嫌いだって言ってるのにいつもお弁当に、にんじん入れてくるんだもん・・・ほら見て、まだ入っているの」
「だからといって香穂子の苦手なものを俺が食べてどうするんだ、自分で食べなくては意味がないだろう。昨日は確か椎茸とグリンピースだったな、その前はピーマンだ。まぁ、残して母親を悲しませるよりは良いと思うが」
「でもね。あ〜んってやりたかったのは、本当だよ? たまたま苦手な食材だっただけで・・・えっと、食べて貰えたら嬉しいなって思ってたけど・・・。もちろん大好きなおかずも蓮くんと二人で、半分こしながら食べれたら素敵だなって思うの。ほら、食事って一人で食べても美味しくないでしょう?」
「苦手な食材も半分ずつ食べ合えば、美味しくなるんじゃないのか?」
「えっと〜それはどうかな」


にんじんが入っている弁当箱を、困ったように俺に披露しながらも少し頬を染めつつ、上目遣いに様子を伺う香穂子の可愛さに俺の顔も次第に熱を持ってゆく。理由はどうあれ、気持ちはとても嬉しい。
そんなにやりたかったのならば・・・。


持っていた自分の箸で、香穂子の弁当箱から残っていたにんじんを摘み取ると、彼女の口元へと運んでゆく。先程食べさせて貰ったように同じく落ちないように手を添え、すぐに食いつける程良い近さで。


「香穂子、では今度は俺からも。はい、口あけて」
「え・・・ちょっと・・・蓮くん!?」
「どうした? 食べないのか?」
「やっぱり・・・駄目・・・・・・?」
「自分で食べられないのなら、俺が食べさせよう」


香穂子はう〜っと唸りながら箸の先にあるにんじんを、じっと凝視している。黙って見つめる俺の視線に加えて、遠巻きに事の成り行きを見守るギャラリーの視線も、相当プレッシャーになっているようだ。人の目があれば俺が断らずに食べるだろうと考えたからなのだろうか、それともただの偶然か。芝生の上でピクニックという彼女の試みは楽しい反面、自分をも追い詰めてしまっている。


やはりこうして食べさせ合うのは誰もいない静かな場所で、二人きりの時に限るな。


時折縋るように見上げる瞳に意志が揺らぎそうになる。俺が食べてしまうのは簡単だが、それでは香穂子の為にならない。いや、毎回味わっている空振り感に報いたいという気持ちも、実はほんの少しだけあったりするけれど。頑張って欲しい、君なら出来ると信じていると・・・見守る厳しさの裏で祈りを注ぎ、見えない心の手で膝に置かれた彼女の手を強く握りしめた。


ぱくり。


箸先に摘まれたにんじんを挟み、二人分の緊張感が漂う事数秒後。たっぷり悩んだ末にぎゅっと瞳を瞑り、香穂子が俺の箸に食い付いてきた。息を止めて瞳に涙を滲ませながらかみ砕き、傍らに置いてあった彼女のパックジュースを渡すと、奪うように攫って必死にジュースで流し込む。


「ちゃんと食べられるじゃないか」
「・・・・うん、食べられた」


苦手なものにも逃げずに立ち向かい、乗り越えて前へと進む力があるのを俺は知っているから。
食べ物の好き嫌いでは大げさかもしれないけれど、一つ一つのささやかな積み重ねが心を輝かせる光となる。
君の為に何かしたいと応援したくなるし、負けないくらいに頑張らねばと思うんだ。


頑張る君は誰よりも輝いて見える、そんな君が好きだよ。

愛しさに目を細めて手を伸ばし、微笑みを注ぎながら頬を包む。大役を果たし終えてほっと一息、はにかんだ笑みで真っ直ぐ見上げる目尻に浮かんだ涙の滴を、指先で優しく拭い去った。








放課後の練習室で香穂子を待ちながら先に調弦を始めていると、扉をノックする音が鳴った。 扉に背を向けていても誰が来たかはすぐに分かる、練習室と俺の心・・・二つの扉を叩くのは彼女だ。自然に緩む頬と浮き立つ心を止められないまま扉を振り向くと、扉のはめ込みガラスからこちらを覗いて手を振る、赤い髪をした普通科の少女がいた。


「どうぞ」


振り返って声を掛けると、重い扉をそっと扉を開けて香穂子が入ってきた。
いつもは息を切らせながら笑顔で駆け込んでくるのに、目が合うと照れ臭そうに微笑みながらも、どこか頬を膨らませて拗ねたような仕草を見せている。ヴァイオリンケースを棚の上に置くと、ひらりと身を翻して駆け寄ってきた。

「天羽ちゃんとかクラスのみんなに“アッツ熱だね”って、いっぱい冷やかされちゃったよ。蓮くんは平気だった?」

昼休みに互いに食べさせ合っていた事を言っているのだろう。あの時は自分たちしか見えなかったが、思い出せば熱さが込み上げ口元が緩んでしまう。
まぁ確かに・・・俺たちは必死だったが、周りから見れば甘い状況に見られるのだろうな。ともあれ有り難いことに“アツアツ”という周囲の意見は間違っていない。


「俺もあの後教室に戻ったら、同じ事をさんざん言われた。だが俺は良かったと思っている。俺は君の、君は俺のものだと主張出来たから」
「やだもう〜蓮くんってば。私決めたの、今度からお昼は周りに人がいない静かな場所で食べようね」

「俺もそう願いたい、君と二人だけで過ごしたいから。そうすれば、一目を気にせず食べさせ合う事も出来る」


ヴァイオリンをケースから出して準備を始める香穂子は、大変だったんだからねと真っ赤になってぷうっと膨れている。拗ねて頬を膨らましている様が何とも言えず可愛くて、可笑しさが込み上げてしまう。
元はといえば君から始めた事だろう?
でも言わないでおこう。少し・・・いや、俺もかなり嬉しかったのは本当の事だから。


頬を膨らませた顔を見られたくないのか、背を向けて調弦を始めようとヴァイオリンを構えたものの、ケースに戻すと俺の元へ駆け寄ってくる。後ろ手に組みつつ、悪戯っぽい輝きを湛えた瞳が目の前で振り仰いだ。


「ねぇ蓮くん、頑張って食べたからご褒美ちょうだい?」
「香穂子・・・好き嫌い無く食べるのは、当然のことなんだぞ」
「え〜っ、蓮くんのケチ」


ケチとかの問題ではない気がするんだが。
子供みたいな事言わないでくれと、宥めながらも再び溜息が出てしまう。
それでも惚れた弱みというやつなのか、結局は君の願いをいつも叶えてしまうんだ。

少し待っていてくれと伝えると、持っていたヴァイオリンを側にあった蓋の閉じたピアノの上に置いた。望むご褒美を贈る為に。

「でも、そうだな。いつもは俺が食べなければ絶対に食べないで残すのに、今日は確かに頑張ったな。じゃぁ特別にご褒美と・・・それから口直しだ」
「褒美と口直しって事は二つくれるの? 嬉しいな〜ありがとう、頑張って良かった。蓮くんが食べさせてくれるなら、これからもちゃんと食べられそうだよ」


ご褒美が何なのか言わなくても分かっているのか、嬉しそうに瞳を閉じて待っている。ん〜っと言いながら上を見上げ、笑みを浮かべたままの唇を差し出すように。無邪気な香穂子に苦笑しつつも、君の・・・いや俺の望み通りに、笑みを浮かべた柔らかい唇へとそっと口づけた。

そう・・・頑張ったご褒美と口直しに贈るのは、俺から君へのキス。


軽く音を立てて触れるだけの優しいキスは、すぐに唇が離れてしまうから、それだけでは足りなくて。まだ瞳を閉じている香穂子を見詰めていると、柔らかさと温かさに吸い込まれ、もっと欲しくなってしまうんだ。
背と腰にまわした腕を引き寄せ、強く腕に閉じ込めた。


「・・・ちょっと蓮くん!?」
「香穂子がちゃんと食べてくれるか心配で、俺は心臓が潰れる思いだったんだ。だから、信じてあの場を耐えた俺も、ご褒美をもらっていいだろう?」

「えっ・・・!?・・・んふぅっ・・・」


再び口吻て唇の柔らかさと甘さをたっぷりと味わう。
薄く開いた唇から、そっと舌を割り込ませて絡め取っていく。


「また苦手なものがあったら俺が・・・食べさせるから」
「いい・・・じ、自分で・・・頑張る・・・・・・」



ご褒美と、苦手なものの口直しの定番は甘いもの。
食べ物の甘さは苦手だけれども、君自身の甘さなら、どんなに甘くても構わない。



好き嫌いを克服してしまったら、もう香穂子から食べさせてもらえなくなってしまうかもしれないな・・・。
そんな事はないと思いつつ、正直それは困ってしまう。
君か俺か、一体どちらへのご褒美になったのだろうか。